2003年9月

日時 2002/9/30
銘柄 ジュブレイシャンベルタンV.V2000
(ベルナール・デュガ・ピィ)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想

ベルナール・デュガ・ピィ。名前から推察されるように、クロード・デュガの従兄弟だが、その名声と入手難はクロード・デュガに勝るとも劣らない。というか、最近はパーカーさんなどはデュガピの方を高く評価しているそうな。私も小田急ハルクのセールのたびに狙っていたのだが、入手できたのは、せいぜい村名クラスまで。シャルムシャンベルタン、マジ・シャンベルタン、それに半樽しか作られないというシャンベルタンなどは、目にすることも滅多にない(その意味で某誌でこの作り手を水平テイスティングできたのはよい経験だったが、日常の食卓では飲めるはずもなく…)。ドロリとした濃厚な色調。リキュール状の黒系果実に加えて、黒オリーブやユーカリ、墨などをイメージする香り。口に含むと、意外なほど「軽い」酒質に驚く。色や香りからもっと重たい味わいをイメージしがちだが、シルクのようなタンニンのおかげで、密度感がありながらも、決して鈍重にならない味わいを保っているところはさすがだ。村名とはいえ、1万円前後の値段のついている銘柄だけのことはある。
【90】

日時 2002/9/26
銘柄 パレオ・ロッソ98(レ・マッキオーレ)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 失念。/モトックス
感想 デイ・セラーにずっと入れっぱなしだった98パレオロッソ。「こんなワイン買った」を遡っても、どこのショップで買ったかの記録がない。まだ少し早いかもしれないと思いつつ、セラーの整理の意味もあって開けてみる。濃厚なルビーの色調でエッジはややピンクがかかっている。香りは少し火を通したような黒い果実や、八角、丁子などのスパイス、木質、それにビターチョコのようなオークなど。香り自体も複雑だが、なにより香りの勢いというかパワーがスゴイ。味わいはまだかなり堅くタニックな印象。キメ細かいとはいえ膨大なタンニンが、口中を支配し、抜栓したてはかなり厳しい表情。時間とともに味わいはやわらぎ、濃縮した果実と伸びのある酸のバランスがとれてくるが、それでも今はやっぱりタンニンが優勢。同じボトルをお持ちの方は、まだセラーで寝かせておいたほうがよいかもしれませぬ。今流行りの「デキャンティングポワラー」も使ってみたが、こちらは、う〜ん、なんだか堅く閉じているものを無理やりこじ開けたような感じで、香りも味わいも輪郭がボヤけてしまい、あんまりよい印象はもてなかった。
【89】
日時 2003/9/24
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・レ・ヴォークラン2001
(ベルトラン・アンブロワーズ)
産地 仏>ブルゴーニュ
コメント 結構飲む機会はあるのだけど、なぜか当サイトにあまり登場しないアンブロワーズの最新ビンテージを。濃いめのルビーで、さすがにまだ若いだけあってエッジは鮮やかな紫色を保っている。香りは少し火を通したような黒い果実、ミネラル、それにかなり焦がした感じの高級そうなオークの香り。味わいは濃縮感のある果実味をバックでしっかりした酸となめらかなタンニンが支える堅牢なもの。オークがかなり前面に出ていて各要素が磨き抜かれたモダンな作りだけれども、力任せにならないナチュラルな酒質や、濃い中にもクリーンな果実味には好感が持てる。とかくギスギスと酸っぱくなりがちな01ビンテージにあって、しっかりした酸に拮抗する果実味を備えているのはご立派。ちなみに3日目ぐらいがもっとも開いて美味しく飲めました。【90】
日時 2003/9/21
銘柄 シャンボールミュジニー・レ・フレミエ2001
(ミシェル・マニヤン)
産地 仏>ブルゴーニュ
コメント これといった予定のない週末。しかし台風接近中で、外出もままならなず、娘も家のなかで手持ち無沙汰そうにしている。気温も急に下がって、いやがおうにも秋の訪れを感じずにはいられませんね。さてこの日は久しぶりにミシェル・マニヤンを。ミシェル・マニヤンはネゴシアンとして近年名をはせているフレデリック・マニヤンの実家が営むドメーヌでモレサンドニを本拠に置く。黒々とした濃厚な色調。黒い果実のシロップ漬け。甘草などのスパイス、ミネラル、それにやや硫黄っぽいニュアンス。味わいはトロリと凝縮した果実味がバックにある豊かな酸となめらかなタンニンの存在を忘れさせるかのように広がる。シャンボールらしいというよりは、マニヤンらしい濃厚で肉厚な作り。フレミエは村名畑だが、内容的には1級に匹敵するボリューム感だ。ただ、好みの問題かもしれないが、香りにも味わいにも、もう少し繊細さとかクリーンな部分が欲しいなあとも思うのだけども。【89】
日時 2003/9/19
銘柄 ガヴィ2000(ベッラヴィスタ)
産地 イタリア>ピエモンテ
購入店 近所の酒屋/アルカン
価格 1200円ぐらい
コメント 暑い盛りに近所の酒屋で衝動買いしたガヴィを開けてみた。ベッラヴィスタはフランチャコルタなどで知られいてるワイナリーだが、ガヴィも作ってるんですね。やや麦わら色がかった濃いめのイエロー。リンゴ、白い花、ミネラル、それに時間とともにキノコなどの熟成したニュアンス。味わいは思いのほかコッテリしている。コクのある果実味は蜜のような甘みを伴うが、それを支える酸はやや平板で、中盤以降苦味も加わり、余韻を引き締めている。もっとサッパリと爽やかなタイプを想像していたが、この銘柄はかなりコッテリ系。もう少し果実の瑞々しさが欲しいなあと思ってしまう。果実味の乏しさといい、キノコのような香りといい、おそらく状態が万全ではないのだろう。1000円チョイでも厳選すれば結構なものに出会えると思うけど、近所の酒屋でたまたま手に取ったワインとなると、コンディションも含めて、まあこんなレベルなのかなあ、と。【79】
日時 2003/9/13
銘柄

信濃屋の有料試飲。抜栓後6時間以上経過していたが、結果的には、この位経っていた方が飲みやすかったかもしれない。(開けたてはかなりガチガチだったのではなかろうか。)

Ch.ピション・ロングヴィル・バロン2000
重厚な黒い果実やスパイス、オークにまざって、ほのかなハーブっぽいニュアンスが若さを感じさせる。味わいはとにかく各要素がぎっしりという感じでスケールが大きい。なかんずく、果実味の力強さと心地よさは秀逸のひとこと。現時点ではフィニッシュにかなりタンニンが優勢になるが、これは時間が解決するだろう。 【93】


Ch.レオヴィル・ラスカズ2000
黒い果実、スパイスに加えて、今は上質なオークを思わせるややトーンの高いカフェや焼き栗の香りが主体いずれ時間と共に複雑さを増しそう。味わいはロングヴィル・バロン同様果実味の凝縮感がスゴイが、こちらの方がやや酸が前面に出て、タンニンもきめ細かくなめらかで、より精緻にバランスが整えられている印象。ほとんどパーフェクトに近いボルドーと言っていいだろう。一本買おうかな…。 【95】

日時 2003/9/11
銘柄 グランタラパカ・CS・リザーブ90
産地 チリ>
コメント いただきもの二連発。タラパカといえば、かってニフティのワインフォーラムで、「安ウマチリワイン」として話題になったのを思い出す。しかも今回のボトルは、90年という今や滅多に目にしないバックビンテージ。濃厚なガーネットだが、熟成した色調はそれほど見られず、エッジの部分がかすかにオレンジがかっている程度。粘性は高め。香りはジャム状のカシスやダークベリーの第一印象。とても心地よい湿った土や朽ちた木などのブーケ、中国系のスパイスなどがそれに続く。口に含んでみると、濃縮感のある果実味がしっかりと残っており、タンニンもよく溶け込んで、ほどよく熟成した味わいを愉しめる。やや酸が腰砕けだったりとか、アタックの力強さがフィニッシュにかけて尻すぼみになることとか、テクスチャーがどこかけばだったような印象を受けることとか(これは熱の影響か?)、余韻が短めなこととか、まあ不満な点はいくつか挙げられるにせよ、総じて飲む前に想像していたよりもずっときれいに熟成しているのが驚きであり、熟成したチリカベの醍醐味を味あわせてくれた。チリのバックビンテージというと、ちょっと身構えてしまうところがあるが、この銘柄に限っては、決してキワモノ的な内容ではなかったことは強調しておきたい。
【89】
日時 2003/9/9
銘柄 ニュイサンジュルジュ2000(エマニュエル・ルジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想

いただきもの。濃い目のガーネットの色調で、エッジはややピンクがかった紫。香りはジャム状のブラックチェリーやカシス、アジアのスパイス、オーク、それに独特のシンナーのような揮発香。口に含むと、分厚く継ぎ目のない、それでいてピュアな果実味が悠然と広がる。タンニンはなめらかで、酸も豊かだが、果実味のパワーがそれらをマスキングして、さらにオークのニュアンスが彩りを添えている。揮発性の不思議な香りとややドロリとした印象の酒質には賛否両論が出るかもしれないが(以前のルジェにこのような揮発性の香りを感じたことはなかった、醸造において何かあったのだろうか?)、「只者でない」出来であることは確か。ブルゴーニュでも、次々と新しい作り手が紹介されているが、このように「語りたくなる」作り手というのは決して多くはないのではなかろうか。
【90】

日時 2003/9/6
銘柄 ギィ・ラルマンディエ グラン・クリュ・クラマン・ブラン・ド・ブラン
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 銀座屋酒店
価格 3750円
感想 シャルドネで有名なコート・デ・ブラン地区、クラマン村のドメーヌから作られるブラン・ド・ブラン。濃い目の色調、豊かに立ち上る気泡。香りはやや弱めで、かなりイースト系を強く感じる。トースト、リンゴ、カリン、蜜、白い花。味わいはコクがあるという第一印象。果実味はややドライな火を通したような感じで、酸は豊かだが特に繊細とか伸びやかだいうわけではなく、フィニッシュには少しばかりしつこい果実の甘みとイーストのフレーバーを感じる。う〜ん、しっかりした作りなんだけど、繊細さや優美さに欠けるというか、ファットなんだけどもやや無骨というか、ひとことで言って、あまり私の好みじゃない味わいです。このところいろいろとRMもののシャンパーニュを飲んできたけど、そうそういつもいつもアタリというわけにはいかないようで。【87】