2002年12月

日時 2002/12/31
  信濃屋にて有料試飲
大晦日、ということで、本来なら家でゆっくりよいワインを開けたいところだけど、今日は夕刻から日にちが変わるあたりまで会社に行かねばならないので、ワインを開けることはできない。そんなところに、買い物に行った信濃屋で特別試飲を行っていて、本年度のラストを飾るのにふさわしい銘柄を試飲することができたのはラッキーだった。 他にも87ペトリュスなどあったんだけど、プライスを見てやめた。(^^;
銘柄 モンラッシェ・マルキ・ド・ラギッシュ98
(J・ドルーアン)
コメント 濃いめのイエローで、美しい色調。香りは柑橘系の果実や白桃、バニラ、白い花など、複雑さは出ていないが心地よい芳香。口に含むと、エッジのとれたなめらかな酸と、濃縮感のある果実味による、ギュッと目の詰まったような密度感があり、それでいて、コッテリ系でなく、あくまで自然な丸い球体のような広がりとを両立しているのがすばらしい。5年後に再会したいワイン。
【92】
 
  Ch. ディケム90

ややアンバーがかった濃いイエロー。香りは強烈な、アンズやトロピカルフルーツ、紅茶アメなど。口に含めば、トロリとした凝縮された果実味とやや控えめにそれを支える良好な酸があって、滅多に味わえないような極めて純度の高い(という言い方があるのかわからないが)甘味が口中を満たす。最初から最後まで一貫して濃厚でありながら、決して鈍重にならない酒質はさすがのひとこと。欲を言えば、立ち飲みでなく、じっくり、うっとりと向き合いたいワインでした。
【94】
日時 2002/12/30
銘柄 ボンヌ・マール88(ルイ・ジャド)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 50ドル
コメント 昨年の11月にワインビッドで落札したものの、その後音信不通となって、結局半年以上も送られてこなかったいわくつきのボトル。ふと裏ラベルを見ると、液漏れした跡の二本の筋が。キャップシールをとると、コルクが5mmほど陥没していて、表面はカビがびっしり。またかよ、と思いながらグラスに注いでみると…。 抜栓当初こそ赤系のリキュールっぽい果実味を楽しめたものの、それも1時間ほどのこと。食事が終わるころには、香りはすっかりひからびて、枯草や馬小屋っぽい臭いが支配的になり、味わいもギスギスとしたタンニンが目立つようになる。
ちなみに、この時一緒にに落札したのは、以下のボトルたちだが、結局ルクレール以外はすべてNGボトルだったことになる。何度かワインビッドを利用した経験の中でも、これほど酷かったのは初めてなので、このロットに関しては、保管か輸送になんらかの問題があったのではないかと疑いたくなる。

Bourgogne Les Bons Batons90 (Philippe Leclerc)  $20 ○〜△
Bonnes Mares88 (Jadot)  $50  △〜×
Nuits St. Georges Haut Pruliers86 (Daniel Rion)  $30 ×
Beaune Clos des Mouches86 (Joseph Drouhin)  $35  ×
Chambolle Musigny91 (Comte de Vogue)  $35  △〜×

賛否両論あるワインビッドだけど、個人的には、二度と利用することはないと思います、ハイ。 …けど、落札ボトルはまだ結構残ってる。鬱。
【--】
日時 2002/12/29
平野弥勉強会
フランス滞在中の平野さんが年末年始に帰国された折に、臨時の勉強会が催されたので参加した。ブルゴーニュの土壌の話など、興味深い話を聞かせていただいたが、それはまた後日ということにして、テイスティングしたワインは、「同一アペラシオンの作り手違い」ということで、以下。
銘柄

<1>
濃いルビーで、エッジはやや緩んでピンクの色調。モカやエスプレッソなどのオークが強烈に効いており、その奥からカシスやダークベリー、初期的な動物香など。味わいは旨味感のある果実味の第一印象。酸はなめらかで、タンニンも緻密であり、一流の作り手だろうと思われる。ただ、全般にオークのパワーを果実が受け止めきれていない感がある。 平野さん曰く、「きっちり作っているドメーヌだが、テロワールがあまり表現されていない。」【88】
ジュブレイ・シャンベルタン99(ドニ・モルテ)

<2>
濃いルビーだが、1番目に比べると、エッジがやや複雑な色調になっている。赤い果実のリキュール的な香り、オレンジの皮、プラム、鉄、スパイス。クリーンな印象の香りで、オークも控えめ。口に含むと、ピュアな果実味のアタック。酸は伸びやかだが、タンニンがやや重くフィニッシュに残る。もう少し中間部の広がりがあればと思うが、クリーンで充実した果実味はすばらしい。【89】
ジュブレイ・シャンベルタン99(クロード・デュガ)

<3>
やや明るめの色調。香りはかなり典型的と思わせる、鉄、赤サビ、赤系果実、スパイス、紅茶など。口に含むと、スケール感や濃縮感はあまりないものの、2番目よりさらにクリーンな印象の赤い果実のフレーバーが心地よく、口中で旨味感がじんわり広がるのも心地よい。クラシックな仕上がりで、個人的に好印象を持った。【89】
ジュブレイ・シャンベルタン・シャンポネ99
  ( フレデリック・エモナン)

平野さん曰く、「現地で飲むと、環境や風土の違いもあってか、このような普通の作り手のものに、日本で飲むと感じないようなすばらしさを感じることがある。」なるほど、なるほど。


勉強会のあと、忘年会に突入するも、私は時間の関係もあって、最初の泡(ゼクト)と以下の銘柄を飲んだところで退散した。

コルトン・シャルルマーニュ2000
(シモン・ビーズ)

中程度のイエローで、全般に黄緑がかっている。香りは柑橘系の果実香とフローラルな香りが中心で、時間とともに、ヘーゼルナッツやバターのようなニュアンスが控えめに出てくる。口に含むと、酸がまだ固いですね。酒質は、豊かな酸のせいもあってか、現時点ではややサラリとした印象を受けるが、寝かせておくとトロみが出てきそう。 もう数年寝かしたいワインだけど、素性のよさは今でも実感できる。【90】

日時 2002/12/25
銘柄 シャンボール・ミュジニー53 BBRセレクション
(ハーフ:作り手不明)   
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 NOISY原酒店(8900円)
コメント

1953ビンテージ。作り手不明の村名シャンボールミュジニー、しかもハーフ。値段も1万円以下という、なかなかギャンブル心をくすぐるボトルである。7月末に購入して以来、4ヶ月間セラーで立たせたまま休ませ、満を持してクリスマスの夜に開けることにした。キャップシールを外すと、その下にはなんと鉛のシールが(写真左)。コルクは湿って重くなってはいたが、ハーフとは思えない長さで、まだしっかりしており、抜栓は造作なかった。グラスに注いだ時点で香水のような芳香が漂い、これはイケルかもと、期待がつのる。
一杯目。色調はかなり薄いオレンジガーネットで、全般にレンガ色がかっており、エッジにかけてなめらかなグラデーションを描いて透明になっていく。香りは甘い赤系果実のリキュールのような透明感のある香り。このような薄い色調でありながら、口に含むと、果実の味がちゃんと残っているのに驚かされる。酸が突出することもなく、タンニンも目立たず、そんな中、ほのかに旨みが感じられ、長い年月を経て水へと回帰しつつあるような味わい。酒質は思い切りデリケートになっており、ちょっと揺すったら微妙な味わいが壊れてしまいそうで、間違ってもスワリングなどする気にはならない。
二杯目。ハーフなので、残りすでにボトルの半ばぐらい。一杯目とは様相は一変して、色調からしてかなり濃くなる。(その分濁ってくるが。)香りにはイチジクやドライフルーツ、麦わら、それにコーヒーのような香ばしい香りがまざる。口に含めば、ぐっとリキュールのような甘味と旨味がのってきて、典型的な状態のよい古酒の味わいになる。美味い。
三杯目。底に近くなり、澱ですっかり濁ってしまうが、香りはより濃縮感を増して、香水のような濃縮した香りに満たされる。ここまでで1時間以上経過しているが、味わいも一貫してタンニンがでしゃばらずに果実味がしっかりと後味まで感じられるところがすばらしい。下り坂になってはいるものの、まだまだワインらしさを残しているし、グラスに注いでからも意外なほど落ちないのが嬉しい誤算だった。思うに、ハーフの村名の50歳近いボトルでこれだけ良好な状態を保っていた秘訣は、二重の鉛のシールと、異様に長いコルクにあったのではなかろうかと推察する、なんちゃって。【92】

日時 2002/12/24
銘柄 エグリ・ウーリエ・ブリュット・ブラン・ド・ノワール
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 銀座屋酒店(6880円)
コメント

ふだん、滅多にシャンパーニュを飲まない私だが、クリスマスぐらいはと思って、表記の銘柄を開けてみた。麦わら色がかったイエローで、色調は濃いめ。気泡は細かく、いつまでも力強い。カリンや洋ナシなどの果実、黄色い花、クロワッサン、味わいは、炭酸が口の中ではじけるような力強いアタック。酸はビビッドで、中盤に甘味がじわっと広がる豊かな味わいだが、若干コッテリ系で、フィニッシュの甘味とイーストのフレーバーにややしつこさを感じるのも事実。美味しいですけどね。【88】

日時 2002/12/23
銘柄 Ch. オーブリオン88
産地 仏>ボルドー>ペサックレオニャン
購入店 信濃屋で有料試飲(1200円)
コメント つい先日、飛び入り参加したワイン会で、久しぶりに熟成したオーブリオンを飲まさせていただいたばかりだが、たまたまこの日は信濃屋で88オーブリオンの試飲をやっていたので、立ち寄ってみた。色は濃厚なガーネットで、エッジにわずかにオレンジを感じる程度。香りは文句ナシのすばらしさ。コンフィ状のブラックベリー、丁子、甘草、八角などのスパイス、それに朽ちた木などの、スーボワというよりはまだまだ力強さを残した芳香。味わいも見事。凝縮感のある果実と豊かなタンニンが拮抗して、立体感のある広がりがあり、フィニッシュにはスパイシーなフレーバーが口中を満たす。あえて難を言うと、これだけの味わいのわりには余韻がやや短いところか。個人的には、これぐらいの、やや力を残した熟成段階のものが一番好きだ。【94】
日時 2002/12/22
銘柄 アタランギ・セレブレ99
産地 NZ>マルティンボロ
購入店 いただきもの/ヴィレッジ・セラーズ
コメント 店長さんのBVC日記10000ヒット記念のいただきもの。アタランギはピノノワールで名高いが、このセレブレはカベルネ、メルロ、シラーのブレンド。中心に黒みがかった濃厚なルビーで、エッジは鮮やかな紫。カシス、ミント、ハーブなど実にクリーンな香りに加えて、時間とともに、スパイスやジビエ、ビターチョコなどのニュアンスが前面に出てくる。味わいはジューシーな果実の第一印象。広がりはそれほどでもないものの、タンニンが緻密で、オークもほどよく効いており、ひんやりとしたテクスチャーからはどことなくメタリックな印象を受ける。エレガントなまとまりがあるワインだが、口に含んでからフィニッシュまでの抑揚に乏しく、やや一本調子なのが玉にキズ。変なたとえだけど、ボルドーの上級シャトーのオフビンテージみたいな味わい。【88】
翌日:ビターチョコの香りが満開、味わいも初日よりもネットリした印象に。
日時 2002/12/21
銘柄 ブルゴーニュ・オー・コート・ド・ニュイ・ブラン2000
(メオ・カミュゼ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 東急/ラック
コメント

ブラインドの出題などで、わりとよく飲む機会の多いメオ・カミュゼの白。2000年の出来ははたしてどうだろうかと開けてみたが、これがなかなかいい。やや黄緑がかった濃いめのイエロー。香りは、洋ナシや熟した青リンゴ、ミネラル、白い花、それに時間をおくとキノコっぽいニュアンスがまざる。口に含むと、ミネラリーなアタック、縦へ伸びる力強い酸と瑞々しい果実味とがせめぎあって、充実感のある味わい。ボーヌ地区の白のような艶やかさはないし、全般にややデリカシーに欠ける気もするが、ガッチリした酸による構成がすばらしく、数年寝かせるとさらによくなりそうだ。価格も穏当で、なかなかお買い得な銘柄だと思う。ブラインド出題用だけじゃもったいない。【88】

日時 2002/12/19
yohさん主催の『地味ボル麻布十番』の会に飛び入りで参加。会場はカリフォルニア・ワイン・ガーデン。
銘柄


中程度のイエロー。白桃、洋ナシ、白い花、うっすらとバニラ。味わいは比較的コッテリとしているのだが、オークがでしゃばらずに心地よいバランスを見せる。酸は丸くなめらか。力任せにならずに肩の力が抜けたようなところに好感が持てる。


ニュイ・サンジュルジュ90(フェブレイ)
濃いガーネットでエッジにはオレンジ。赤い果実、オレンジピール、スーボワ。口に含むと、甘く滑らかな果実の第一印象。酸は当初緩めで大人しく感じられたが、時間とともにしっかりと感じられるようになる。タンニンも後半にかなり出てくるが、なんといっても豊満な果実味がそれらを覆い隠してくれている。村名でこのすばらしさは、さすが90ブル。【91】

Ch. レオヴィルラスカズ
< 85年>
ブラックベリーなどの果実や、スーボワや土などの熟成香。口に含むと甘く濃縮された果実味の第一印象。同年のオーブリオンより厚みがあって、酒質はネットリ、酸も豊かで綺麗。フィニッシュがやや濁った感じになるのが玉にキズ。【93】<75年>
赤と黒の中間位のドライなフルーツ、スーボワ、藁。伸びやかな酸と柔らかな果実味よくバランスされていて、タンニンも溶け込んで穏やかな酒質。75年というと、タンニンが突出していたりしてバランスが悪いものが多い印象があったが、このラスカズはきれいにバランスがとれている。【93】

Ch.オーブリオン
<85年>
カシス、ブラックベリー、土、スーボワ、。味わいは土っぽく、ややタンニンンが勝っている印象。エレガントで飲みやすいが、以前飲んだ同一銘柄はもっと果実味が立体的で大きなワインだった。このボトルももう少し果実に力が残っていれば…。【91】
<75年>
スーボワやドライフルーツ中心のしんみりとした香り。やわらかくなめらかな果実がすばらしく、タンニンはきれいに溶け込んでいて、酒躯には厚みがありながらも味わいはどこまでも軽やかで、フィニッシュには土を感じさせるフレーバー。オーブリオンらしい味わいで、個人的にはこの日の一番。【94】

会の名前は『地味ボル』だったが、内容は地味どころかワンダフルでございました。yohさん、ありがとうございました。初訪問のカリフォルニアワインガーデンもウワサに違わぬすばらしいお店でした。
日時 2002/12/17
銘柄 Ch. ボーモン2000
産地 仏>ボルドー>オーメドック
購入店 やまいち
価格 1670円
コメント 2000年のボルドーである。おそらくこの先10年20年と飲み続けてゆくことになるであろうこのビンテージのトップバッターとして選んだのは、昔よくデイリーに飲んだオーメドックのクリュ・ブルジョワ。
中心に黒みがかった濃いルビーで、エッジは鮮やかな紫。グラスを近づけると、ミント、ハーブなどの青っぽさがトップノーズにあり、時間とともにブラックベリーやミネラル、黒鉛、エスプレッソ、黒糖などの凝縮感のある香りが開いてくる。味わいは果実味がギュッと詰まっているものの、今は分厚く重たいタンニンが支配的で、後半には酸が伸びやかに姿をあらわす。正直、今はまだ各要素のバランスがバラバラで飲みやすいとはお世辞にも言えないが、例年のこの銘柄では考えられないようなポテンシャルの高さは実感できる。ただし、美味しく飲めるようになるまでは、このクラスでもある程度の忍耐が必要かもしれないが。 【86】
翌々日:トロミが出てきて、タンニンも柔らかくなって飲みやすくなった。2日後でも元気、元気。
日時 2002/12/14
銘柄 エシュゾー98(DRC)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 信濃屋にて有料試飲(1600円)
コメント ワイン会をはさんで二日続けてDRCとはなんと豪勢な、と思われるかもしれないが、実はこの週末、近隣の信濃屋がDRC特集の日替わり有料試飲を行っていたので、子供の散歩がてら立ち寄ったというわけ。
色はエッジがピンクの色調になったやや濃いルビーだが、昨今出回っている濃厚なブルゴーニュたちと比べたら、決して濃い部類に入る色合いではない。香りは華やかでスパイシー。シロップに漬けた黒い果実、シナモンやさまざまなスパイス、ミネラル、ダージリン、それにやや革っぽいニュアンス。口に含むと、昨日のロマネサンヴィヴァンとはうってかわって、厚みのある酒躯。酸やタンニンも豊富なんだけど、それらを抑え込むような充実した果実味があって、中盤以降、口の中が果実の甘味に満たされ、これだよ、これ、と言いたくなるようなフィニッシュと余韻を味わえる。もっとも、一見ふくよかな構成の中に見え隠れするタンニンと酸にはややギスギスしているというか尖った印象があって、偉大なワインに見られる「球体のような」テクスチャーとまではいかない。それでも、前日の94ロマネサンヴィヴァンのように首を傾げたくなるようなこともなく、貫禄の味わいだったといえるけど。
ちなみにこの日のエシュゾーは一杯1600円のところ、500円の買い物券があったので1100円で済んだ。なんだか得した気分。(^^)
【92】
日時 2002/12/13 〜その2
『キス・キスの会』
ねこさんの掲示板で話題になっていたえりかさん所有の赤白キスラーを飲ませていただこうという会が、Nappe&よもねこ宅にて開催された。今回はえりかさん所有の赤白キスラーをメインに、他にもいろいろすばらしい銘柄を飲ませていただき、ねこさんの新作料理も見事なものだった。当方子連れだったため早々に退散せねばならなかったのが唯一の心残り。メモをとらなかったので、感想は簡略版にて。
 
購入店感想

ジャック・セロス シュプスタンス
レコルタン・マニピュランのスタードメーヌによるトップキュベ。原酒の醸造に、シェリーに使われるソレラ・システムを用いているとか。白い花と強めのイースト香。泡は繊細で、口中で力強く複雑な味わい。美味しいです。

ムルソー96(コシュ・デュリ)

コシュデュリを飲むのはずいぶん久しぶり。磨きこまれた酸によるなめらかなテクスチャーの中に、黄色い果実、バターやナッツ、バニラなどのフレーバーが満載。 これは今まさに美味しい、非の打ち所のないシャルドネ。


キスラー・シャルドネ・マックレアビンヤード95

コシュデュリと比べると、こちらの方がビンテージが古いのに、まだ若く硬い印象すらある。やや青っぽさの残る果実、ハーブ、黄色い花、ミネラル。抜栓当初は酸がピリピリとすら感じられたが、時間とともに劇的にバランスがよくなってくる。いわゆる新世界的なコッテリ感とは無縁で、しっかりした構成の中にも繊細さがある。やはり只者じゃないですね、キスラー。

フェルトンロード・PN・ブロック3

生産量たった300ケースのNZのカルト・ピノ。60%新樽のフレンチオークで11ヶ月の熟成。かなり青さを感じる香り。といってもイヤな香りではなく、時の経過とともに複雑さを増しそう。果実味がとにかくみずみずしく、ミネラリーなフレーバーが満載で、今はまだ固いが、1〜2年も置いておくとグンとよくなりそうな予感。


キスラー・ピノノワール・ソノマコースト96

えりかさん持参の赤キス。
滅多に嗅ぐことのない、セメダインのような揮発香にポテンシャルの高さの片鱗を感じる。 果実味の凝縮感がスゴく、それでいて酸にデリカシーがある。ガッチリした構造とやわらかな果実味の両立はさすがだ。もっとも、まだまだ飲み頃は先という感じだけど。

ラ・ロマネ82

干しイチジク、かつおダシなどの乾いた熟成香。味わいは下り坂にさしかかっていて、果実味がドライアウトしはじめている。妖艶な魅力とまではいかないが、年月を経た古酒らしい味わいは体感できる。私の持ち込みだが、正直、も少し期待していた。キスラーと並べて飲んだら実に好対照だった(笑)。

シェイファー・ヒルサイドセレクト96

2年ほど前に飲んだときに比べると、やや乾いたタンニンが目立ち、閉じてきているのかな、と思わせるが、じっくり時間をかけて飲めば果実味が開いてきそうな予感がある。味わいが開くのを待つ前に帰宅しなければならなかったのが残念。

日時

2002/12/13〜その1

銘柄 ロマネ・サンヴィヴァン94(DRC)
産地 仏>ブルゴーニュ>ヴォーヌロマネ村
購入店 信濃屋にて有料試飲(2000円)
コメント 最近ワイン会にあまり出てないせいか、DRCを飲む機会がめっきり減ったなあ、と思っていたところに、たまたま近所の信濃屋に買い物に行ったら、DRCの有料試飲をやっているのに出くわした。94年のDRCは一般に評判が芳しくないが、実際のところどうなんだろうか、そんな興味もあった。
色は決して濃厚とはいえない、中程度のルビーで、エッジはすでにオレンジの色調がはっきりと見え始めている。グラスを近づけると陶然とさせられるような、赤い果実のシロップ漬け、ダージリン、甘草、モカ、土、シナモンなどが渾然一体となった力強い芳香。口をつけなくても、これだけで万札払う価値があるとさえ思わせる香りだ。自然と味わいにも期待がかかったが、こちらはどうもいけない。色合いからは想像できないような粘度がある反面、果実味に広がりがなく、 後半からフィニッシュに掛けては歯肉が痺れるようなタンニンが支配的になる。骨格はしっかりしているんだけどどうも肉付きがよくないという印象。94年のDRC、世評どおり「難しい」んでしょうか。我が家にも2本あるので、ちょっと鬱。
【90?】
日時 2002/12/12
銘柄 マコン・シャントレV.V99
(ドメーヌ・ヴァレット)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ヴァン・シュール・ヴァン
価格 3500円
コメント クリームシチューにあわせてマコンの名手の白を。濃厚な黄色の色調。香りは熟したグレープフルーツの皮や黄色い花、ミネラルなどの香りとともに、独特のキノコとバニラが入り混じったような、あるいはクリームチーズのような熟成香がある。口に含むとなめらかな酒質ながら、神経質なピリピリとした酸とフィニッシュにかけての苦味にやや興ざめさせられる。果実がこちらに向かって微笑むこともなく、表情は終始厳しい。面白いワインだと思うけど、すなおに美味しいといえないところがなんとももどかしいですねえ。
【85】
日時 2002/12/8
銘柄 シャンボール・ミュジニー2000
(フィリップ・エ・ヴァンサン・レシュノー)
産地 仏>ブルゴーニュ>シャンボール・ミュジニー村
輸入元 ラック・コーポレーション
コメント レシュノーは、ニュイ・サンジュルジュの各銘柄やレアもののクロ・ド・ラ・ロッシュが有名だが、ヴォーヌロマネやジュブレイ・シャンベルタン、モレ・サンドニ、そしてこのシャンボールミュジニーなど、各AOCの村名もリリースしている。
濃厚なルビーで、エッジは赤紫色の締まった色調。香りは黒い果実、スミレ、ミネラル、それにエスプレッソなど。口に含むと、黒い果実味の充実したアタック。タンニンのキメ細やかさは、村名クラスとは思えないほどで、そのため凝縮感があるのに羽毛のように軽いテクスチャーが非凡だ。構成がやや直線的すぎるのと、シャンボールにしては繊細さや透明感に欠けるキライはあるものの、村名のレベルを大きく超える濃厚で洗練された酒質はレシュノーの実力の片鱗をうかがわせるのに充分だ。
【90】
日時 2002/12/6
銘柄 エルミタージュ89(カーヴ・ド・タン・レルミタージュ)
産地 仏>コートデュローヌ>エルミタージュ
購入店 信濃屋
価格 5980円
コメント エルミタージュの共同組合(カーヴ・ド・タン・レルミタージュ)は、このAOC全体の生産量のかなりを占めるだけでなく、おしなべて品質が高いことでも知られている。地味な銘柄ではあるけれども、最近バックビンテージをあちこちで目にするし、価格も(年代を考えれば)安いので、一丁 試してみることにした。
色は 濃いのだけど、ややにごったガーネット。そして干しイチジク、麦わら、腐葉土などのかなりしんみりとした香り。口に含むと、やさしく甘く濃縮された果実味が心地よいものの、酸がしなびているせいか、酒質がなにかこうドロンとした感じで精彩がなく、すでにピークを越えた感は否めない。エキス分がしっかりしていることから、かってははちきれんばかりの果実味とガシガシのタンニンだったんだろうなあ、とつい若いころの姿を思い浮かべてしまう。89年にしてすでに下り坂というのは、ちょっとカナシイが、これはボトル差かもしれない。余った分を夜中に飲もうとしたら、消し炭のような臭いが強くなっていた。
【85】
日時 2002/12/4
銘柄 ブルゴーニュ2000(メオ・カミュゼ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 尾張一宮河野酒店/日合商事
価格 3290円
コメント 人間ドック受診のため日曜から禁酒していたが、無事終わったので(って無事かどうかはまだわからないが…)、4日ぶりにボトルを開けた。メオ・カミュゼは人気の作り手だけあって、ACブルでも3290円と悩ましい価格。色は中程度のルビーで、エッジは緩めのピンク。香りは赤系果実や梅に加えて、やや革やジビエっぽいニュアンスが出ている。口に含むと、力強さはないものの、色調よりはずっと濃密な旨みとじわじわと広がるような酸とがあり、タンニンは大人めで、現時点で飲みやすい味わい。スケールは小さいが酸味基調になかなかよくまとまった侮りがたいピノ。3000円出すのなら、個人的にはコートシャロネーズとか、マルサネ、フィクサン、サントネイあたりの良い作り手のものを選んだ方が満足度は高いと思うが、スタードメーヌの片鱗を捜し求めながら飲むというのも、また一興かと。【84】