2002年4月

日時 2002/4/28
銘柄 エルミタージュ98  (E・ギガル)
産地 仏>コートデュローヌ>エルミタージュ
購入店 ウメムラ
価格 2990円
コメント ギガルのエルミタージュって、ネゴシアンボトルのためか、いまひとつ話題に上らないけど、以前は正価で6000円ぐらいしてたはずだ。それがセール価格とはいえ、3千円以下で買えるとは(しかも98年)、我ながら良い買い物をしたものだと自画自賛。
色は濃いガーネットでエッジはピンクのグラデーション。香りはこれぞまさに、と言いたくなるような黒コショウ、オリエンタルなスパイス、ブラックチェリーやカシスのジャム、オーク。土っぽいニュアンスもあるが、それほど強くはなく、むしろ洗練された香りだ。味わってみると、スパイシーで甘い果実味がじんわりと広がり、豊かなタンニンはなめらかで、酒質はトロリとしている。バックボーンにしっかりした酸があるんだけど、濃密な果実味がそれを覆い隠すような印象。豊かで洗練されたエルミタージュで、今はまだそれほど複雑さは出ていないが、数年置いておくとすばらしい変貌を遂げそうな予感がある。これが3千円なら大いによろしいんじゃないでしょうか。 【89】

日時 2002/4/26
銘柄 ヴォーヌ・ロマネ93(アンリ・ジャイエ)
産地 仏>ブルゴーニュ>ヴォーヌロマネ村
購入店 味倶楽部くらりす
価格 28000円
コメント

明日からGWだというのに、仕事で追い詰められて、鬱病にでもなりそうな週末。そんな時にたまたま帰りの駅でワイン好きの友人にバッタリ会ったので、無理やり某所のワインレストランに誘い出した。93村名で28000円という値段は、相場的にどうなのかは最早わからないが、久しく外食でまともなものを食べてなかったことと、半ばヤケクソになっていたこともあって、頼んでみた。

色は良質なイチゴゼリーのような透明感のあるルビーだけど、店内が暗いのでエッジまでは確認できない。香りは最初閉じ気味だったが、時間とともに、イチゴやラズベリーなどの鮮やかな赤系果実のリキュール、白っぽいさまざまなスパイス、それに焼きたてのパンのようなニュアンスが加わる。複雑さはまだそれほど出ていないけど、なんというか香りそのものに質量を感じてしまいそうな密度感のある香りだ。
味わいは、まずなんといっても鮮烈なまでの果実味の第一印象がスゴイ。といっても、当世流行のローヌっぽい濃さではなく、あくまで透明感とシャープさがあるところが素敵だ。酸はしなやかに果実を支えているが決してでしゃばらず、滑らかに溶け込んだタンニンは、フィニッシュにやや顔を出す以外、果実味に隠れてほとんどその存在すら忘れてしまいそうになる。
その一方で、 ボディはしっかりしているものの、やや密度感の面で不満が残るのと、 余韻が期待したほど強くない点が残念。

なんのかんの言っても、やはり村名ゆえか、このボトルから、値段に見合う圧倒的なまでのものは感じない。しかし、果実の鮮烈さは比類がなく、それでいて破綻をきたさない調和のとれた味わいは、やはりアンリ・ジャイエが騒がれるだけのことはあると思った。

ところで、「ひとりごと」にも書いたけど、アンリ・ジャイエって、88年の収穫を最後に引退したって、よくものの本に書いてありますよね。そのわりには94〜5年ぐらいまでのボトルを時々見かけるんだけど、これって、どういうことなんでしょう?趣味で細々とでも作っていたのか、それとも折半耕作の支払い分かなにかなのか…?
おわかりの方、教えてください。
【92】

感想 ちなみに、この日の支払い総額は、2人で36000円也。頼んだコースが3000円のコースだった上にサービス料などが加算されないので思ったより安上がりだった。それにしても、3000円のコースで28000円のワインとはまあ、なんてアンバランスな…。

日時 2002/4/23
銘柄 シャトー・ヌフ・デュ・パプ99 
 (フォント・ド・ミッシェル)
産地 仏>コートデュローヌ>CNP
購入店 ウメムラ
価格 3350円
コメント 濃いめのガーネットだが、エッジはそれほどしっかりした色調ではない。カシスやプラムのジャム、甘草、それに甘くフローラルなニュアンス。味わいはアタックに濃縮感のあるジャムっぽい果実味があるが、タンニンはなめらかで、全般に甘くたっぷりした、それでいて酸度の低いデカダンな雰囲気。力強さはないが、包み込むような味わいが魅力のワイン。ただし、個人的にはジャム的な果実味のシツコさがちょっと気になる。
当主のゴネ兄弟は、シャトー・ヌフ・デュ・パプの著名な生産者であるヴィユー・テレグラフの甥にあたり、ワイン作りについてもテレグラフの指導を受けてきたとのこと。セパージュはグルナッシュ65%を中心にさまざまな銘柄を混醸する、このAOCに典型的なもの。スペシャル・キュベに『キュベ・エティエンヌ・ゴネ』がある。【87】
日時 20024/20
銘柄 サン・ジョセフ・キュヴェ・サン・エピヌ99
(ロマノー・ディストゥゼ)
産地 仏>コート・デュ・ローヌ>サンジョゼフ
購入店 いただきもの
コメント エッジにピンクがかった健康的なルビーで、香りはブラックチェリーやカシスなどのジャム状の果実に加えて、ハーブ、硝煙、それにサワークラウドや汗っぽいような独特の香り。味わいは、みずみずしい果実味をしっかりした良質な酸と細やかなタンニンが受け止めて、角の取れたなめらかなテクスチャーと、たっぷりした豊かな味わいを実現している。ハーブと腐葉土の入り混じったような独特のフレーバーに対しては、好き嫌いが分かれそうだが、全般によく仕上げられた、上質なワインだと思う。
翌日:フレーバーがより穏やかになり、飲みやすくなった。確実に二日目の方が好印象だ。 【88】
感想 ベアトリス・スオー氏が夫人の経営するドメーヌを引き継いでワイン作りをはじめたのは、93年とまだ新しい。しかし、ティエリー・アルマンとダール・エ・リボの元でワイン作りを学び、醸造は、プリューレ・ロックのフィリップ・パカレ氏が手がけるという、ここはまさにサラブレッドのようなドメーヌだ。学んでいる顔ぶれからしてわかるように、徹底したヴィオデナミ志向で、全てのワインにSO2は一切使用せず、補糖もしない。もちろん、 ノンフィルター、ノンコラージュ。作りは今月の初めに飲んだダール・エ・リボにとてもよく似ている。追いかけてみたい生産者だ。

日時 2002/4/19
松原に注文していたルーミエのハーフボトルが入ったというので、会社帰りに引き取りに行ったら、ibecchiさんとY君が来てた。帰り際、M山先生も合流。
銘柄

オー・コート・ド・ニュイ99(ジャイエ・ジル)
輝きのあるイエロー。リンゴや熟したグレープフルーツ、ミネラル、バニラ。均整のとれたプロポーション、丸くなめらかだが主張のある酸。 目鼻立ちのくっきりしたシャルドネ。 ちなみにラベルがゴージャスになったが、見慣れないせいか、なんだか違和感がある。昔の手貼り風も味があってよかったのに。
【87】


ピュリニー・モンラッシェ・クラヴァイヨン99
(ルフレーヴ)

最初閉じていたが、小一時間もすると、柑橘系果実やミネラル、白い花などの若々しい香りが立ってくる。なめらかながら凝縮感のある果実味、しとやかな酸、前銘柄に比べると粒子が1ランク細かい印象。中盤から末広がりに存在感を増す感じがいい。さすが。
【89】


シャンボール・ミュジニー94(ハーフボトル)
(G・ルーミエ)

蔵出し。輸入元はフィネス。透明感のある明るめのルビーの色調。赤系果実のリキュール、シナモン、ダージリン。力強くはないがニュアンスに富んだ味わい。かすかにタンニンが残るものの、調和のとれたフィニッシュは見事だ。良年のようなもう一段果実の甘味ののった味わいには達しないが、コンディションもよく、値段を考えれば十分だろう。
【88】


ポール・バラ・ブリュット・レゼルブ
麦わら色っぽいイエロー。しっかりした気泡。クロワッサン、軽く焼いたトースト、カリン。酸がしっかりしており、勢いのある気泡とあいまって、口中でシャキッとした味わいを見せる。端麗辛口。
【88】

いつものことながら、ごちそうさまでした。


日時 2002/4/18
銘柄 ヴォルネイ・カイユレ・クロ・デ・ソワサント・ウヴレ96
(プスドール)
産地 仏>ブルゴーニュ>ヴォルネイ1級
購入店 東急本店
価格 3500円(セール価格)
コメント ややトーンの低いルビーでエッジは退色が始っている。香りは、やや閉じ気味な中に、ダークチェリーなどの果実、白っぽいスパイス、ミネラル、それにまるでアルミ箔を舐めているかのような金属的なニュアンス。口に含むと、スパイシーで、高めの酸が味わいを支配し、思わず襟元を正したくなるような、凛としたたたずまいがある。
コルクの状態も完璧で、コンディションは悪くないけれども(実は結構心配していた) 、現時点ではバランス的にかなり酸が強めの印象があって、甘い果実味が前面に出てきて飲みやすくなるまでに1時間半を要した。関係ないが、前歯にいつのまにか虫歯が出来たらしく、飲んでいて、酸が歯にしみて痛くてしかたなかった。
【88】

日時 2002/4/16
銘柄 ジュブレイシャンベルタン・オー・コンボット83
(デュジャック)
産地 仏>ブルゴーニュ>ジュブレイシャンベルタン村1級
購入店 ワインビッド(米)
価格 60ドル
コメント 去年の冬以降、落札したボトルたちが送られてこなくなり、いくら問い合わせてもなしのつぶてだったワインビッドだが、十数回の催促の末、やっと連絡がついて、今週末か来週あたりには送られてくることになった。トラブルの原因は推測によるしかないが、どうも、「shipmentのリクエストを出すまで落札品を送らない」よう依頼した際に、あちらが処理を誤って、それ以降のデータが迷子になってしまった、というようなところのようだ。
ま、とりあえず無事送ってもらえるようになったということなので、この日は久しぶりにワインビッドで落札したボトルを開けることにした。

色は全般にレンガがかったオレンジガーネットで、エッジはあたかもはかない色調になっている。バラやファンデーション、マツタケなどのデュジャック独特の妖艶な香りは感じられるものの、赤系の果実はすでにドライフルーツっぽくなっており、麦わらっぽい香りやややマディラっぽいニュアンスがまざっている。 味わいも下り坂にさしかかっており、ボトルから注いだ当初こそ心地よい果実味が感じられるが、それも時間の経過とともにグラス内でひからびたようになり、乾いたタンニンばかりがフィニッシュに目立つようになる。噴いた跡もあり、決して状態が良いとは言えないボトルだが、83年というビンテージ(の古さと悪さ)を考えれば、まあ及第点という気もするし、レストランで出されても交換を要求するところまではいかないレベルだろう。デュジャックは、前にワイン会に持参した82年もそうだったけど、よほどの良年以外は、あまり寝かせすぎずに飲んだ方がよい気がする。
【87】

日時 2002/4/14
銘柄 ラ・キュベ・ミティーク98
産地 仏>ヴァンドペイ・ドック
購入店 ファインワインクラブで購入後1年半セラー保存  
価格 1500円(当時)
コメント 濃いガーネットだが、エッジはピンクやオレンジが入り混じったような微妙な色調になっている。香りは、カシスやブラックチェリーのジャムっぽい果実、土、スパイス、それにジビエやビターチョコ。口に含むと、スパイシーなアタック。各要素が拮抗して、がっちりしたグリップがあり、ブラインドだとシャトーヌフ・デュ・パプあたりと答えそう。フィニッシュには果実味とともにビターチョコのようなオークのフレーバー。ただ、ジャムっぽい果実味といい、ネットリしたタンニンといい、太目の酸といい、あまり質感があるとは言えず、ややシツコさを感じるのも事実。値段を考えれば、それほど多くを望むのは酷というものなんだろうけど。
【84】
感想

ラングドック・ルーション地方にあるヴァル・ドルビューの生産者協同組合が作るこの銘柄は、世界的に人気が高く、毎年世界各国には割り当て制で供給されるとか。セパージュはシラー、ムールヴェードル、グルナッシュ、カベルネ、カリニャンのブレンド。コミック「ソムリエ」でもとりあげられ、98ビンテージはパーカーさんが91点という高得点をつけたことでも話題になった。私としては、好みのタイプではないけど、 値段のわりに高品質なワインなのは確かだと思う。 かなり前に何本かまとめて購入したものだが、最初に飲んだときに比べれば、ずいぶんと印象はよくなった。まだ寝かせておいても面白そうだ。


日時 2002/4/11
銘柄 プイイ・フュッセ・アン・ビュラン00
(ダニエル・バロー)
産地 仏>ブルゴーニュ>AOCプイイフュッセ
購入店 ウメムラ
価格 2450円
コメント

黄金色っぽいイエローに、一しずく黄緑の絵の具をたらしたような色調。熟したグレープフルーツやレモン、ミネラル、黄色い花、それに品のよいバニラのニュアンス。味わいはみずみずしく濃縮された果実味をしっかりした鋼のような酸が受け止めている。圧倒されるほどの凝縮感はないが、その分コッテリ系にならず、控えめなオークのフレーバーもあって、きらびやかな柑橘系の果実味を残しているところがいい。ただ、現時点では酸が硬くキツい印象があるので、数年寝かせたほうがいいだろう。【89】

  ブル白の超ハイCP銘柄として有名なダニエル・バロー。
もともと4世代に渡ってブドウ栽培に従事してきた家系だが、ドメーヌを興したのは比較的最近の1979年のこととか。1990年代初めより頭角を現わし、今やパーカーさんも5つ星をつける押しも押されぬスタードメーヌだ。
飲んでみると、酸がしっかりしており、柑橘系のみずみずしい果実味とあいまって、その味わいはコートドールの一流の作り手に通じるものがある。れが2千円台で買えるのだから、品薄になるのも当然というものだろう。開けたては酸がめだったが、二日目になるとトロみがでてきて、初日よりバランスよくなった。こ同時に購入したもう一本は2〜3年寝かせたから飲んでみたい。

日時 2002/4/10
銘柄 モレ・サン・ドニ・プリミエクリュ96
(ユベール・リニエ)
産地 仏>ブルゴーニュ>モレサンドニ村
購入店 自然の仲間たち
価格 5280円
コメント エッジにピンクがかった濃いめのガーネット。香りは…、あれれ?ブショネでした。(泣)
まあ、ブショネの度合いはそれほど酷いものでなく、味わいはなんとか楽しめるレベルだったのが救い。黒系の純度の高そうな果実味、やや乾いたタンニン、伸びやかで質感のある印象的な酸がエレガントにバランスがとれて、なめらかでありながら芯のある構造。フィニッシュは現時点ではまだややタニック。ブショネだったのが返す返す残念だが、健全なボトルだったとしても、ちょっと飲むには早かったかも。【--】

日時 2002/4/5
銘柄 Ch.ラネッサン96
産地 仏>ボルドー>メドック>オーメドック
購入店 楽天某店
価格 1800円(セール価格)
コメント 久しぶりのボルドー。濃いガーネットの色調でエッジにややオレンジが見える。香りは研ぎ澄まされたような、ブラックベリーのコンフィ、鉛筆の芯、黒土、中国のスパイス、口に含むと、心地よく濃縮された果実味のアタック、中程度のボディで、酸はしっかり、タンニンも豊富だが、広がりはそれほどではない。フィニッシュには伸びやかな酸が感じられ、ほどほどの余韻。よくできた優等生的なボルドーで樽のフレーバーがでしゃばらないところがいい。通常3000円前後で売られている銘柄だが、今回の購入価格ならお買い得感は強い。【87】

日時 2002/4/3
銘柄 サン・ジョゼフ99(ダール・エ・リボー)
産地 仏>コートデュローヌ>サンジョゼフ
購入店 優心美酒SHIMURA
価格 2700円
コメント

エッジに紫がかった濃いガーネットで、澱が舞っているのは、清澄処理やフィルター処理を施してないせいか?香りは、独特の火薬や汗のような臭い、それに、ハーブ、ダークチェリーなどの果実。味わいはミディアムからフルボディで、果実味に搾りたてのブドウ汁のようなみずみずしさがあり、伸びやかでやや高めの酸となめらかなタンニンとがきれいにバランスされ、1本飲んでも飽きの来ない、ジューシーでいて奥行きのある味わいを実現している。個性的な香りにさえ抵抗がなければ、この価格でこれだけの味わいはそうは得られないだろう。【87】

感想 ダール・エ・リボーは、1984年、ジャン・ダールとフランソワ・リボにより設立されたドメーヌ。樹齢(50年以上)の 古い木の植わった区画を含む6haのぶどう畑を所有。 点数でワインを評価するジャーナリスト達を毛嫌いしているため、評論誌にも載らず、ワイン愛好 家の中でも「知る人ぞ知る」ワインとなっているとか。ワインの発酵には天然酵母を使用、清澄もフィルターもかけず、除梗は一切せず、SO2も不使用と、 徹底したビオディナミを実践している 。SO2を添加していないため劣化しやすいという問題はあるし、いわゆるローヌのシラーらしさとはちょっと異なる路線かもしれないが、コストパフォーマンスは大変良好だ。