明日からGWだというのに、仕事で追い詰められて、鬱病にでもなりそうな週末。そんな時にたまたま帰りの駅でワイン好きの友人にバッタリ会ったので、無理やり某所のワインレストランに誘い出した。93村名で28000円という値段は、相場的にどうなのかは最早わからないが、久しく外食でまともなものを食べてなかったことと、半ばヤケクソになっていたこともあって、頼んでみた。
色は良質なイチゴゼリーのような透明感のあるルビーだけど、店内が暗いのでエッジまでは確認できない。香りは最初閉じ気味だったが、時間とともに、イチゴやラズベリーなどの鮮やかな赤系果実のリキュール、白っぽいさまざまなスパイス、それに焼きたてのパンのようなニュアンスが加わる。複雑さはまだそれほど出ていないけど、なんというか香りそのものに質量を感じてしまいそうな密度感のある香りだ。
味わいは、まずなんといっても鮮烈なまでの果実味の第一印象がスゴイ。といっても、当世流行のローヌっぽい濃さではなく、あくまで透明感とシャープさがあるところが素敵だ。酸はしなやかに果実を支えているが決してでしゃばらず、滑らかに溶け込んだタンニンは、フィニッシュにやや顔を出す以外、果実味に隠れてほとんどその存在すら忘れてしまいそうになる。
その一方で、 ボディはしっかりしているものの、やや密度感の面で不満が残るのと、 余韻が期待したほど強くない点が残念。
なんのかんの言っても、やはり村名ゆえか、このボトルから、値段に見合う圧倒的なまでのものは感じない。しかし、果実の鮮烈さは比類がなく、それでいて破綻をきたさない調和のとれた味わいは、やはりアンリ・ジャイエが騒がれるだけのことはあると思った。
ところで、「ひとりごと」にも書いたけど、アンリ・ジャイエって、88年の収穫を最後に引退したって、よくものの本に書いてありますよね。そのわりには94〜5年ぐらいまでのボトルを時々見かけるんだけど、これって、どういうことなんでしょう?趣味で細々とでも作っていたのか、それとも折半耕作の支払い分かなにかなのか…?
おわかりの方、教えてください。
【92】
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