世田谷太郎さんの持参のボトルは、昨年、彼と私とが、お互いそれと知らずにワインビッドで競りあって、結局世田谷氏が落札したといういわくつきのもの。そのボトルをこうして一緒に飲めるというのも感慨深いというかなんというか。 それはともかくこのボトル、実にすばらしかった。クロ・ド・ラ・ロッシュよりさらにコンセントレーションのある赤系果実やバラ、ファンデーション、スパイス、ジビエなどの香り。味わいも力強く凝縮感があって、より線が太い。前銘柄が熟成のピークに近づいているのに対し、こちらはまだまだ上り坂で力がみなぎっている感じ。RPは、こちらが94点、クロ・ド・ラ・ロッシュが93点だが、比べて飲んでみると、この1点の差って皮膚感覚的にとても共感できる。もっとも、今回のボトルについては、銘柄間の差もさることながら、保管状態の違いも寄与しているのだろうけど。 どこかで同じ銘柄があったら、ぜひ手に入れたいところだが、きっと値段も半端じゃないでしょうなあ。【95】
暗めの色調のガーネットで、エッジは99年にしては早くもはかなげな色調になっている。香りは、カシスやプラムのコンフィ状の果実、オレンジの皮、ロースト、土、キノコ、ジビエなど、色調と同様に、熟成した雰囲気がすでに見られるのが面白い。味わいは最初酸を強めに感じたが、時間とともにどんどんバランスが良くなる。旨みのある果実味を中心に、よく熟した豊かなタンニンと張りのある酸が心地よくバランスされて、しっかりしたストラクチャーを見せる。その一方で独特の熟成した雰囲気がなんとも個性的。過去飲んだワインの中ではプリューレ・ロックを彷彿させるものがあるが、 それもそのはず、 「ドメーヌ・ド・シャソルネー」はかのプリューレ・ロックの愛弟子であり、バイオダイナミズムの実践者として本国でも96年のデビュー以来注目を浴び続けている作り手である。ちなみにこの畑はロック氏の自宅のまん前の畑だとか。 翌日:初日からしてずいぶん熟成した雰囲気だったので、二日目は衰えてしまうのではと思ったが、なんのなんの、果実の甘みとボデイのふくよかさが増し、より魅力的な味わいになった。おそるべし、ヴィオデナミ、ってか。 【89】
シャルムシャンベルタン99 (クロード・デュガ)