2001年9月8日(土)

「鬼のいぬまにバーガンディナイト」
今日のフルール・ド・プリムールのワイン会は、最近ちょっといい思いをしている?Y君の主催。クロ・ド・タール、ユベール・リニエ、エマニュエル・ルジェと最近私が興味を持っている作り手ばかりなので、興味津々で参加した。

銘柄 シュバリエ・モンラッシェ97(ルイ・ジャド)
感想 ジャドのシュバリエには、自社畑の「ド・モワゼル」とネゴシアンものの2種類があるが、こちらはネゴシアンもの。
色は濃いめのイエローで、輝きがあり、ややゴールドがかっている。黄桃、パイナップル、黄色い花、バニラ、ミネラル。味わいはふくらみのある豊かな果実味のアタック、酸はなめらかで、ショッパイぐらいのミネラルのフレーバーがある。アタックの豊かさに比べると、中盤のグリップが今ひとつという気もするが、フィニッシュはみずみずしい果実味を中心に調和がとれている。 【87】
銘柄 クロ・ド・タール(モメサン)
95 濃いめのルビーで、エッジにややオレンジがかっている。生肉、黒系の果実、ミネラル、シナモンなどのスパイス、それにバニラのニュアンス。味わいはしっかりした酸の第一印象。果実味はクリーンでやや旨み成分を伴い、タンニンはキメ細かく豊富で、しっかりした骨格を見せる。内向的でクラシカルなスタイルのワインで、今はタニックでいかめしい表情だが、熟成させるとすばらしく変貌しそうだ。【88】
96 エッジにピンクが残るやや濃いめのルビー。最初エスプレッソなどのロースト香や焼き栗の香りが支配的で、時間をおくと、チェリーや赤系の砂糖漬けの果実のような香りが出てくる。味わいは心地よい果実味が健全な甘味を伴い、タンニンはシルキーで、豊かでしなやかな酸とともにバランスのとれた立体的な味わいを見せる。95に比べるとずっと外交的で親しみやすいが、それでいて品格がある味わいが素敵。【90】
銘柄 クロ・ド・ラ・ロッシュ(ユベール・リニエ)
97 紫がかった濃いルビーでエッジはピンクの色調。生肉、丁子などのスパイス、ミネラル、黒系の砂糖漬けの果実、ハーブ。味わいはなめらかで厚みのある果実味の第一印象。それを上質でしなやかな酸とシルキーなタンニンがバランスよく受け止め、どこまでも自然でスムーズな広がりが見事。フィニッシュにはややビターチョコっぽいフレーバーとピュアな果実味、そして長い余韻。すばらしい。【92】
98 濃いルビーで、全体に紫がかっている。香りは固く閉じているが、その中にも、豊かな黒系果実やゲーミーなニュアンスが篭っている。味わいはネットリした厚みのある果実味のアタック。とにかくタンニンのなめらかさが出色。酸は97よりやや大人めで、品格のある自然な広がりには陶然とさせられる。コーヒーっぽいフレーバーを伴ったフィニッシュのあと、甘い果実の余韻が長く続く。【92】
銘柄 エシュゾー(エマニュエル・ルジェ)
96

濃いめのルビーで、エッジにややピンクの色調。赤系の果実のリキュール的な香り、シナモンなどのスパイス、それにミルキーな樽香。奥から生肉やなめした皮のようなゲーミーなニュアンスも。味わいはピュアーで甘い果実味のアタック。中間部からは酸がしっかり出てきて立体感のある味わいを形成する。タンニンはシルキーで、口中で充分な広がりもあり、甘く濃縮感のある果実味がフィニッシュまでバランスよく続く。余韻もとても長い。お見事、と言いたくなるようなピノ。【93】

97 やや濃いルビーで、すでにオレンジの色調がエッジに見られる。赤系のリキュールっぽい果実、オレンジピール、紅茶、ミネラル。味わいはなめらかな果実味の第一印象。96ほどのボリューム感はないものの、スムーズな縦への広がりがある。クラシックな構成のワインで、ピュアで透明な果実味はすばらしいが、96の出来に比べるとやや期待はずれの部分もある。【88】
さて、今日の各銘柄、会に臨むまでは、まだガチガチで飲めないんじゃないかとの懸念もあった。しかし、開けてみるとどれもまだ若いとはいえ、さすが名門の作り手ぞろい、期待にたがわぬ味わいをみせてくれた。クロ・ド・タールは、クラシックな凛とした味わいがすばらしく、今それなりに飲めるとはいっても、そのポテンシャルを発揮させるにはもっと長く熟成させたいと思わせる味わいだった。ユベール・リニエはそれに比べると、ぐっとモダンな味わいで、あれだけの密度感を保ちながら、すばらしいタンニン。今でもすでに美味しく飲めるのは驚異的だ。熟成能力についてはどうなのだろうか?たとえば10年15年後に再度クロ・ド・タールと並べて試飲できたら面白いかもしれない。ルジェはよくわからない。96はとにかくすばらしかったけど、97はちょっと拍子抜け。97のボトルは決してコンディション不良のそしりを受けるようなものではなかったけど、非のうちどころのなかった96と比べてしまうとやや熟成が進んでいる気もした。それに、ルジェに関して思うことは、年や銘柄によって、洗練された今風の作りに感じられたり、ぐっとクラシックな作りに感じられることがあったりして、あんまり一貫性を感じないことだ。まだ数種類しか飲んでないので、偉そうなことは言えないのだけど…。

ここから先は、恒例のブラインドあり、差し入れあり。私(とY君)は途中から前後不覚になってしまったので、覚えているところまで。
銘柄 Ibecchiさんよりブラインド
感想 明るめのルビーで、エッジが透明になっている。生肉っぽい香りや赤系のリキュールっぽい果実。味わいはなめらかで豊かな果実味。酸はしなやかだが、しっかり感があり、タンニンもなめらかだが存在感がある。ブルゴーニュ。各要素のしっかり感とタンニンのしっかり感からして、93か95年。モンジャーニュ・ミュニュレの95サヴィニー・レ・ボーヌあたりか?

→クロ・ヴージョ・ミュジニー95(グロ・フレール・エ・スール)
銘柄

U保店主よりブラインド

感想 濃いめのガーネット。ハーブ、ブルーベリーなどに加えて、ややスエたような独特の香り。味わいは厚みのある果実、ベッタリしたタンニン、酸はなめらか。未経験の香りと味。まったくわからない。

→CLINE ムールヴェードル97(Ancient Vines)
これは珍しいカリフォルニアのムールヴェードル。
銘柄 ココママよりブラインド
感想 明るいルビー。オレンジピール、プラム、ハーブ、シナモン。味わいは甘くやわらかな果実味、酸は豊かだが、やや果実の甘味に押されている。タンニンは熟した印象。甘くフレンドリーな美味しさ。順当に考えればカリフォルニアだけど、色がやけに薄いんだよなあ。良い作り手のACブルゴーニュ?

→テスタロッサ Pisoni Vineyard
う〜ん、考えすぎ。
銘柄

A野さんよりブランド

感想 かなりメモが怪しくなってくる。重油香。やや水っぽいアタック。果実味酸とのバランスよく、比較的ドライな印象。アルザスのピノグリ?

→Becherelle96(ニコラ・ジョリー)
銘柄 ボンヌゾー(シャトー・ド・フェル)
感想 高橋さん差し入れ。オレンジピール、カリン、ハチミツ、黄色い花。やわらかい果実味がじんわりと甘味をともなって広がり、しっかりした酸がそれを後支えする。う〜ん、ロワールの甘口はは美味しいですね、酸がしっかりしてて。
銘柄 Ch.ランシュバージュ98
感想 U保店主差し入れ。ハーブ、生肉、ブラックチェリー、中国のスパイス。味わいはややスリムながら、果実味に濃縮感があり、今すでに飲める。
このあとフィーヌも差し入れられたが、酒量オーバーで飲んでません。それと、いつものことだけど後半は酔いが回ってたのと、一口ぐらいずつしか飲んでないので、コメントはいい加減な点はご了承を。
ともあれ、みなさま、どうもご馳走さまでした。
それにしても、Y君は無事帰れただろうか?