2001年6月7日(木)
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「ザ・ハーミット」テイスティング会
先週に引き続き、会社帰りに、大手町の「ザ・ハーミット」のテイスティング会に出席。この日のテーマは「ブルゴーニュのプリミエクリュ」。まず最初はブシャール・ペール・エ・フェスの水平から。同じ作り手のAOC違いをまとめて飲める機会ってあまりないから貴重だ。

銘柄 ポマール1erクリュ96(ブシャール・ペール・エ・フェス)
感想 畑名なしのプリミエクリュ。 エッジにオレンジがかった中程度のルビー。香りはフレッシュなラズベリーやチェリー、回すと白コショウなどのスパイスや、皮っぽいニュアンスが感じられる。味わいはやわらかい果実味の第一印象。後述のヴォルネイより太めのしっかりした酸と、豊かでややざっくりしたタンニン。ヨコへの広がりもあって、構成は中程度。フィニッシュにはやや苦味が加わり、果実の甘味と苦味のまざったアフタフレーバー。【82】
銘柄 ヴォルネイ・フレミエ・クロ・ド・ラ・ルジョット96
(ブシャール・ペール・エ・フェス)
感想 これはブシャールの自社畑。やや濃いめのルビーで、エッジにはややオレンジ。やや火を通したイチゴやラズベリー、それにシナモンなどのスパイス。熟成系の香りは感じられず、きれいな香り。味わいはなめらかな果実味のアタック、タンニンはやや乾いているが、酸がクリーンで凛とした印象がある。構成はややスリムで、フィニッシュには果実味とともにスーッと鼻に抜けるような酸が感じられる。全般に派手さはないが、ヴォルネイらしい清楚な味わい。【83】
銘柄 ヴォルネイ・カイユレ・アンシャンヌ・キュベ・カルノ96
(ブシャール・ペール・エ・フェス)
感想 これも自社畑のもの。ややエッジに透明の色調が見られるやや濃いめののルビー。トップノーズに赤身肉のような香りが感じられたが、すぐに閉じてしまい、しばらく置くと、シナモンや石灰、ラズベリー、オレンジピールなどの香りがほんのりと出てくる。味わいは透明感のある果実味のアタック、タンニンはキメ細かいがやや乾いた印象で、酸は伸びやか。構成はややスリムで、フィニッシュには果実味とともに酸がしっかり感じられるものの、余韻はあまり長くない。【83】
銘柄 ボーヌ・グレーヴ・ヴィーニュ・ド・ランファン・ジェズ96
(ブシャール・ペール・エ・フェス)
感想 ラベルに幼子のキリストの絵が書かれた、ブシャールの看板畑のひとつ。エッジにオレンジがかった濃いめのルビー。香りはトップノーズからフルーティなチェリーやラズベリーのシロップ漬けのような香り。オレンジ・ピールやスミレのようなフローラルな香りもあって、熟成香は感じられず、透明な果実香中心。味わいはやわらかくみずみずしい果実味が口の中で甘味をともなって広がり、タンニンはなめらか、酸もクリーンで、構成は中程度ながら、やわらかなふくらみがあり、豊かな果実味を中心に、調和のとれた羽毛のような軽やかなフィニッシュ。とてもチャーミングなワインで、前3銘柄よりは1ランク上の印象。【87】
同じ作り手の同一ビンテージをまとめて飲む機会ってなかなかないのだけど、こうして飲んでみると、構成のしっかりしたポマール、酸が伸びやかで優雅なヴォルネイ、果実味豊かでしなやかなボーヌと、ブシャールの4銘柄はからはそれぞれのAOCの違いが感じられて、勉強になった。 さて、次は、畑よりも作り手の個性を実感する2銘柄。
銘柄 ヴォーヌ・ロマネ・クロ・デ・レア97(ミシェル・グロ)
感想 紫がかった濃いルビーで、エッジにやや透明がかっている。香りは独特で、赤身肉や、タール、厩臭が強烈に感じられる。マディランとかトスカーナのワインなどで時折感じるこの手の香りが、ブルゴーニュのワインでこれだけ感じられたのって初めての経験だ。しばらく置くと、落ち着いてきて、カシスやダークチェリー、それに丁子やナツメグなどの複雑な香りが出てくる。味わいは濃縮感のある豊かな果実のアタック。酸は伸びやかで、タンニンは豊かで緻密。味わいのバランスはとれていて、まだ各要素がこなれているとはいえないけれども、やわらかな果実味中心に、今でもそれなりに飲める。一連のコート・ド・ボーヌの後に飲むと、ニュイならではの複雑さとしっかり感が際立つ印象だ。それにしても、香りには驚いたなあ。【85?】
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・オー・ポワレ98(ジャイエ・ジル)
感想 濃いルビーで、全般に紫がかっており、若さを感じる色調。香りはトップノーズからカシスやダークチェリーのコンポート、ドライハーブ、紅茶、それにミルキーなニュアンスがマッチしている。少し置くと、さらにカラメルやビターチョコのような上質な樽香がパワフルに立ってきて、参加者から感嘆の声があがる。味わいは甘い豊かな果実味がシナモンのようなフレーバーを伴って、口中で縦に広がる。酸はしなやかで、タンニンもなめらかであり、樽が大いに効いていながら、果実味がクリーンでピュアな味わいを維持しているところにはいつも感心する。ただ、以前飲んだ96ビンテージなどに比べると、やや構成が平板な気も。【86】
ちなみに、「ザ・ハーミット」さんの問い合わせ先はこちらです。