2001年5月30日(水)
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ドミニク・ローラン「セリエ・ラール」テイスティング
ザ・ハーミット(THE HERMIT)のテイスティング会が東京駅そばの新丸ビル・コンファレンス・スクエアで行われていたので、参加してみた。今回のテーマはドミニク・ローラン。この「セリエ・ラール」は、ニュイサンジュルジュの6銘柄のセットで、96ビンテージは巷ではプレミアムがついて十数万の値がついているとか。「新樽200%」で話題のドミニク・ローランには賛否両論が寄せられているが、さて、実力の程は?

銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・レ・サンジュリアン96
感想 エッジにオレンジがかったやや濃いめのガーネット。香りは最初燻製肉や中国系のスパイスのような香りが支配的だったが、徐々にダークチェリーやプラムなどの果実香が出てくる。味わいは若々しいやわらかな果実味がアタックに感じられるものの、中盤の広がりが今ひとつで、後半は酸が強め。やや味わいが平板な印象。【80】
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・プリミエクリュ・コルヴェ・パジェ96
感想 前銘柄より心持ち濃いめのガーネットで、エッジにややオレンジの色調。ダークチェリーやカシスなどの黒系の果実香、ハーブっぽい香りやスミレのようなフローラルな香り、カラメルや深煎りのコーヒーのような香り。味わいはなめらかな果実のアタック、タンニンはよく熟した印象で酸とのバランスもよく、大きくはないが、心地よくまとまっている。フィニッシュにはコーヒーっぽいフレーバー。【81】
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・プリミエクリュ・レ・カイユ96
感想 中心に黒味を帯びた濃いガーネットで、エッジはピンク。香りは最初は赤身肉、丁子、八角、ダークチェリー、カシス。時間が経つと、ミネラルやオレンジピールなどの酸っぱい香りとコーヒーっぽい樽香が出てくる。味わいはなめらかなアタックのあと豊かな果実と伸びやかな酸が口中に広がる。中盤の広がりもあり、タンニンがきめ細やかなため、全般にどことなくジューシーなフレーバー。素直に美味しい。【85】
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・レ・シャルモット96
感想 中程度からやや濃いめのガーネットで、エッジはやや透明になっている。香りはトップノーズからエスプレッソやカラメルのような香りが支配的。まるでムートンのような非常にローストっぽい樽香。グラスを回すと、その奥からフレッシュなカシスやブルーベリー、ハーブなどが感じられる。味わいは酸、タンニンともよく溶け込んで、大きくはないが、丸く均整が取れいてる。全般にチャーミングなワインなんだけど、とにかく樽香が強烈。【83】
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・プリミエクリュ・レ・サンジュルジュ96
感想 中心にやや黒味がかった濃いルビーで、エッジにややピンクの色調。香りはダークチェリーやカシスに少し火を通したような果実香、スミレやフレッシュなハーブのような香り、ミネラル。コーヒーっぽい樽香はあるがどぎつくはない。味わいはクリーンな酸を伴った果実味の第一印象。タンニンはやや収斂性があるが、質感は高く、各要素がしっかりした長熟型。【86】
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・プリミエクリュ・ポレ・サンジュルジュ96
感想 エッジにややオレンジの見える、濃いめのルビー。香りは焦臭、カラメル、ダークチェリーやカシスの果実香に加えて、やや燻製肉やスパイスのニュアンスが感じられる。味わいはおだやかでまだ若い果実味の第一印象。酸はしなやかで、タンニンはキメ細かく、充実した中盤の広がりがある。フィニッシュには果実味とともに、コーヒーっぽいフレーバーが感じられる。このワインも長熟タイプだけど、今でも充分美味しい。
【86】
いろいろと言われるドミニク・ローランだけど、今回思ったのは、
・ 「新樽200%」にばかり目が行きがちだけど、少なくともプリミエクリュには、樽に負けない充実した果実味がしっかりある。
・ 樽の要素は、96年ということで落ち着いてきたのか、思ったよりでしゃばらず、いかにも 高級な樽を使っているなと思わせるような深煎りのコーヒーやカラメルなどのロースト香が心地良かった。
・プリミエクリュと村名の差はかなりあると思った。村名の場合、新樽に負けているのか、かなり熟成が進んだニュアンスが見られた。
というようなことで、総じて、私としては、少なくとも周囲の声ほどネガティブな印象はもたなかった。まあお値段が全般に高めなのは問題だけれども。
ちなみに今回参加したザ・ハーミットのテイスティング会は、テイスティンググラスに吐器、コメント用のシートなどが用意された、セミナー形式の本格的なテイスティング。主宰の橋本氏はロンドンのワイン商に勤務し「ワイン・マガジン」誌上でテイスターも務めたという方だ。 定期的にテイスティング会を行っているとのことなので、興味のある方は、問い合わせてみたら