ほんの少しオレンジがかったルビーで、グランクリュとしてはやや明るめの色調。エッジへのグラデーションが美しい。香は思ったより強くないが、染み入るような上品な芳香。ラズベリーのシロップ漬け、上質なダージリン、鉄観音、コーヒー、その奥からなめした革やスーボワのニュアンス。味わいは適度に熟成感が出ており、飲み頃にさしかかってきている。第一印象から粘性のある充実した果実味が甘みを伴って広がり、酸は角が取れていて決してでしゃばらず、タンニンも非常になめらか。後半果実味はやや旨み系のフレーバーを伴って、長く静かな余韻を残す。酒質は角が取れていてあくまで丸く、力強さは感じられないものの、各要素が渾然一体となったバランス感が秀逸。しなやかという言葉がまさにぴったりのワイン。【91】
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