2000年9月22日(金)〜24日(日)
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日時 2000/9/22
銘柄 ヴォルネイ・サントノ90(ジョゼフ・マトロ)
産地 仏>ブルゴーニュ>ムルソー村(ヴォルネイ・サントノAOC)
購入店 土浦鈴木屋
価格 4900円
コメント

色はまだまだ若々しさを感じる濃いルビーで縁は紫の色調。対して香りはかなり熟成感があって、カシスのコンフィ、なめし革、ムスク、バラの香水。
味わいは濃密でコクがあり、甘い果実味が蜜のようにネットリと口中を満たす。酸は丸くおだやかで、タンニンは豊かだが木目が細かい。コート・ド・ボーヌらしい果実味のたっぷりしたピノノワールで、やや酸が引き気味の感もあるが、余韻も豊かで、とてもきれいに熟成しいる。
【87】

感想 土浦鈴木屋で購入した中堅ブルゴーニュ3本のうち、最後の一本。パリで買ってきたワインをセラーに入れたため、はじきだされて早々に飲むことになってしまった。この作り手のものを飲んだのは初めてだが、良いビンテージであることもあり、期待以上の良好な味わいだった。

23日(土)。この日は信濃屋の月例のミニ試飲会。グラスは大きめのグラスだし、抜栓時間をコントロールしてくれるし(この日は1.5時間前抜栓)、ほとんど形ばかりとはいえ、チーズとパンもついているし、ということで、この試飲会はおすすめです。(ちなみに次回はオーパスワンの82と97の比較試飲)
※デジカメ持参忘れのため写真はなし。
日時 2000/9/23
購入店 信濃屋ミニ試飲会にて
銘柄 コート・ロティ・ラ・ムーリンヌ93
産地 仏>コート・デュ・ローヌ>コート・ロティ
コメント オレンジがかったやや濃いガーネットで、粘性高い。香りは甘いロースト香が主体。ブラックベリーのコンポート、焼き栗、プラムの砂糖菓子、エスプレッソ、モカ。味わいの第一印象は力強い酸味。ただ、やや閉じた時期にあるのか、果実味があまり前面に出てこず、最初はカラい印象。タンニンはキメ細かく、アフターには苦味も加わり、時間を置くと次第に果実味に甘みが乗ってきて、酸とのバランスがよくなってくる。飲んでいるうちにどんどん印象が変わってくるワイン。一本通して飲んでみたいところだが、それ以前にまだまだ飲むにはもったいないといえるかも。
【82→85】
銘柄 ペンフォールズ・グランジ93
産地
コメント 非常に濃い、深いルビーで、中心部は黒味がかっている。熟成を感じる色調は皆無で、粘性は高い。香りは上記のコートロティよりさらにトーンの低い、凝縮したブラックベリーやプラムのコンフィのような果実香が中心で、甘草やオリエンタルスパイス、インク、樽からのミルキーな香りも。アタックはこちらのほうがやわらかく、その後口の中で甘みを伴った果実味が爆発的に広がる。酸は豊かでしなやか、タンニンはとてもキメ細かく、各要素がとても上質。フィニッシュには果実味とややローストされたフレーバー。現時点ではまだ複雑味は出ておらず、濃厚な果実味一本槍。それでいてタニックでなくジューシーな印象なのがシラーたる所以か。
【84】
感想 今回は私の好きなグランジが出るということで期待していったんだけど、90年代のグランジはまだまだツボミ。とてもとても熟成したものがもつような圧倒的な凄みは感じられない。
一方のギガルは評価が難しい。まだやっぱり飲むには早いのは間違いないんだけど、最初閉じていた味わいが時間と共にグングン甘みが乗って、最後のひとくちはとてもすばらしい味わいになっていたのには驚いた。 仏と豪のそれぞれのシラーズのトップブランドを飲んだわけだけど、どちらも樽熟成が42ヶ月という長さのせいか、93というビンテージにおいてもまだまだ樽の要素が強く感じられた。とはいえ、仏豪それぞれ全く異なる個性があるのは興味深い。ところで、若いシラーって、なんとなくカベルネに比べてジューシーというか、色で言うと暖色系の色を感じるのは私だけかな。

翌日曜日はエノテカ横浜三越店のオープニング記念セールに行ってみた。目的はこの日行われるオールドビンテージの有料試飲。エノテカのこの手の店頭試飲は以前もペトリュスとかDRCを飲んだ経験があるのだけど、量は少ないし、混んでいてワサワサとした店の中で立ったまま飲まなければならないので、すごいワインを飲んでもあんまり真価がわからないような気がする。とはいいつつも、今日のようなラインアップを飲む機会はそう滅多にあるものじゃないので、はるばる横浜までカミサンを連れて行ってきた。
日時 2000/9/24
購入店 エノテカ横浜三越店にて有料試飲
銘柄 Ch.コスデストゥールネル61
産地 仏>ボルドー>メドック2級>サテンテステフ村
コメント 色はレンガの色調がかなりエッジに見えるオレンジガーネット。香りは十分に熟成感があって、ドライフルーツ、キノコ、スーボワ、生醤油、ヨードなど、乾いた香りが主体。味わいはやわらかなアタック、果実は旨みたっぷりで、タンニンはほぼすっかり溶け込んで、全体の味わいは丸くやわらかくなっているが、酸がバランス的にやや強めに感じられる。少し時間をおくと、香りにリキュールっぽい香りが加わり、果実味に甘みが増してくる。かなり熟成が進んだ様子で、正直、61というグレートビンテージに対する期待には答えてくれるほどでないと思った。おそらく熟成の頂点を迎え、やや下り坂にさしかかっている頃合いだろう。
【85点】
銘柄 Ch.マルゴー64
産地 仏>ボルドー>メドック1級>マルゴー村
コメント オレンジがかったやや濃い目のガーネット。香りはこれも熟成香が主体でドライフラワー、麦わらなどをトップノーズに感じるが、回すとカシスリキュールやミルクチョコなどの甘い香りが満ちてくる。味わいの第一印象はやさしい果実味を感じ、酸、タンニンともに渾然一体となって、かなり軽めとはいえ、繊細ですばらしい味わいを形成している。時間とともに果実のリキュールのような甘みがグンと増してくる。マルゴーの不調時のビンテージということで、一般の評価は低いが、どうしてどうして、すばらしい熟成状態だと思う。
【87点】
銘柄 Ch.ラトゥール58
産地 仏>ボルドー>メドック1級>ポイヤック村
コメント <一本目>縁にオレンジがかった濃いガーネットで、まだまだ若い色調。中心は黒い色が支配的。香りはちょっと問題あり。トップに明らかにカビ臭い香りが感じられる。回しているとその奥からカシスやココアのような香りが見え隠れするが、いかんせんかび臭さが抜けない。味わいは果実味に凝縮感があり、タンニンはまだ強く感じられ、58年とは思えない若さで、まだまだ元気な様子。それにしてもブショネが返す返す惜しい。
【?】
<二本目> このまま帰るのも癪なので、二本目のボトルが開けられたところで、もう一杯注文。こちらはほとんどオレンジ色さえ見えない深いガーネット。香りは今度は健全で、濃縮感のある黒系果実のコンポートのような香りをトップに感じ、コーヒー、甘草、木の根、湿った土など複雑。味わいはすばらしくなめらかなアタック、ピュアーで濃縮感のある甘い果実味、酸はしなやか、タンニンは豊かで未だに収斂性がある。フィニッシュには甘みの乗った果実とともにしっかりした渋味が感じられ、ややタンニンの強さが味わいを堅く感じさせる。58年は決して恵まれた年ではないはずだが、これはまだまだ熟成途上であることを感じさせる脅威の長命ワインだ。
【88】
感想

それにしても今日の有料試飲は大混雑。
エノテカの横浜店の決して広いとはいえないスペースに試飲目当ての客があふれかえっていた。私はといえば、以前の経験を教訓に、抜栓前からカウンター前を陣取り、わずかにあった試飲用のテーブルをカミサンと二人で占拠してゆっくりと試飲。グラスを置く場所もなく店内をウロウロとしながら飲んでおられた大多数の方からは、さぞ「邪魔なヤツ」と思われていたことだろう。
感想をひとことでまとめると、61コスはグレートビンテージにしては、酸が目立ち始めており、やや下り坂かな、という印象。対して、世間の評判の低い64マルゴーはどうしてどうして、フィネスすら感じさせる枯淡の味わい。最後の58ラトゥールは、どうしてこうなの?といいたくなるような若々しさ。ラトゥールの長命さを再確認する格好になった。ただ 問題は、まだかなり手ごわいタンニンが残っていることだろう。

今回はラトゥールを2杯飲んだため、結局代金の合計は13000円。
良年のボルドーやブルゴーニュのグランクリュが買えてしまう金額だが、まあこれを逃すといつ飲めるかわからないビンテージばかりだし、話のタネにはなっただろう。でも、できればこれだけの銘柄、座ってゆっくり飲めれば言うことなかったんだけどねえ。