2000年6月10日(土)
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6/10(土)Ch.ムートンロトシルト垂直(続き)      ←戻る
76 78よりもやや濃いオレンジガーネット。縁はやや透明になっておりグラデーションの階調が美しい。香りはドライフルーツのような乾いた香りと赤系果 実のリキュール香が同居。他に紅茶、スパイス、モカ。アタックはなめらかですいすいと飲める感じだが、タンニンはしっかり残っていて、アフターにかけて口にへばりつくような感覚すらある。果 実味は甘みをともない濃縮感があるが、78に比べるとやや乾いた印象。全般 に軽めの味わいの中にやや手強いタンニンが残っている。
【87点】

PIERRE SOULAGES
75 濃いめのガーネットで縁にオレンジがかかっており、前の2ビンテージに比べてやや若い色調。香りは純度の高いカシスのリキュール香、甘草、その他いわく表現しがたいスパイス香。味わいはアタックに甘い果 実を感じ、酸はしなやか、豊富なタンニンは溶け込んでいて、フィニッシュにかけてやや存在を主張する。全般 に78年をやや大柄にした感じで、熟成状態も良好。今回の試飲の中で屈指のワイン。
ゴールデンウイークに飲んだ時とは比べモノにならない。 周囲の評判でもこのビンテージが一番だった。
【91点】

ANDY WARHOL
71 ややレンガ色のニュアンスのあるオレンジガーネットで、熟成を感じる色合い。香りは乾いていて、ドライフルーツ、ラズベリーのジャム、中国茶、タバコ、ナツメグ、丁字。味わいはアタックに旨みののった果 実味。果実は濃縮感があってしっかりした印象。タンニンは溶け込んでいる。味わいはややひなびているが、ストラクチャーは年代の割にしっかりしている。【89点】

KANDINSKY
70

縁にオレンジがかった濃いめのガーネットで年代のわりに若い色合い。香りは閉じ気味でしばらく置くとバラの香水、プラムのシロップ漬け、スーボワ。味わいは甘みと旨みを伴った果 実味が豊かに残っており、若さすら感じさせる。酸はしなやかで出しゃばらず、タンニンもとけこんでいる。全体の構成にふくらみがあってそれでいて緻密。果 実中心にバランスがとれているすばらしいワイン。他の70年代とは明らかに一線を画す味わいだ。これで香りがもっと開いていれば…
【91点?】


MARC CHAGALL
67 今回最も古いビンテージ。エッジがはかなげな色調の、ややレンガを帯びたオレンジガーネット。香りは純度の高いフランボワーズのリキュール、コーヒー、あとはうまく表現できない要素が渾然一体となった香り。味わいは非常に繊細で、果 実は旨みと蜜のような甘みを伴い、力強さはないが各要素が見事に溶け込んで、時間とともにあらゆる無駄 をそぎ落としたような、美しく枯れた味わいだ。 フィネスがある。
【92点】

CESAR
最後になかなか開いてくれない2銘柄を。
95 紫色を帯びた非常に濃いガーネット。縁はややピンクの色調。香りはしばらく置くと開いてきた。熟したプラム、甘草、丁字などのスパイス、トースト、エスプレッソ。生肉やレバー、土っぽい香りも。味わいは凝縮された果 実味、丸くやわらかで質感があるタンニン。酸もしなやかで上質。これらの要素が口中で爆発的に広がるような印象。フィニッシュには各要素のシンフォニックな味わいが感じられ、余韻は長い。古いビンテージを飲んできて急に戻ったせいもあるのだろうが、力強くてそれでいて角が丸く飲みやすい、といった当世風のフレーバーを強く感じる。
【91点?】

ANTONI TAPIES
82

82年は前回飲んだ時ガチガチだったので、最後に持ってきたのだが、やっぱり今ひとつ閉じ気味だ。色は縁にややオレンジを感じる濃いガーネットでとても濃縮された印象。香りはカシスのリキュール、ドライフルーツ、コーヒー、モカ、さまざまなスパイス。乾いた香りと甘い香りが同居していてちょっとチグハグ。味わいは非常に豊かで洗練された果 実味、酸は落ち着いていて、タンニンは豊かだが非常にきめ細かい。フィニッシュにはローストっぽいフレーバー。とにかく、液体の密度感が別 格という感じで、外に向かって爆発的な95に対してこちらはむしろ内側に向かう求心力を感じるようなイメージ。 ビッグなワインだが、これでもまだ片鱗を見せた程度なんだろう。
【94点?】


JOHN HUSTON