2000年6月10日(土)
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6/10(土)Ch.ムートンロトシルト垂直
今回のムートン垂直、実は行こうかどうしようか最後まで迷っていた。
なにせ木曜日の胃カメラで「当分禁酒」を申し渡されたばかりだったし、そのチョイスの仕方が82こそ選ばれていたものの、85とか86とか89といった80年代の充実したビンテージが漏れていたためだ。あと、なんだかんだとムートンだけはよく飲んでいて、あんまり新味に乏しいのも理由のひとつ。
まあでも、せっかくの機会だし、ボーナス月でもあるし、ということで前日に滑り込みで予約を済ませた。
結論としては、蔵出しによる最良の状態のボトルを味わえたこととか、一度に比較試飲することによって見えてくることもあったりとかで、やっぱり行ってみてよかったというところ。
詳しくはまたコラムに書こうと思うので、例によってコメントのみ簡潔に。

銘柄 エールダルジャン97
コメント やや黄緑がかった輝きのある美しいイエロー。香りはグレープフルーツ、熟した青リンゴ、ミネラル、黄色い花、ややジャコウやさつまいも。味わいはアタックに濃縮感のある果 実味が感じられ、酸はしっかりしていてフレッシュ感があるが角張ってはいない。フィニッシュには果 実の甘みと苦みも伴う。総じて、爽やかで透明感があり、かつ十分なボリューム感もあるよくで来たワイン。もう少し熟成させても面 白そうだ。【86点】
銘柄 Ch.ダルマイヤック95
コメント

下のクレールミロンと二杯並べて比較。
色は 紫を帯びた濃いルビー。縁へのグラデーションの階調が美しい。香りはブラックベリーのコンフィ、カシス、回すと木の根や漢方系のスパイス。味わいは豊かな果 実味をアタックに感じ、タンニンは豊富でやや収斂性を感じる。酸はやわらかく、果 実味を中心したバランスで、クレールミロンと比べると こちらの方がやや果 実味を前面に感じる。
【85点】

銘柄 Ch.クレールミロン95
コメント 紫を帯びた濃いルビー。香りはカシス、ブラックベリーのコンフィ、黒砂糖、樹脂、木の根、墨汁など、ややダルマイヤックより甘いニュアンス。味わいはしっかりしたストラクチャーが感じられる。酸は上質で出しゃばらず、タンニンは収斂 性を残すもののきめは細かい。フィニッシュにはココアやモカのフレーバー。ダルマイヤックとの違いはわずかだが、こちらの方が構成とバランスの面 でやや上というところか。
【86点】
銘柄 以下、すべてCh.ムートンロトシルト
93

色は濃いガーネットで、縁にピンクがかかっている。エッジへのグラデーションが美しくアルコールが溶け込み始めている印象。香りはトップノーズに香ばしいロースト香。よく焦がしたトースト、ビターチョコ、カシス、プラムのコンフィ、甘草、黒鉛、木の根など豊かで複雑な香り。味わいはスルリと抵抗なく口に入ってくる精妙なアタックにまず驚く。これを飲むと前のダルマイヤックやクレールミロンが粗い味わいに思えてしまう。酸は豊富でどこまでもしなやか、タンニンはキメが非常に細かい。フィニッシュには果 実味とトーストのフレーバー。全般に密度感があり、緻密で、開いていて、とても状態がよく、たぶん今までに飲んだ93ビンテージの中で最高の出来じゃないだろうか。
【90点】


BALTHUS
88 色は濃いガーネットで縁にわずかにオレンジのニュアンス。香りは甘いカシスリキュール、甘草や漢方薬っぽい香り。さまざまなスパイス。ややドライフルーツのような乾いた香りも。味わいは甘い果 実のアタック、酸はしなやかだが、存在感があり、タンニンも豊富だがよく溶け込んでいる。フィニッシュにはやや乾いた果 実と酸が感じられ、R・パーカー氏も指摘しているように、余韻がストンととぎれるような印象がある。香りは今回のビンテージ中屈指のすばらしさだが、味わいは全般 にややドライだ。【89点】

KEITH HARING
81 縁にオレンジがはっきり見える濃いめのガーネット。香りはドライフルーツ、ドライフラワー、麦藁、スーボワ。回すとリキュール香や甘草など、甘い香りも出てくる。味わいはやさしく、繊細。酸は上質だがしっかりしており、タンニンは溶け込んできているがやや収斂 性も残す。果実味がやや乏しいか…。全般に味わいは軽めだが、熟成状態は良好だ。
【87点】

ARMAN
78 縁が透明がかった中程度のオレンジガーネット。香りは乾いている。ドライフルーツ、ドライフラワー、スーボワ、麦藁、漢方薬、スパイス。味わいはアタックにピュアな甘い果 実味を感じ、緻密な酸がそれを支えている。タンニンは溶け込んでいて、ボリューム感はそれほどないが、何というかとても純度の高さを感じる熟成状態。これはすばらしい。
【90点】

RIOPELLE