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＜野村医院２０年史（９３年１１月）から＞
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2004.05.16. 掲載
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１９８４年（Ｓ５９）年に当院で診療した患者さんの疾患名をまとめました。８２年にレセプトコンピュータを買い替えた時、疾病の統計がとれるようなソフトを特別に作ってもらいました。その次の機種に替えた時にも疾病統計を続けるようにしましたので、８２年から現在までの毎月の疾病統計がハードコピー（印刷）または磁気テープ（ストゥリーマ）で残っています。昨年分までで１０年になった機会にこれを分析しようと考えていたのですが、未だ手をつけていません。
今回１９８４年の疾病統計をここに載せることにしたのは、たまたまこの翌年にパソコンを購入しそれを使って分析したデータが残っていたからというだけの理由です。ちょうど開業１１年目に当たり２０年を代表する年としてもよいのではないかと考えました。
さきの１．新規の患者数、２．毎日の患者数、３．レセプト件数では専ら人数だけを扱ってきましたが、ここから診療内容に関係してきます。９９％保険診療をしていますので病名が必ずしも正しいとは限らないこともありますが、私はできるだけ医学的に正しく書くように努めてきました。自分では保険診療に左右された病名は１％以下であろうと思っています。
病名としていろいろ検討しましたが、臨床の実際に役立つように「今日の治療指針」で使われている用語を中心にして、そのほかは一般に繁用されているものを付け加えました。「今日の治療指針は開業する２年前の１９７１年から隔年で購入して診療の基本としてきましたので、ここで使われている用語は自分にとって有用です。
患者一人が１病名とは限らず一般には複数の病名を持っています。ここでの分析は、その複数の病名について重みを加えず、均等に取り扱いました。
疾患名 件／年 件／月
脳動脈硬化症 330 27.5
メニエル症候群 229 19.1
自律神経失調症 107 8.9
不眠症 75 6.3
多発性神経炎 43 3.6
片頭痛 36 3.0
片麻痺 24 2.0
後頭神経痛 23 1.9
心身症 22 1.8
うつ状態 14 1.2
一過性脳虚血発作 14 1.2
脳梗塞 13 1.1
脳手術後遺症 12 1.0
心気症 7 0.6
顔面神経麻痺 6 0.5
パ―キンソニズム 6 0.5
三叉神経痛 6 0.5
神経症 5 0.4
高血圧脳症 3 0.3
熱性痙攣 2 0.2
脳腫瘍の疑い 1 0.1
脳波異常（癲癇） 1 0.1
一酸化炭素中毒 1 0.1
小計 980 81.7
疾患名 件／年 件／月
背筋痛 478 39.8
腰痛症 377 31.4
慢性関節リウマチ 126 10.5
肩関節周囲炎 94 7.8
坐骨神経痛 76 6.3
肩甲上神経痛 71 5.9
頚部急性リンパ節炎 70 5.8
膝関節炎 56 4.7
上腕神経痛 44 3.7
筋肉痛 44 3.7
変形性膝関節症 42 3.5
膝内障 37 3.1
頚肩腕症候群 21 1.8
パナリチウム 17 1.4
フレグモーネ 16 1.3
褥瘡 15 1.3
変形性股関節症 13 1.1
骨粗鬆症 13 1.1
上腕骨外顆炎 12 1.0
急性虫垂炎 10 0.8
顎関節炎 10 0.8
足関節捻挫 10 0.8
変形性脊椎症 10 0.8
胸部打撲 8 0.7
ガングリオン 7 0.6
第二度熱傷 7 0.6
腱鞘炎 6 0.5
顔面フルンケル 5 0.4
アキレス腱周囲炎 4 0.3
頭部打撲 3 0.3
乳腺炎 2 0.2
カルブンケル 2 0.2
裂肛 2 0.2
フルンクローシス 1 0.1
側彎症 1 0.1
鼠径ヘルニア 1 0.1
鼠径部急性リンパ節炎 1 0.1
肛門周囲膿瘍 1 0.1
急性腹症 1 0.1
小計 1714 142.8
疾患名 件／年 件／月
汎発性湿疹 218 18.2
蕁麻疹 159 13.3
顔面湿疹 94 7.8
接触性皮膚炎 59 4.9
汗疱状白癬 48 4.0
手湿疹 38 3.2
虫刺症 37 3.1
伝染性膿痂疹 36 3.0
伝染性軟属腫 30 2.5
慢性湿疹 27 2.3
薬物アレルギ― 20 1.7
凍瘡 19 1.6
口唇炎 17 1.4
単純性疱疹 14 1.2
頑癬 13 1.1
皮膚掻痒症 13 1.1
帯状疱疹 10 0.8
アトピ―性皮膚炎 8 0.7
多形滲出性紅斑 5 0.4
膠原病の疑い 5 0.4
光線過敏症 4 0.3
クインケ浮腫 4 0.3
爪周囲炎 2 0.2
不明疹 1 0.1
ストロフルス 1 0.1
小計 882 73.5
疾患名 件／年 件／月
高血圧症 1563 130.3
不整脈 206 17.2
冠不全 190 15.8
狭心症 85 7.1
心筋障害 81 6.8
冠動脈硬化症 63 5.3
低血圧症 51 4.3
胸痛 46 3.8
末梢循環障害症 42 3.5
心房細動 41 3.4
神経循環無力症 32 2.7
心筋梗塞 27 2.3
心不全 25 2.1
僧帽弁狭窄症 23 1.9
心室中隔欠損症 18 1.5
心肥大 18 1.5
大動脈弁狭窄症 15 1.3
期外収縮 14 1.2
大動脈弁閉鎖不全症 14 1.2
起立性調節障害 14 1.2
僧帽弁閉鎖不全症 11 0.9
僧帽弁狭窄症術後 10 0.8
発作性心頻拍症 7 0.6
機能性雑音 6 0.5
肺性心 4 0.3
動脈硬化症 3 0.3
心房中隔欠損症 1 0.1
特発性心筋症の疑い 1 0.1
小計 2611 217.6
疾患名 件／年 件／月
貧血症 100 8.3
鉄欠乏性貧血症 23 1.9
出血性素因 5 0.4
顆粒球減少症 4 0.3
紫斑病 4 0.3
小計 136 11.2
疾患名 件／年 件／月
膀胱炎 187 15.6
慢性腎炎 69 5.8
蛋白尿 56 4.7
腎盂腎炎 33 2.8
前立腺肥大症 32 2.7
尿路感染症 31 2.6
無症候性血尿 17 1.4
前立腺炎 14 1.2
尿管結石 9 0.8
亀頭包皮炎 9 0.8
神経性頻尿 5 0.4
低蛋白血症 4 0.3
副睾丸炎 3 0.3
腎性糖尿 2 0.2
急性腎炎 2 0.2
ネフロ―ゼ症候群 1 0.1
小計 474 39.5
疾患名 件／年 件／月
急性上気道炎 2942 245.2
急性気管支炎 1333 111.1
急性咽頭炎 596 49.7
急性扁桃炎 449 37.4
喘息性気管支炎 365 30.4
感冒 362 30.2
インフルエンザ 351 29.3
アレルギ―性鼻炎 255 21.3
急性化膿性扁桃炎 213 17.8
慢性気管支炎 126 10.5
慢性咽頭炎 67 5.6
気管支喘息 55 4.6
ヘルプアンギ―ナ 49 4.1
原発性異型肺炎 31 2.6
急性喉頭炎 28 2.3
陳旧性肺結核 13 1.1
扁頭周囲膿瘍 12 1.0
血痰 9 0.8
急性肺炎 8 0.7
副鼻腔炎 7 0.6
過剰換気症候群 4 0.3
湿性胸膜炎 2 0.2
気管支拡張症 2 0.2
肺癌の疑い 1 0.1
小計 7280 606.7
疾患名 件／年 件／月
慢性胃炎 1440 120.0
慢性肝炎 650 54.2
急性胃腸炎 498 41.5
急性大腸炎 291 24.3
胃潰瘍 199 16.6
過敏性大腸症候群 178 14.8
十二指腸潰瘍 150 12.5
腸管悪性新生物の疑い 125 10.4
アフタ性口内炎 119 9.9
痔核 91 7.6
感冒性胃腸炎 87 7.3
便秘症 84 7.0
蟯虫症 79 6.6
急性胃炎 41 3.4
胆石症 41 3.4
慢性膵炎 37 3.1
舌炎 27 2.3
肝硬変 16 1.3
臍疝痛 15 1.3
口角炎 13 1.1
胃アトニ― 12 1.0
ＨＢｓ抗原陽性 12 1.0
歯肉膿瘍 12 1.0
胆道ジスキネジ― 10 0.8
急性肝炎 9 0.8
肝機能障害 9 0.8
胃癌 8 0.7
胃腸神経症 5 0.4
回虫症 4 0.3
腸管癒着症 3 0.3
十二指腸憩室 3 0.3
直腸癌の疑い 2 0.2
咽頭異物 2 0.2
鵞口瘡 1 0.1
イレウス 1 0.1
胃下垂 1 0.1
胆嚢炎 1 0.1
肝癌の疑い 1 0.1
異物誤嚥 1 0.1
胃ポリ―プ 1 0.1
小計 4290 357.5
疾患名 件／年 件／月
糖尿病 271 22.6
脚気様症候群 128 10.7
高脂血症 88 7.3
痛風 25 2.1
甲状腺機能亢進症 20 1.7
甲状腺機能低下症 17 1.4
更年期障害 4 0.3
甲状腺腫 3 0.3
高尿酸血症 1 0.1
小計 557 46.4
疾患名 件／年 件／月
水痘 70 5.8
麻疹 68 5.7
溶連菌感染症 39 3.3
ムンプス 33 2.8
手足口病 18 1.5
不明熱 13 1.1
伝染性紅斑 10 0.8
ヘルペス性歯肉口内炎 8 0.7
伝染性単核球症 4 0.3
風疹 2 0.2
髄膜炎の疑い 2 0.2
ＥＢウイルス感染症の疑い 1 0.1
突発性発疹 1 0.1
リウマチ熱の疑い 1 0.1
小計 270 22.5
疾患名 件／年 件／月
急性結膜炎 23 1.9
特発性浮腫 21 1.8
中耳炎 20 1.7
耳下腺炎 14 1.2
反復性耳下腺炎 11 0.9
鼻出血 11 0.9
麦粒腫 8 0.7
強膜下出血 6 0.5
妊娠悪阻の疑い 3 0.3
フリクテン 3 0.3
骨盤腹膜炎 1 0.1
予防接種後硬結 1 0.1
無病 1 0.1
小計 123 10.3
合計 19,306 1,608.8
以上１９８４年の当院で診療した疾病の種類は２３６疾患で、件数は年１９,３０６、月平均１,６０９でした。３．レセプト件数から８４年のレセプト件数は月平均１,０６３件なので患者１人当たりの傷病名は平均１.５になります。
件数の多い疾患グループを見てみると、呼吸器疾患 ３７.７％、消化器疾患２１.３％、循環器疾患 １３.５％で、この３グループだけで全件数の７２.５％を占めています。
また月平均１０件以上診療した疾患は次の３０疾患で、これだけで全件数の７７％を占めています。
疾患名 件／年 件／月 急性上気道炎 2942 245.2 高血圧症 1563 130.3 慢性胃炎 1440 120.0 急性気管支炎 1333 111.1 慢性肝炎 650 54.2 急性咽頭炎 596 49.7 急性胃腸炎 498 41.5 背筋痛 478 39.8 急性扁桃炎 449 37.4 腰痛症 377 31.4 喘息性気管支炎 365 30.4 感冒 362 30.2 インフルエンザ 351 29.3 脳動脈硬化症 330 27.5 急性大腸炎 291 24.3 糖尿病 271 22.6 アレルギ―性鼻炎 255 21.3 メニエル症候群 229 19.1 汎発性湿疹 218 18.2 急性化膿性扁桃炎 213 17.8 不整脈 206 17.2 胃潰瘍 199 16.6 冠不全 190 15.8 膀胱炎 187 15.6 過敏性大腸症候群 178 14.8 蕁麻疹 159 13.3 十二指腸潰瘍 150 12.5 脚気様症候群 128 10.7 慢性関節リウマチ 126 10.5 慢性気管支炎 126 10.5
(１９９３年８月、記）
当院のレセコンの病名マスターの標準化を行った際に、「ICD-10分類別病名数順位」を調べたところ、循環器系の病名が１番多くて５４個（１３％）、消化器系は２位で４６個（１１％）、呼吸器系は５位で２８個（７％）でした。また、この３系統の病名群は合わせて３１％を占めていました。
それに対して、当院の８４年の年間疾病統計を見ると、疾病件数では呼吸器系と循環器系の順位が逆転し、呼吸器系の疾病件数が１位で３８％、消化器系が２位で２１％、循環器系が３位で１４％でした。この３系統の疾患群が全件数の７３％を占めていました。
８４年の疾病統計の病名は、保険診療の病名ですが、診療の実態とほぼ同じでした。レセプト病名が診療の実態を正しく反映している状況は、開業して２０年近く続いたと思っています。保険診療の診療報酬請求書（レセプト）は、支払い基金や国保連合会での医学的な審査が通れば、ほとんどＯＫでした。
しかし、最近は健保組合や市町村国保などの保険者による非医学的なチェックが厳しく、全ての診療行為や使用薬剤に対する健康保険で認められた病名付けが求められています。些細な副次的な症状に対して行った投薬にも、病名を加えて置かなければ、バッサリ減点されてしまうので、１患者当たりの病名数は増加の一方です。そのようなレセプト病名を分析して、診療の実態を反映させるのは、作業が煩雑になります。そういう訳で、現在の疾病統計をとる意欲が湧きません。
他の病院へ紹介した患者の疾病統計については、「内科開業２０年間における紹介患者の分析」というタイトルで学会発表をしたほか、学術誌にも投稿しています。
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