ホーム > サイトマップ > PC > PC環境の保全 > 新しいパソコン保全システム  

新しいパソコン保全システム

2009.06.01. 掲載
このページの最後へ

目次
1.PCの修理
2.ダブル・パソコンによる保全
3.パソコン保全システムの再構築
  1.データのマイ・ドキュメント集中化
  2.緊急用データの選別
  3.外付け大容量HDDの接続
  4.バックアップソフトの活用
  5.バッチファイルの活用
4.まとめ


1.PCの修理

PCを使い始めたのが、1985年で、それ以来DOS機を4台、Windows 機を5台使ってきたが、PCの修理入院は今回がはじめてである。

今回の入院のきっかけとなった現象は、再起動後「VAIO」ロゴ 表示の後に、以下のエラー メッセージが表示される。通常の起動では起らず、再起動の場合だけ生じる。

 CPU Temperature is out of range.  Hardware Monitor found an error, press F2 to enter set up.

[F2]を押すと、BIOS 設定画面が表示される

購入した Sony Style に電話をして、いろいろ指示されたことを実行するが、現象はなくならず、点検修理のため入院することになった。翌日引き取りにきた日通航空にPC本体とディスプレイを渡すと、1週間後に修理完了して戻ってきた。

その報告には、電源ユニットの動作不安定を見つけ、交換したと書かれている。今年に入って、HDDから異音がすることに気づき、早晩クラッシュするのではないかと覚悟していた。その異音はどうも電源ユニットのファンの音だったようで、修理が終わったPCは、購入当初と同じほど静かになり、動作は快適である。3年保証まで、まだ1ヶ月残っていたので、すべて無料で修理することができた。

1週間の入院の間も、ダブル・パソコンの片割れを使って日常業務に支障なく、ブログや掲示板に通常通り書き込みを行なった。修理に出したPCには、昨夏から1TBの外付けHDDを接続し、これに重要データのバックアップを行なってきた。今回の修理入院に当たっては、その外付けHDDを、残ったPCに接続することによって、重要データは修理に出したPCと同じものを持ってはいる。しかし、PC本体のデータ量ははるかに少ない。だから、これは本来のダブル・パソコンではない。



2.ダブル・パソコンによる保全

パソコンの修理入院ははじめての経験だが、PCの電源不調からデータの消失の危機に遭遇し、必死で対策を講じたことがあり、その結果としてダブル・パソコンによる保安体制を構築し、新しいパソコンを購入した際にも、古いパソコンのデータを新しいパソコンにコピーし、簡単なダブルパソコンシステムを続けてきた。

しかし、ドッグイヤーといわれるITの目覚しい発展があり、3〜4年前のPCとペアを組むことはハード面でもソフト面でも困難な状態となってきた。



3.パソコン保全システムの再構築

現役を退いてから、自由時間が増えるのと並行して、パソコンに保存するデータが加速度的に増え続け、旧いパソコンの保存可能量を越えてしまった。これは保存ファイルの数が増えたことも関係するが、それ以上に大容量の画像ファイル、音楽ファイル、動画ファイルの時代になったことが影響している。中でもHD(ハイビジョン)動画は莫大なファイルサイズとなるため、これが最も大きく影響している。

修理に出したPC(VAIO VGC-RC72PS)は、HDDの容量が2TBあるが、残った方のPC(PCV-RZ70P)は320GBしかなく、メインの機種の6分の1程度である。これでは、ダブルパソコンは成立しない。プレインストールされているソフトも大きく変わっているので、その点からもダブル・パソコンは不可能である。

そこで、昨夏よりパソコン保全システムの再構築をはじめてきた。その中心となったのが、1)データのマイ・ドキュメント集中化、2)緊急用データの選別、3)外付け大容量HDDの接続、4)バックアップソフトの活用、5)バッチファイルの活用である。


1.データのマイ・ドキュメント集中化

Windows95時代のPCは非常に不安定で、周囲にはリカバリ(再セットアップ)で、大切なデータを失う人を多く見てきた。私は人一倍自分が関係したデータの保存に執着する性癖があるが、こまめにバックアップをとるような面倒くさいこともできない性格であり、リカバリでもデータが失われないように、Cドライブ以外のドライブ(ほとんどがDドライブ)にデータを保存することにしてきた。このCドライブ以外にデータを保存するという方針は少なくとも2002年から続けている。

WindowsではMS-DOSと違って、マイドキュメントという区域があり、そこには更に、マイミュージック、マイピクチャー、マイビデオという区分けもされていて、これを利用すると便利そうに思えた。しかし、残念ながら、このマイドキュメントはCドライブの中にあり、リカバリで消失する危険区域内にある。だから、積極的にマイドキュメントにデータを保存することはせず、Dドライブに自分に便利な分類のフォルダを作り、そこへデータを保存してきた。

マイドキュメントやデスクトップをDドライブに移動させることができることを知ったのは数年前で、2003年にまとめた「トリプル・パソコン」の中で、はじめて言及している。この「マイドキュメント」というのは仮想の存在で、実際は「MyDocuments」という名前のフォルダである。

マイドキュメントをDドライブへ移動する方法は
1)予めDドライブに「MyDocument」という名前のフォルダを作っておく
2)スタートボタンから「マイドキュメント」を表示させ、
3)これを右クリックして「プロパティ」を開き、ターゲットタブを選ぶ
4)「移動」ボタンを使って、リンク先を「D:\MyDocument」に変更する

マイドキュメントは、Microsoft が策定したものであるため、多くのソフトのデータのデフォルト保存先となっている。マイドキュメントをDドライブに移動させることで、自動的にそれらのデータがBドライブに保存される。

また、マイドキュメント、マイミュージック、マイピクチャーへは、[スタート]ボタンを押すと、次のステップでそこへジャンプできる。マイビデオは[スタート]ボタンを押して表示される画面の左半分に[マイビデオ]フォルダのショートカットをD&Dで登録しておけば、これも[スタート]ボタンを押すと、次のステップでそこへジャンプできる。

これまではDドライブを自己流に分類してきたため、マイドキュメントというMicrosoft の分類とが併存することになってしまった。これは無駄であるばかりか、非効率的である。そこで、データをマイドキュメントに統合する作業を行なった。これによって、データの所在が分かりやすくなっただけでなく、3.外付け大容量HDDの接続で、HDDにバックアップを取る操作が簡単になった。その操作は次の5.バッチファイルの活用で述べる。


2.緊急用データの選別

メインのPCの故障で代替のPCを使って業務を続ける必要がある場合も起こり得る。その時に、迅速に対応して、支障を最小限度に抑えるために、必要な緊急用データをメインPCと代替のPCで共通で持つことにしている。

これまでの経験から、1)メール(Becky!2)のデータ、2)Webのお気に入り、3)筆まめの住所録、4)特別データを共通化しておけば、その他はバックアップしている外付け大容量HDDからデータを引き出せば十分に間に合うと思われる。

緊急用データをBドライブに直接置いているのは、その存在が分かりやすく、それぞれのソフトとの関連付けが簡単にできるためである。これによって、このデータは、メインPCのBドライブと代替PCのBドライブと外付け大容量HDDの3箇所で保存されていることになる。


3.外付け大容量HDDの接続

先にも書いたが、現在メインで使っているPCのHDD容量は、全部で2TBある。一方、旧いPCのHDDは合計320GBなので、これにバックアップをとることは不可能であり、USB接続の外付け大容量HDDを昨夏購入した。製品名はIO DATA製「HDC2-U2.0」で、1TBのHDDを2台搭載している。

このHDDは、データを安全に保存するミラーリング機能(RAID1)に対応している。2つのHDDに同じデータを同時に書き込むため、万が一、一方のハードディスクがクラッシュしても、データは安全に保護される。故障したHDDは、正面のランプにより、確認できるので、一旦電源を落としてから、新しいHDDに交換し、電源を再投入すると、自動復旧(オートリビルド)し、再びミラーリング状態に再構成される。RAID1以外の使い方もあるが、RAID1はデータ保全のためには願ってもない機能なので、これを採用した。2個のHDDが同時に壊れる確率は非常に低いので、これによってバックアップ・データの保全が非常に強固になった。

このHDDは、購入時に1パーティションFAT32でフォーマットされているので、そのままでも使うことはできる。しかし、いろいろな点でNTFSフォーマットの方が有利なので、NTFSで再フォーマットを行なった。要した時間は230分だった。このHDDには、多くの便利なソフトウエアが附属していて、IO DATA のサイトからダウンロードして使うことができる。その中でも「 I-O Drive Center 」は非常に重宝している。

一般にUSB接続機器はホットプラグ対応であり、電源の入った状態で、PCへ抜き差しができることになっている。しかし、抜く場合は慎重に行なう必要があり、不注意に外すと、接続しているUSB機器のデータを壊してしまうことがある。その理由は、OSには「遅延書き込み」という機能があり、PCUに負担をかけないために、書き込んだ時点で実際には書き込まず、OSがあまり使われていない状態の時を見計らって自動的に書き込むことがあるからだ。そのため、無造作にUSB接続機器を抜いてしまうと、実際は書き込み途中であったため、ファイルが破損することがある。その場合、以下のような警告が出る。

ファイル L:\$Mft のためのデータを一部保存できませんでした。データを損失しました。このエラーは、コンピュータのハードウェアまたはネットワーク接続の障害によって発生した可能性があります。このファイルをどこか別の所に保存してください。

それを防ぐために、タスクトレイに「ハードウエアの安全な取り外し」というアイコンがあり、これを左クリックして、取り外したい機器を指定するか、右クリックで「ハードウェアの安全な取り外し」を選んで、出てきたメニューから取り外したい機器を選ぶことが勧められている。

この「HDC2-U2.0」は、それ以外に、HDDケースの前面にあるファンクションボタンを2秒以上長押しすることで、安全に取り外すことができて便利だ。

この外付けHDDへのバックアップは、5.バッチファイルの活用で、非常に簡単で確実に行なうことができる。

この外付けHDDへのバックアップの問題点は、PC本体のデータが削除されたり、保存場所が移動したり、ファイル名やフォルダ名が変更されても、それらが削除されずにHDDに残ってしまうことである。これによって、不要になったデータも残り、HDDにバックアップされたデータ量は肥大化する。

もちろん、必要なデータの消失よりは、不要なデータの残存の方が比較にならぬほど重要である。しかし、整理されていないデータは活用し難いのも事実である。それに対する処理法として、特別な機会にHDDを再フォーマットして白紙に戻し、ここへ整理したPCのデータを再度バックアップするというのが現実的であろう。特別の機会とは、PCが不調の時とか、新しいPCを購入する時などである。


4.バックアップソフトの活用

1996年にWindowsPCを使い始め、2001年に一度PCリカバリーを行なったことがある。そして、昨年(2008年)に「2度目のリカバリー」を行なった。データは内蔵HDDのDドライブやEドライブ、外付けのHDDに保存してあるので、リカバリーによるデータの消失はほとんどなく、リカバリー自体は簡単で時間もかからなかった。しかし、これはPCを購入時の状態にするだけで、リカバリー前の日常業務が可能な状態に戻すには、かなり面倒な作業が必要だった。

リカバリーを行なった後、リカバリー前と同じように日常業務を行なえる状態にするためには、1)リカバリーで自動的にインストールされたプレインストールソフトのデータをリカバリー前と同じ場所に保存できるように設定する、2)日常業務に必要なソフトをインストールし、リカバリー前の状態を継承できるように設定する必要がある。これは面倒な作業だが、リカバリーをすれば、必ずしなければならない宿命である。

その実際は、昨年のリカバリーの後で行なった「日常業務ができる状態に戻すための処理」に具体的に書いておいた。

このように手間ひまかけて復元させた状態を、またリカバリーをして失うのは口惜しい。それを免れるには、Cドライブを丸ごとイメージとしてバックアップしておき、必要な時には、それを使ってCドライブを復元することが一番簡単である。バックアップソフトとして、「Acronis True Image 11」使用した。その紹介も「2度目のリカバリー」の中で書いておいた。

これは非常な優れもので、これを使ってCドライブ全体のイメージバックアップをとっておけば、Cドライブはいつでも調子の良かった状態に復元することができる。これを使う場合に大切なことは、

 1)新しいソフトやドライバをインストールした後はバックアップをとる
 2)Updateなどで長い時間をかけてダウンロードした後はバックアップをとる
 3)Cドライブだけを、差分、増分ではなくて完全バックアップを行なう
 4)ファイルの保存先は、Cドライブ以外で、十分の空き容量があるドライブを選ぶ。
   ただし、RAID HDDには対応していないので注意
 5)ファイル名は Mybackup.tib に年月日を加え、Mybackup090525.tib などとし、
   同じ日にバックアップを行なう場合は、Mybackup090525b.tib などのように区別する
 6)バックアップ作業をしながら、Windowsを通常通り行なうことができる
 7)バックアップファイルは最近の2回分を保存しておく方が安全。削除を急がない。
 8)Cドライブのサイズが大きければ、それだけバックアップファイルも大きくなる。
   過大過ぎるCドライブのサイズは、機会があれば、縮小しておくのが望ましい。

Windows の「システム復元」機能は、作成したドキュメントや、電子メールといったデータファイルを失うことなく、安定していたシステムの状態に戻すことができるとされている。しかし、実際に何度か試してみたが、新しくソフトをインストールした後でも復元ポイントは自動的に作成されておらず、結局は「システム復元」を使うことはできなかった。このような頼りないものに期待をしない方が安全である。


5.バッチファイルの活用

手動でバックアップをするのは、いくら工夫をしても面倒で長続きがしない。それに代わる方法として、バッチファイルを活用することを思いつき、トリプルパソコンで紹介した。このバッチファイルを使ったデータのバックアップを、6年以上行なってきたが、問題なく実行できて満足している。

かっては、CドライブのマイドキュメントにあるデータをDドライブにコピーする場合や、LANで結んだ2つのパソコンのデータの転送に使ってきた。しかし、マイドキュメントをDドライブに移す方法を知ったこと、ダブル・パソコンシステムが成り立たなくなったことから、これらは必要でなくなった。その代わり、Dドライブを外付け大容量HDDへ転送させる仕事に使うのが中心となり、ごく一部のデータ(緊急用データ)だけを、LANで結んだ二つのPC間で転送するのに使っている。

使ったコマンドは XCOPY だけ。これに /C /D /E /F /Y の5つのオプションをつけると、その条件に適う方法で、ファイルやフォルダをツリー状態のまま、同一機種の別のHDDや、LANで結んだ他の機種に、忠実に転送する。このバッチファイルの作成は、メモ帳のようなテキストエディターを使って1行書くだけで良い。このような宝物があまり使われていないのは、バッチファイルがよく知られていないからだろうと考えた。

そこで「バッチファイル」「バッチコマンド」「バッチプログラム」などのキーワードでWeb検索してみたが、どれも複雑難解である。MS-DOS時代に数十個のバッチファイルを作り、PCを使いやすくした経験のある私でも、これでは頭が痛くなり、敬遠したくなった。

しかし、バッチファイルというものは、「手作業ですれば手間暇のかかる仕事を、最低1行の命令文を書いて、パソコンに実行させる」のがあるべき姿だと思っている。難しい作業をパソコンに実行させるプログラムは、VBSなどのプログラム言語を使って作れば良い。そして、それはプロやマニアが行なう仕事だ。

そこで、素人が作れるバックアップ用バッチファイルについて、実用的で超簡単な解説をすることにした。


1)ファイルの基本の基本

Windows パソコンのファイルは、ファイル名本体と拡張子が 「.」(ドット)で区切られている。拡張子はアルファベットと数字の組み合わせで、3文字以内が多いが、それ以上の場合もある(例えば、.html)。フィル名本体に複数の「.」(ドット)が入っても良いが、その場合は最後のドット以降が拡張子となる。拡張子は半角の英数字に限られている。

また、Windowsパソコンのファイルは、プログラムファイルとデータファイルで構成されている。プログラムファイルはOSとアプリケーションソフトに分けられるが、いずれもコンピュータに命令して何らかの仕事を実行させるもので、実行可能ファイルとも呼ばれる。Windowsでは、拡張子 .exe .dll などのファイルがそれに当たる。バッチファイルの拡張子は .bat か .cmd で、これもコンピュータに命令を実行させるプログラムファイルであり、バッチプログラムとも呼ばれる。

また、コンピュータ内で、ファイルやフォルダが保存されている場所は、ドライブ名(例えば「C:\」)を頂点とするトゥリー構造になっており、この頂点から目的のファイルやフォルダまでのすべての道筋を記述したものが「絶対パス」であり、フォルダ名は「\」という記号で区切られている。

例えば、私のホームページ「中之島のBOW]というフォルダが保存されている場所(絶対パス)は、「D:\MyDocuments\HP\HP-BOW\HP中之島」である。これは「Dドライブ」の「MyDocuments」という名前のフォルダの中にある「HP」というサブフォルダの中の、「HP-BOW」というサブフォルダの中にあることを表している。

これを住所で例えてみれば、住居表示で、兵庫県神戸市灘区東西町1丁目2番3号という住所を、兵庫県|神戸市|灘区|東西町|1丁目|2番|3号と区切った場合の「兵庫県」がドライブ名で、「|」が「\」。以下「神戸市」「灘区」、、、とフォルダが続いて、最後に「3号」がくる表示法である。

購入した状態のパソコンは、拡張子を表示しないように初期設定されているが、フォルダを開いて、ツール(T)をクリックして、フォルダオプション(O)をクリックして、フォルダオプション窓を表示させ、そこの「表示」タブをクリックし、詳細設定:の「登録されている拡張子は表示しない」のチェックを外すことで、拡張子が表示されるようになる。

また、アドレスバーにはフォルダ名だけが表示される初期設定になっているが、「アドレスバーにファイルのパス名を表示する」にチェックを入れておくと、この絶対パス名のフォルダが表示される。これをコピー&ペーストすることで、正確に絶対パス名付きのファイルやフォルダを記入することができる。「D:\MyDocuments\HP\HP-BOW\HP中之島」は、このC&Pによって正確、簡単に記入することができた。


2)同じPCの中でのバックアップに使うバッチファイル

データのマイドキュメント集中化で書いたように、「マイドキュメント」をCドライブからBドライブに移動させたが、その「マイドキュメント」のデータを、外付け大容量HDDにバックアップする場合のバッチファイルの作り方を述べる。この「マイドキュメント」というのは仮想の存在で、実際は「MyDocuments」という名前のフォルダである。Bドライブにあるマイドキュメントの絶対パスは、アドレスバーに表示される通り「D:\MyDocuments」である。

外付け大容量HDDのドライブ名は、接続したパソコンによって異なるが、Lドライブと表示されたことにしておく。ここに「MyDocuments」という名前のフォルダを作っておくと、絶対パスは「L:\MyDocuments」となる。

Dドライブのマイドキュメントのデータ「D:\MyDocuments」を、Lドライブのバックアップ用のフォルダ(L:\MyDocuments)に転送するには、以下の1行をメモ帳やテキストエディターで書いて、例えば「MyDocuments D2L.bat」という名前で保存する。名前は自分に分かりやすいようにつけ、拡張子を .bat とすれば、何でも良い。

xcopy D:\MyDocuments L:\MyDocuments /c /d /e /f /y

このバッチファイルをダブルクリックすると、黒色のウィンドウが表示されて、Windowsのコマンドの1つである「cmd.exe」が、そのファイルを読み、一行ずつ実行する。この黒色ウィンドウの上端に「C:\WINDOWS\system32\cmd.exe」と表示があるのは、そのことを示している。

これを順番に説明すると

xcopy コマンドの一つで、ファイルやフォルダをツリー状態のままコピーするように命令する 半角スペースが各項目の区切りになり、これがなければ合体したものとして認識される
D:\MyDocuments コピーする元になるフォルダのある場所を記したパス名で Dドライブにある MyDocuments というフォルダを表す
L:\MyDocuments コピーされる側のフォルダのある場所を記したパス名で 外付け大容量HDD(Lドライブ)にある MyDocuments というフォルダを表す
/c エラーが発生してもコピーを続けるというオプション これによって、エラーの発生した時点でコピーが止まる心配がなくなる
/d 送り側の日付が、受け側の日付より新しいファイルだけをコピーするというオプション これによって、旧いファイルで、新しいファイルを上書する危険がなくなるほか、 同じファイルを全部上書きするという時間の無駄もなくなる
/e サブディレクトリが空であってもコピーするというオプション このオプションがないと、サブディレクトリが空の場合コピーが行なわれない
/f コピーしている間、送り側と受け側の全ファイル名を表示するというオプション 長時間コピー作業が続いている時に、現在進行中の工程が分る方が安心で便利
/y 無条件で上書きコピーするというオプション これがないと、上書きの場合に、手入力で選択をしなければならなくなり面倒である

ここで注意が必要なのは、ファイルやフォルダの場所と名前は正確でなければ働かないということで、それはメールアドレスやURLが正確でなければ、それらが働かないのと同じである。「アドレスバーにファイルのパス名を表示する」にしておけば、これをコピーすることで正確に名前を記入することができる。

バックアップに使っているこの他のバッチファイルの内容と説明
私はDドライブに、マイドキュメント以外にも幾つかフォルダを作ってデータを保存している。それは、マイドキュメントの中に置くよりも、Dドライブから直接見る方が便利なものばかりで、2.緊急用データの選別に書いたものである。

それらを別個にバックアップするのは面倒なので、先の「MyDocuments D2L.bat」に、以下の4行を付け加え、「D→外付 .bat」の名前で保存して使っている。このバッチファイルをダブルクリックすると、最初の1行の処理が終われば2行目に移り、以下順に移行して、5行目が終われば完了する。

「D→外付 .bat」の内容

xcopy D:\MyDocuments L:\MyDocuments /c /d /e /f /y
xcopy D:\Becky! L:\Becky! /c /d /e /f /y
xcopy D:\Favorites L:\Favorites /c /d /e /f /y
xcopy D:\NB L:\NB /c /d /e /f /y
xcopy D:\筆まめUSER L:\筆まめUSER /c /d /e /f /y

説明
Becky!
2000年より使っている「Becky!2」というメールソフトのデータで、メールは専らこのソフトを使っている
Favorites
インターネット・エクスプローラの「お気に入り」を収めたフォルダ
NB
PCで行なう業務に最低限必要な重要データを収めたフォルダ
筆まめUSER
「筆まめ」のデータを収めたフォルダ

このバッチファイルは、Dドライブの「BAT」というフォルダに保存している。


3)同じPCの中でバックアップ以外に使うバッチファイル

私がバックアップ以外でよく使うバッチファイルをご紹介する。

名前:DIR.bat
内容:dir > DIR_Files.txt
説明:dir は、ディレクトリ(フォルダ)にあるフォルダ名とファイル名の一覧を表示するコマンドで、
    拡張子付きのファイル名とバイト単位のファイル・サイズを表示する
    > は、リダイレクトと言って、表示内容を、DIR_Files.txtという名前のファイルに移すコマンドで、
   目的とするフォルダ内にこのバッチファイルをコピーし、ダブルクリックすると、
   そのフォルダ内のファイルの名前や数などがテキストファイルで見ることができる
   このバッチファイルは絶対パスが付けられていないので、そのファイルの存在するフォルダ内が対象になる

名前:JPG→jpg.bat
内容:ren *.JPG *.jpg
説明:ren は、ファイル名を変更するコマンドで、
    * は、ワイルドカードといって、複数文字列の代用をする記号である
   この場合は、ファイル本体の名前を * で代用し、拡張子を JPG から jpg に変える

   このバッチファイルを、目的とするフォルダ内にコピーし、ダブルクリックすると、
   フォルダ内の、拡張子が JPG である全てのファイルが、jpg の拡張子に変更される
   機能的には大文字小文字で変わりはないが、見た目がすっきりするので、私はよく使う

名前:WAV→wav.bat
内容:ren *.WAV *.wav
説明:ren は、ファイル名を変更するコマンドで、
    * は、ワイルドカードといって、複数文字列の代用をする記号である
   この場合は、ファイル本体の名前を * で代用し、拡張子を WAV から wav に変える

   このバッチファイルを、目的とするフォルダ内にコピーし、ダブルクリックすると、
   フォルダ内の、拡張子が WAV である全てのファイルが、wav の拡張子に変更される
   機能的には大文字小文字で変わりはないが、見た目がすっきりするので、私はよく使う

以上のバッチファイルは、デスクトップに作った「基本ソフト」という名前のフォルダの中に、「BAT」という名前のサブフォルダを作り、そこに保存している。使う場合は、このファイルを目的とするフォルダにコピーしている。


4)異なるPC間でのファイル転送に使うバッチファイル

今回のような故障入院を含めて、メインで使っているパソコンが使えなくなり、代替のパソコンで業務をしばらく続けなければならない場合が起きる可能性はある。その時できるだけ速やかにその業務を行なえるようにするため、2.緊急用データの選別で書いたデータを、メインとPCと代替PCで同じように持つことにしている。これは、バッチファイルを使えば、1回のダブルクリックで可能である。

パソコン間のデータの移動はUSBフラッシュメモリなどでもできるが、ネットワークを通じて行なうのが最も簡単であり、ダブル・パソコンの頃より行なってきた。それをバッチファイルで行なうとより簡単になるので、トリプル・パソコンの頃より続けている。

異なるPCの間のデータの転送は、同じPCの中で行なう場合とは違うパスを使う。それはUNC(Universal Naming Convention)パスと言い、絶対パスよりも形式は簡単であるが、予めネットワーク上での共有設定をしておく必要がある。

その方法は、目的とするフォルダを右クリックして、「共有とセキュリティ」を選ぶと、そのフォルダのプロパティ画面が現れるので、「ネットワーク上での共有とセキュリティ」の部分の、「ネットワーク上でこのフォルダを共有する」にチェックを入れ、「ネットワークユーザーによるファイルの変更を許可する」にもチェックを入れておく。これによって、共有名が表示される。

ただし、ネットワーク上での共有設定をしておく前に、「ネットワーク セットアップ ウィザード」を使って、ネットワークのセットアップをしておく必要がある。なお、「ネットワーク セットアップ ウィザード」は「コントロールパネル」→「ネットワークとインターネット接続」→「ネットワーク接続」で到達することができる。

UNCパスは、コンピュータ名とこの共有名を、\\<コンピュータ名>\<共有名> のように結んだものである。コンピュータ名は「マイコンピュータを右クリックして表示される「システムのプロパティ」の「コンピュータ名」タブに書かれた「フル コンピュータ名」の横に記載された名前である。現在メインで使っているPCのコンピュータ名は「Rc72ps」にしている。これは「ネットワーク セットアップ ウィザード」で自分が決めた名前である。

異なるPCがネットワーク(LAN)で繋がるためには、ワークグループ名を同じに設定しておかなければならない。その方法は、「ネットワーク セットアップ ウィザード」を実行していくと、現在の「コンピュータ名」が表示される。ここで自分に分かりやすいコンピュータ名を記入し、次を選ぶと「ワークグループ名」を記入する画面が表示される。ここで、他のPCで設定したのと同じ名前(例えば、BOWBOW)を記入すれば良い。ワークグループ名の異なる設定のPC間ではLANは成立しないので、これは必須である。

メインのPCと代替のPCの間で、データを転送するバッチファイルを紹介する。

名前:主PC→替PC.bat
内容:xcopy \\Rc72ps\Becky! \\Rz70p\Becky! /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rc72ps\お気に入り \\Rz70p\お気に入り /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rc72ps\HP中之島 \\Rz70p\HP中之島 /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rc72ps\筆まめUSER \\Rz70p\筆まめUSER /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rc72ps\NB \\Rz70p\NB /c /d /e /f /y

説明:メインPCのデータを代替用PCに転送する。 名前:替PC→主PC.bat 内容:xcopy \\Rz70p\Becky! \\Rc72ps\Becky! /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rz70p\お気に入り \\Rc72ps\お気に入り /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rz70p\HP中之島 \\Rc72ps\HP中之島 /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rz70p\筆まめUSER \\Rc72ps\筆まめUSER /c /d /e /f /y
   xcopy \\Rz70p\NB \\Rc72ps\NB /c /d /e /f /y

説明:代替用PCで作ったデータを転送して、メインPCのデータを更新する

「\\Rc72ps」と「\\Rz70p」はメインPCと代替PCのコンピュータを表し、「\Becky!」、「\お気に入り」、「\HP中之島」、「\筆まめUSER」、「\NB」はいずれも共有名で書かれたフォルダを表す。「/c /d /e /f /y 」のオプションは同じ意味で使われている。


    同じフォルダについて、このUNCパスを絶対パスとを比較してみると

UNCパス 絶対パス
\\Rc72ps\Becky! D:\Becky!
\\Rc72ps\お気に入り D:\Favorites
\\Rc72ps\HP中之島 D:\MyDocuments\HP\HP-BOW\HP中之島
\\Rc72ps\筆まめUSER D:\筆まめUSER
\\Rc72ps\NB D:\NB

ルートディレクトリの直ぐ下にあるフォルダでは違いがないが、深い階層の下にある「中之島のBOW」のようなフォルダでは、UNCパスの方が簡単であることが分る。「お気に入りは」幻のフォルダで、実際は「Favorites」という名前のフォルダであるが、UNCパスでは幻の名前の方を採用している。



4.まとめ

これまで行なってきたダブル・パソコンによるパソコン保全システムを、発展的に解消させ、外付け大容量HDDとCドライブのイメージバックアップソフトを中心とする保全システムを構築してきたことを報告した。現在メインで使っているPCは購入して満3年になる。今年に入ってから、PCからの異音が大きくなり、いろいろ不調も重なり、7年ぶりでリカヴァリーをしなければならぬ事態も経験したので、新しい機種の購入を検討してきた。

そのPCが修理から帰ってくると、異音もしなくなり、快調である。これなら当分新しいPCを購入する必要はなさそうだ。私はVAIOの発売第1号機以来VAIOを購入してきた。それは相性が良いからというだけでなく、動画の編集では常に最も強力であったからだと思う。

現在のメインのPCはBDを搭載した世界最初のPCで、発売と同時に購入した。そう言うわけで、購入予定のPCはVAIOのType R に決めている。これは64ビットCPU、64ビットVISTAなので、現在のパソコン保全システムもいくらか手直ししなければならないだろうが、大筋では変わらないと思っている。

PCの修理入院という緊急事態を経験したことを利用して、新しいパソコン保全システムについてまとめた。


<2009.6.1.>

ホーム > サイトマップ > PC > PC環境の保全 > 新しいパソコン保全システム   このページのトップへ