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孫のふざけいたずら

2011.08.11. 掲載
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現在2歳9ヶ月の孫娘は、私に対して、ちょっとふざけ、ちょっといたずらをし、ちょっと逆らい、ちょっと困らせ、それを悪戯っぽい笑顔で楽しむことがある。最近それが多くなった。

このような行動を何と呼ぶのだろう? 「遊び」でもあり、「コミュニケーション」とも分類できる。

また、このような行動をひっくるめたことばが見つからないので、これも一応「ふざけいたずら」と呼ぶことにするが、「いたずらふざけ」でも構わない。もっと良いことばが見つかれば、それに変えるつもりだ。


この「ふざけいたずら」の意味を考えてみると、これはかなり高度なコミュニケーション・テクニックではないかと思う。

相手を見て、その表情や反応から相手の気持ちを察知し、タイミング良く、ふざけいたすらをしなければ、悪ふざけとなって、親愛の気持ちを逆にしてしまう可能性がある。

しかし、うまく働けば、これによって親愛の気持ちを伝え、あるいは、親愛の気持ちを確認し合い、その気持ちを深める効果があるからだ。


孫の最初の「ふざけいたずら」は、1歳6ヶ月の5月20日だった。ビデオ撮影をしている私のカメラを、ふざけて叩きにきた。その前の5月7日、5月9日にも、孫の家で守りをしているので、私たちへの親愛の気持ちが高まっていたのだと思う。

この1歳6ヶ月という時期を調べてみると、孫は公園ではじめて鉄棒にぶら下がり、ブランコやジャングルジムを経験している。

もう一つの初体験は、はじめて「グランマ」ということばをしゃべれたことで、本人も妻も大喜び、「グランマ」「はーい」、「グランマ」「はーい」をくり返していた。

また、理解力が高くなり、私が「太陽が隠れてしまったから、もうお外へは行けない」と言うと、孫はその理由をすぐに納得するので、驚いた時期でもある。

達成感の喜びを知るようになったのも、この時期からで、鉄棒を見つけてぶら下がり、「ヤッタネ」と満足の表情を示したり、洗濯ばさみを思うように並べて、「デキター!」「オオー!」と喜んだり、新聞を床に立てて、「タッタ!」と手を叩いて喜んだ時期である。


1歳11ヶ月になると、この「ふざけいたずら」を助長するできごとがあった。それは孫一家と孫のいとこ一家、それに私たち夫婦が一緒に食事をしたときのことだ。孫のいとこは孫より6ヶ月ばかり年上で、なかなかのヤンチャな男の子。座ってビデオを撮っている私に、何度もぶつかってきては私を倒す。その度に私は「助けてくれ!、助けてくれ!、お願いします。」などとオーバーに叫ぶ。すると余計に面白がって攻撃してくる。

最初の内は、私を可哀相だと思う目で見ていた孫は、自分もして良いと思ったのだろう。攻撃に加わり、私を倒して喜ぶ。


このことがあってから、暫くは、「ボウボウ、バターン」と言って私を倒す遊びを何度もくり返すようになった。両親にもやるらしいが、私と一緒のときは、専ら私が被害者になる。妻にはほとんどしない。私はこの遊びを「バターン遊び」と名付けた。「ボウボウ」というのは、祖父としての私の呼び名で、「ボーボとグランマ」に詳しく書いている。

この「バターン遊び」が後押しをして、孫の「ふざけいたずら」は頻度と程度を増していったのではないかと思っている。


2歳0ヶ月の11月6日、私が「こっちですよ−」と、カメラへ向くように言うと、ぷいと横を向き、私をからかった。七五三の11月21日、バギーに乗っている孫に「こんにちは」と言うと「イヤー」と顔を横に向けて笑う。天満宮へ向かう途中では、撮影する私のカメラをわざと無視して、こちらを向いてくれない。

2歳3ヶ月の3月3日、「ボウボウノトコロヘ、ポイッ!」、「ボウボウノトコロヘ、ベーン」と物を投げる振りをして笑う。ベーンというのは、「バターン遊び」で倒されて、私が「痛い痛い、ウェーンウェーン」と泣くふりをすると、「イタイノイタイノ、トンデユケー!」と痛いものを投げ出すマジナイである。これは普通、家の外に投げるのだが、人に向かって投げる時に使うことばが、「ベーン」であり、「ポイ!」である。

2歳6ヶ月の5月6日、私に向かって「バーン」と言って右腕を振り、「ボクハ、ツヨインダ」と笑って威張る。女の子のくせに、「ボク」と言うことも多い。5月27日、疲れて寝転んでしまった私を、笑いながら、色鉛筆で叩く真似をしていじめる。6月3日、外を歩いている時に、私のカメラにふざけてぶつかってきた。

2歳7ヶ月の6月6日、孫の家でアニメのビデオを見ている途中、私のカメラに向かって来て、カメラのレンズを手で覆って笑う。

2歳8ヶ月の7月15日、私は眠くなったので「眠ってもいいですか?」と尋ねると、いつもなら「イイヨ」と答えるのだが、この日は「テツダッテホシイノ」と言って寝かせてくれない。


7月22日の孫の「ふざけいたずら」はオーバーヒート気味だった。カメラに向かってチーズをするように頼むと、なかなかしてくれず、寝転んだところを撮ろうとしたら、「ミチャ、ダメー!」とカメラを叩く。「こっちを向いて」に「メッ!」。

孫は風邪気味で、鼻水を出し、絶えず指を鼻の穴に入れる。その指を私に触れようとするので、「ボウボウに触るのは嫌だぞ!」と言うが、かまわず、その指で私に触り、悪戯っぽい笑みを浮かべて滑り台を歩いて降りる。

また、階段を歩いて下りる途中、私が「こっちを向いてくれい」と言うと、こちらを向き、手でカメラを押しのけ、笑って降りていく。

滑り台の頂上で、手に持ったガスパールのぬいぐるみを振り回してカメラを叩き、私を困らせて楽しんでいる。

窓枠の上を移動しながら、私のカメラにいたずらをする。


このような孫の「ふざけいたずら」を列挙すると、私は困惑しているように思われるかもしれないが、決してそうではない。その反対で、大いに喜び、楽しんでいる。

「お主、やるか?」とボクシングの構えを見せたり、「お主、見たな!」と怒ってみせたり、「どれどれ、ボウボウが助けて進ぜようか?」、「お主、知っているか? 知らないだろう!」などと、挑発する。「武家ことば」は面白がるのでよく使う。

孫娘の反抗が私の仕掛けたものであったように、孫のふざけいたずらも、多分にその傾向がありそうだ。

75歳になるまで、このような「ふざけいたずらを」経験したことがなかった。これが長く続くはずはないが、私にとって貴重な、嬉しい経験である。


<2011.8.11.>

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