|
品川支部からの、'99「視点」入選作品 ‐ 木下義高氏東京から車で約2時間、成田空港を過ぎて終点の潮来インターを降りてしばらく行くと茨城県鹿島地区と北浦がある。 霞ヶ浦に寄り添うように位置している北浦は、最近はブラックバスの釣りコンテストなども開催される有名な湖であるが、この北浦と太平洋に挟まれた細長い地帯が小高い台地になっており、温暖な気候でもあるため最近は別荘地開発も盛んである。 鹿嶋市は鹿島アントラーズの本拠地であり、この台地の端には鹿島サッカースタジアムもある。鹿島神宮に代表されるように古くから拓けた地でもあり、「国末」「高天原」などの地名も残っている。 台地の斜面にはいまなお「里山」環境の風情が多く残っており、台地からの豊な涌き水によって水田も多い。 この地に魅せられて1年前からよく歩くようになった。その折に撮りためた作品である。古い社に「子育て地蔵尊」がぽつんと置かれていた。遊ぶ子供の姿も見えず、あたりは静寂に包まれていた。 里山の朝はもやに包まれていた。まだ青い稲穂と未舗装の「道」。 田圃の真中に設えられた小さな鳥居と手入れされた祠に、いつしか農民の自然と神を崇める姿を思い描いていた。
|
このWebサイト上の作品の著作権は日本リアリズム写真集団品川支部若しくはそれぞれの作者に帰属します。
|