トップ&図書 プロフィール 生涯事跡 有馬郡足跡 大化改新 ミュージカル旗揚げ  ミュージカル公演   皇子まつり 異聞 

本番公演前日の通し稽古の観賞
 市民ミュージカル劇団『希望』の「有間皇子物語」公演前日、6時半からゲネプロ(通し稽古)が行われた。劇団後援会役員は、三日間にわたる4回公演では受付や駐車場整理等の裏方に徹しなければならない。そんなわけでこのゲネプロが唯一の公演観賞の機会である。
 役員は、5時半に会場の山口ホールに集合し、ゲネプロ開始までの1時間を、来場者にお渡しするプログラム、公演パンフレット、アンケート用紙、後援会入会申込書等のセッティングに追われた。半分ばかりを残したところでゲネプロが始まった。
 JMAはじめプロの客演はあるものの、劇団員たちも要所で重要な役をこなしている。前面に拡張された舞台で、本番と同じ舞台衣装、大道具・小道具、照明、音響をバックに堂々たる演技が披露された。迫力のある音響や鮮やかに展開する照明が、いやがうえにも俳優たちの演技を盛り上げる。2幕10場の古代ミュージカルファンタジーである。孝徳帝の有馬行幸、有間皇子の幼年期、孝徳帝と中大兄皇子の葛藤、孝徳帝崩御、中大兄の策略、有間皇子と真白良媛の出会いと別れ、裁きと藤白峠での処刑、白浜海岸、フィナーレと展開する井劇団代表の渾身の大作である。15分の幕間休憩を挟んで2時間半の舞台が終わった。  
有間皇子物語公演の暑い夏が終わった
 2014年8月31日、ミュージカル有間皇子物語の三日間4回公演が、大盛況の内に無事終演した。2011年11月の市民ミュージカル劇団『希望』後援会の設立総会以来、3年間の取組みの集大成とも言うべき公演だった。山口という小さな町の定員200人余りのホールで古代ロマンの壮大な創作ミュージカルを上演しようという無謀ともいえる挑戦だった。山あり谷ありの苦節を越えてようやく迎えた千秋楽に感慨ひとしおだった。
 公演に向けて懸案だった駐車場問題は、市の協働事業ということもあり山口中央公園を借り受けることでクリアできた。会場には1時間くらい前から来場されるお客様があり、開演30分前の開場時には毎回ホール前のホワイエに3重の列をなしてお待ちいただく状態だった。開演時のホールは、連日ほぼ満席のお客様で埋められた。終演後のホワイエには出演の劇団員たちが舞台衣装まま駆けつけお客様をお見送りした。劇団員や井劇団代表と一緒に記念撮影をされるお客様もあちこちで見られ、いつにない華やかな終演後の風景が見られた。劇団員たちにかけられる「感動をありがとう」というお客様の言葉をあちこちで耳にした。
 三日間の公演期間中は、事前事後の客席整備と片付け、ホワイエでのお客様の入退場やご招待者の誘導、不測の事態への対応の備えなどで過ごした。その他の後援会役員は、受付や炎天下の駐車誘導などを分担した。面識のあるお客様からは私たちにも「良い時間を過ごさせてもらった。おめでとう」と嬉しい声掛けをもらった。
 入場者数を集計してみると4回公演合せて750名ものお客様の来場だった。毎回190名ほどの観客数であり、207席の客席に対し20席ほどの空席のゆとりがあったことになる。
 公演収支の確認や観劇いただけなかった支援者や後援会員へのお礼のご挨拶等が残されているものの、ひとまず大きなヤマを越えた。劇団員、公演スタッフ、後援会役員たちがそれぞれの役割に応じて精一杯奮闘した熱い夏が終わった。
有間皇子物語公演がもたらしたもの
 ミュージカル有間皇子物語公演終了後初めての後援会役員会を開催した。当然ながら公演全般の総括が中心テーマとなった。
 招待者を含めて事前のチケットと招待状の発行数810枚は、ほぼ満席数に等しかった。これに対して、入場者数は4回公演合せて750名だった。この来場者率93%は各公演当り20席前後の席数のゆとりがあったことになる。席数バランス上は申し分のない観客動員だったといえる。出演者、スタッフ、後援会関係者を合わせて4回公演で延千人を超える皆さんに山口ホールに来場頂いた。
 公演収支の概算が報告された。結果的に当初予算を100万円程度上回る事業規模となった。舞台づくりの過程で様々な想定外の出費が発生するのもやむをえない。同時にチケット販売、個人支援金、助成金等を中心に、それに見合うだけの予算を超える収入があった。おかげで公演収支のバランスは確保された。
 振り返ればこの結果に至るまでの過程は、まさしく山あり谷ありの厳しい現実の連続だった。とりわけ山口地区全体の自治会をまとめる会議体への名義後援の要請が、関係者の尽力にも関わらずも最終的には叶わなかった時には、いよいよ崖っぷちに立たされたという想いに駆られた。支援金要請や観客動員での影響ははかりしれないものがあると思えたからだ。
 にもかかわらず、公演は何とか成功裏に終了した。180名の方から支援金を頂き、25の法人から賛助金を頂戴した。ひとえに地域の皆さんの予想を超えたご支援の賜物というほかはない。
 観客の250名ほどの方からアンケート回答が寄せられた。フラットな客席で観ずらかったといった施設面の不満はあったものの、公演自体への評価は極めて高いものだった。何よりも観客の61%もの方が山口地区以外から来場された点は特筆すべきだろう。創作ミュージカル公演という初めての大それた挑戦が、地域の活性化になにがしかの貢献をしたことは間違いない。公演の地域外からの集客力の証明とも言えよう。合わせて今回の大規模な公演の成功はミュージカルという新たな文化がこの小さな町に花開いたことを物語っている。
 地元自治会の後援が叶わなかったことで、地元での大規模なイベント開催では通例の旧地区財産区の資金支援も得られなかった。それだけに新興住宅街中心の今回の公演の成功は、ある意味では画期的と言える。自治会、財産区の支援を前提としない千人もの動員を巻き込んだ大規模予算のイベントが大好評の中で成し遂げられたということでもある。
 今回の公演テーマの有間皇子は旧山口地区にゆかりの歴史上の人物である。旧山口ゆかりの題材を新興住宅街のカルチャーともいえるミュージカルで発信する。それは山口という新旧の住宅街が併存する町の大きな架け橋でもあるという自負がある。今回の公演成功が、山口の町起こしに向けて、そして新旧両地区の一層の共存に向けて大きなステップに繋がることを願ってやまない。
 個人的にはこの大きなイベント開催に当たって後援会事務局長という役回りを何とか無事果たせたことの達成感は大きい。また取組みの過程で多くの方との交流が得られた。今後の地域活動の上でも貴重な繋がりになると思える方も少なくない。いずれにしろプレッシャーのある大きな役回りを果たし終えて、ホッとしたというのも偽らざるところである。