2000年7月5日〜8日
釜山、李舜臣将軍が日本を睨む街
竜頭山公園、李舜臣将軍が日本を睨む
最初の観光地は、釜山の名所「竜頭山公園」。高台の公園には釜山のシンボル・釜山タワーがそびえる。118mの展望台から釜山の街並みや釜山港を望む。韓国第二の都市「釜山」は日本に最も近い都市であり、かっての日本の侵略に最初に蹂躪された地でもある。
日本史に登場する秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)は韓国では壬辰・丁酉倭乱と呼ばれている。公園中央には李舜臣(イ・スンシン)将軍の銅像が日本の方向を睨みつけるように建てられている。秀吉の侵略軍を朝鮮水軍を率いて打ち破った救国の英雄である。共通の史実の韓国側からの見方である。
ちなみに「日本海」は韓国ではなんと呼ばれているのだろう?金さんの回答。「東海です」(ヤッパリ)
韓国で観る「阪神−広島」戦生中継
初日の観光は竜頭山公園だけ。2人だけのツアー客をのせたワゴン車は投宿ホテルのある海雲台(ヘウンデ)に向かう。
今回のツアーには宿泊ホテルのレベルに応じて二つのプランがあった。チョット贅沢な「ゴールド」プランを選択した。今夜のホテルは「ザ・プサン・マリオット」である。韓国第1の海水浴場に隣接している。
夕食後、ホテル界隈を散策。リゾート客相手の屋台がビーチに沿って延々と開店しているする。韓国焼酎の肴に生の魚介類を提供している。
ホテルに帰り寛ぐ。テレビのチャンネルを回していると突然「阪神−広島」戦が飛び込む。(しかも8回表、6−0で阪神リード)なんで?モニター右上にBS1の文字。そうか!日本に近い韓国では衛星放送が受信できるんだ。
新羅の古都、慶州の旅情
通訳ガイド「金さん」のこと
翌朝、9時に金さんとホテルロビーで合流。釜山から新羅の古都「慶州」に向かう。100km足らずの2時間程の行程である。
車中、金さんとのおしゃべりに花が咲く。光州出身で1男5女の6人兄弟とのこと(家意識の強い韓国での何とか男の子をとの両親の思いが伝わる)。ソウルの一戸建て住宅を借りて妹二人と3人暮し。同居の下の妹は大学院生、その下は大学生で中国語の塾通いで中国語ガイドが夢とか。韓国の高学歴化は日本以上かもしれない。短大を含めると大学進学率は80%以上とのこと。
金さん自身のことも教えてもらった。大学卒業後1年間日本語の塾に通い、更に独学で通訳ガイドの勉強。通訳ガイドのライセンスは毎年1回試験があり2万人ほどが受験。合格するのは400人程というから合格率2%の難関である。中国からの観光客の増加が顕著で自分自身も近い将来中国語のライセンスを取りたいとのこと。(日本に取って代わろうとするアジアの大国・中国の勢いが忍び寄る。)
古墳公園「大陵苑
釜山の喧騒と打って変わって穏やかな田園風景が広がる古都・慶州である。最初の観光は古墳公園「大陵苑」。広大な敷地にお椀型の古墳が数多く保存されている。その最も奥に「天馬塚」がある。ここから発掘された馬具のひとつに鮮やかな天馬の絵が施されていたところからの命名。思わずデジカメのシャッターを切ってしまった。
「膽星(せんせい)台」と「国立・慶州博物館
古墳公園の側に「膽星台」がある。7世紀中頃に新羅の第27代女帝の在位中に建てられた星の運行を観察する一種の天文台とのこと。
次に訪れたのは「国立・慶州博物館」。紀元前1世紀から935年にわたる新羅王朝の数々の出土品や遺物が展示されている。
博物館を訪れる韓国の人々の多さに驚かされる。韓国の人々の民族意識の強さを垣間見る。幼稚園児達の一団が館内を闊歩する。幼児期からの民族教育の一環なのだろうか。
「世界遺産・佛国寺」の造形美
世界遺産「佛国寺」は慶州市街から15kmほど東南の吐含山の中腹にある。
山門を背景に妻と金さんの記念写真。山門をくぐり広大な境内の正面に大伽藍が設置されている。境内と伽藍とは花崗岩で築かれた4つの橋で結ばれている。見事な造形美である。保存のため橋を渡っての通行は禁じられており、正面右手の山沿いの歩道を伝って伽藍に入る。
伽藍の手前には「大雄殿」と呼ばれる本堂が位置する。「大雄殿」の正面左右に多宝塔と釈迦塔の双塔が並ぶ。韓国の仏教美術の粋は豊富な花崗岩を素材とした石造文化にあるという。木造建築物の多くは焼失し今日の姿は復元されたものとのこと。佛国寺伽藍の木造部分は秀吉軍の侵略時の放火で全て焼失したという。金さんのこうした部分の淡々とした説明に心なしか私たちを気遣う優しさが感じられる。
「大雄殿」奥に位置する講堂は、その内部を極彩色で彩られた見事な木造建築である。そのいかにも韓国風の色使いとモチーフにはおおいに興をそそるものがあった。
「世界遺産・石窟庵」の幻想
佛国寺拝観の後、パックツアーのセットの陶芸工房に立ち寄る。形ばかりにと青磁の湯飲みを購入し終えたのが4時過ぎ。そこで金さんからの提案。「時間があるのでオプションですが石窟庵」に行きますか。即座に同意。(この辺が専用ガイドとドライバーの強みか)
山門前で車を降り、歩くこと約10分で到着。吐含山の山頂付近に日本海に面して築造された人工の石窟寺院である。木造の伽藍に覆われた左手入口を入ると石窟が飛び込む。正面奥にでライトアップされた本尊の如来座像が鎮座する。その左右から手前にかけて多くの石造の仏たちの浮き彫りを従えたその幻想的な光景はさすがという他はない。(残念ながら内部保存のため石窟前面はガラスで仕切られており、カメラのフラッシュが如来像左下に反射する結果となった。ほんとは写真撮影禁止だった。)
古典舞踊と韓定食の夕べ
ホテルにチェックイン後、夕食に出かける。普門湖畔にあるその名も「湖畔荘」だ。韓国伝統の古典舞踊を鑑賞しながら韓定食が味わえるという趣向。
案内された席は、舞踊の演じられる舞台の最前列。おかげでデジカメの捉えた画像はそこそこの迫力。
韓国太鼓にカラフルな扇と衣装がおりなす古典舞踊はリズム感のある艶やかで優美な世界を演出する。
それにしても韓国の女性はかくも美しいのか。
普門湖を望む慶州ヒルトン
石窟庵拝観後、今夜の宿「慶州ヒルトン」へ。慶州市郊外のリゾート地である普門湖のほとりにあった。部屋のベランダ越しに普門湖が望める絶景のホテルである。
別館地下に免税店があり、夕食後の寛ぎは、妻のお目当てのお買物タイムに。とはいえそこは抜け目なく自分用のブランドのネクタイ、カジュアルシャツも調達。
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