10月8日(水) 目の前にあるパルテノン神殿
国立考古学博物館
■ギリシャ時間7時20分、アテネのエレフテリオス・ヴェニゼロス国際空港に到着。実質的なツアー初日である。この長ったらしい到底覚えられそうにない名前は、独立後、国造りに貢献のあった元首相にちなんどものだそうだ。入国手続きを済ませターンテーブル前でスーツケースを待つ。ツアーメンバーの荷物はポーターがバスまで運んでもらえる。パックツアーのメリットをかみしめながらバスに乗車する。約40分でアテネ市内に入り、最初の目的地の国立考古学博物館に到着。ここで今日のツアーガイドのバソさんと合流する。18年前に東京の専門学校で3カ月間、日本語の勉強をしたという50前後の女性だ。
■バソさんの案内でギリシャ各地の遺跡出土品が収められているという世界有数の考古学博物館に入場する。1〜2階に56室もの展示室がある。最初の部屋の正面には最も著名な「黄金のマスク(アガメムノンのマスク)」が展示され、いきなり見学者の目に飛び込むという演出に驚く。紀元前20世紀にまで遡るミケーネ文明の至宝である。フラッシュ使用は禁止だが撮影は自由である。「地球の歩き方」のガイドを参考に数多くの著名な展示品を画像に収めた。画像左から、国立考古学博物館と現地ガイドバソさん、アガメムノンのマスク、クーロス像、ポセイドンのブロンズ像、馬に乗る少年像、ゼウスの大理石像、アフロディアとパンの像である。 
世界遺産・アクロポリスの丘
■次の観光は今回のツアーのハイライト「世界遺産・アクロポリスの丘」である。車窓から既に丘の上のパルテノン神殿が見え隠れし、いやがうえにも期待を膨らませる。バスを降りてカフェテラスのある通りを進む。右手には古代アゴラに残された最も原型をとどめるといわれるへファイスト神殿の美しい姿が見え隠れする。
 丘の麓のアタロスの柱廊博物館に立ち寄る。唯一の完全復元遺跡の博物館で、前後2列に整然と配された柱列の並ぶ回廊が見事な空間を造っている。古代ギリシャ人の生活ぶりを示した古代アゴラの出土品を見て回る。
■博物館前の神殿に向う石畳の坂道をのぼる。古代アテネの裁判所跡といわれる小さな岩山の横を抜けた所に入場口があった。いよいよアクロポリス(高い丘の都市)の神殿の聖域に入る。それにしても凄まじいばかりの観光客である。西欧文明の究極の原点ともいうべきスポットの吸引力を思い知らされる。坂道の途中の展望地から古代音楽堂遺跡の全貌を見下ろせる。夏には古典劇やコンサートが開かれる今なお現役の劇場でもある。古代から無数の人たちに踏みしめられてツルツルになった大理石の階段を慎重に登っていく。古代人たちの足跡の証しと思えば滑り安さにも感慨を呼ぶ。プロピライヤ(前門)をくぐると丘の頂上に出る。途端に写真で馴染んだ余りにも有名なパルテノン神殿の実物の姿が目に入る。名状し難い感動が胸をよぎる。観光客の人混みをかき分けて巨大な円柱に近づいていく。
 バソさんのレクチャーの後、自由解散となり、世界最高水準の世界遺産の満喫タイムを迎える。まずは神殿の周囲を記念写真を交えて散策。丘の頂きからの音楽堂遺跡の眺望や撮影も怠たりない。神殿先の丘の先端の展望台からの180度の景観も見逃せない。アテネのもうひつのランドマークであるリカヴィトスの丘の神秘的なたたずまいが一際鮮やかに目に入る。神殿西側のエレクティオンに移動し、周囲をじっくり見学する。古代建築を修復した神殿であり、6人の少女像を柱とした柱廊が張り出した特徴的な建造物である。画像は、左から柱廊博物館、へファイスト神殿、古代音楽堂遺跡、パルテノン神殿、エレクティオンである。 
ギリシャ初めての味わいとポセイドン神殿
■丘を降り、バスで次の観光地・オリンピックスタジアムに向かう。そのほとんどが大理石で造られた現代のスタジアムは、アテネ五輪で野口みずきが栄光のゴールテープを切った競技場だ。
■スタジアムから徒歩数分のところに昼食会場があった。スタジアムと同じ名前の一見民家と見まごうタベルナ(レストラン)に入る。ムサカという茄子の挽き肉の重ね焼きのギリシャ料理がメインのコース料理だった。本場のギリシャ料理の初めての味わいだったが、感動の薄い今一つピンとこないものだった。昼食後、ツアーお決まりの土産物店への立ちよりが待っていた。15分ばかりギリシャ土産の物色に時間潰しをして店を出る。
■本日最後の観光先であるスニオン岬に向かう。アテネ南東70kmのアッティカ半島先端の岬である。エーゲ海沿いの美しい海岸線を1時間半ばかりバスはひた走る。手前のビュースポットで、バスから降りて湾を隔てた岬の上に建つポセイドン神殿の絶景を眺める。岬に着いた。夕日の美しさで有名な場所だ。神殿の向こうで午後の遅い時間の太陽が海に近づいている。逆光の中でくっきりと浮かび上がるポセイドン神殿の姿が、夕日の美しさを連想させた。30分ばかりの散策の後、バスはアテネ市内の予約ホテルに向かった。
 画像は、左からオリンピックスタジアム、昼食(ムサカ)、エーゲ海沿いの海岸線、ポセイドン神殿である。  
民族舞踊のディナーショー
■国鉄ラリッサ駅前のホテル・オスカーが初日の宿泊地だった。午後6時過ぎロビーでのツアーミーティングの後、部屋に向かった。部屋の前にはスーツケース2個が既に待っていた。スーツケースの整理をし、バスに浸かりようやく一息ついた。電子機器の充電は、電圧220Vで変圧器は不要だった。コンセントアダプターを装着しデジカメ、電子手帳、携帯の充電をした。ホテル7階のテラスから市内の夜景を眺める。ライトアップされた夜のアクロポリスが遠望できた。
■夜9時にホテルを出発してバスで特別保存地区のプラカ地区内のレストランに向かう。バスから降りて観光客や市民で賑わうテラス通りを数分歩く。レストランの店内に入る。正面のステージでは民族楽器による演奏が流れている。ステージを囲むようにぎっしりと並んだ客席に次々と観光客のグループが着席する。出来合いの料理が雑に運ばれて、この店は明らかにショーが売りのレストランであることを教えられる。料理に期待する方が無理というもの。
■9時30分、満員の客席を前にショーが始まった。3名のボーカリストたちが、今日の国ごとの観客に向けて各国の言葉で挨拶し歌う。男女7名のダンサーたちが民族舞踊を、ステージ狭ましと乱舞する。最後に登場したのはやや太めのアラブ風のセクシーな衣装をまとった女性ダンサーだった。初めて見るベリーダンスは妖艶で客席の目を奪うに十分な出し物だった。客席の男性たち数人をステージに招き寄せ、即席のベリーダンス講習会となる。仲間たちの及び腰に客席はいやがうえにも盛り上がる。料理の不味さをカバーする巧みな演出だった。
 10時30分、ようやくホテルに帰り着いた。ツアー初日の余りにもハードで長い一日が終わった。翌日の観光バス車内で初日のスケジュール設定のハードさを指摘する声が上がったのも無理はない。
 画像は、左からホテル・オスカー、ディナーショーの会場、夕食、民族舞踊、ベリーダンス、プラカ地区の街角である。

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