10月7日(火) アテネ行きシンガポール航空の機内
■いよいよ「ギリシャ紀行とエーゲ海クルーズ12日間の旅」の出発日を迎えた。とはいえ午後12時20分頃の自宅出発である。午前中は早朝ウォーキングをこなし、リハビリに通院し、いつも通りの日常生活だった。アメリカ発の金融不安がヨーロッパに飛び火して今朝のユーロは137円まで値を下げた。それ自体は大変なことだが、個人的にはツアー中のユーロを安く購入できる分ありがたい。「阪神」は昨晩痛い一敗を喫した。12日後にはペナントレースの帰趨は定まっていることだろう。果たしてどうなることか。何はともあれ、久々のパックツアーであり、初めてのクルーズである。リタイヤ記念ツアーを夫婦で満喫してこよう。
■12時前の路線バスでJRの最寄駅まで行き、大阪駅経由で関西空港に着いたのは2時20分だった。4階出発カウンター奥の宅配便受取りカウンターで代金引換でスーツケースを受取る。その足で南団体受付カウンター奥のJTB窓口に行く。集合時間20分前ながら既にツアー仲間らしき何名かが列を作っている。挨拶を交わした添乗員さんから個人別に搭乗機のチェックインを求められる。手続き後、再び集合地に戻り、出発ゲート前での再集合の指示がある。当座のユーロを求めて両替をした。直近の円高である。ここは多めの両替をしておくことにした。手数料込み1ユーロ142円の相場だった。出発までの時間をマクドナルドのスナックやショッピングゾーンの散策で過ごし、4時頃には出発ゲートに着いた。
■16時55分、シンガポール航空621便は関空を出発した。女性アテンダントたちが、この航空会社独特の民族服に包まれた魅力的な制服で機内サービスをしてくれる。定員の8割方の機内の前2列にはアメリカの女子高生の一団が教師も一緒になって騒いでいる。かっては楽しみだった機内食も今は義務的に消化する気分に落ち込んでいる。海外ツアーの感動が徐々に薄れていくようだ。約6時間のフライトで中継地のシンガポール・チャンギ空港に到着。機内を結ぶゲートを出たところで初めてのツアーメンバーの顔合わせとなった。総勢19名の内訳は、私たちを含めた老夫婦が6組、母娘、オジサンのペア、一人旅の年配のオバサン2人、オジサン1人といったところ。夏秋シーズンのツアー設定ながら今回で4回目の催行とのこと。12日間もの休暇の取れる人は限られている。メンバーはいきおいリタイヤ組中心となる。添乗員はMさんという30代の痩形の女性だった。
■この空港は10年ほど前のマレーシア旅行以来の二度目の空港だ。とりあえず海外からの初めての携帯メールの送信を試してみた。国内と全く同じ操作で娘への送信が無事完了し、アテネ着陸後に返信メールを受信した。3時間ほどのトランジットを空港内の食堂でタイ風焼きそばを食べたりして過ごす。日本時間午前2時シンガポール航空348便がアテネに向った。
■さすがに深夜の出発便の乗客は半数ほどだ。11時間もの夜間フライトである。旅なれた乗客たちがあっという間に横になって寝られる三列席の空シートに移動する。ツアー仲間の老夫婦の奥さんもその一人だったのに驚いた。離陸間もないディナーと着陸前の機内食の外は多くの乗客は睡眠を貪っている。2時間ばかりまどろんだが殆どをZaurusでのブログ原稿入力、「地球の歩き方・ギリシャ」のおさらい、「ローマ人の物語34巻」の読書で過ごした。各シートにはモニターが付いている。6本の日本映画をはじめ100本ほどの映画を視聴できる。着陸前の1時間ばかりを二度目の「壬生義士伝」で愉しんだ。着陸前のシンガポール・フライド・キャロット・ケーキと名付けられた朝食は美味しかった。小エビとポテトといり卵のスパイシーなオムレツの具といった初めて味わう料理だった。
■読書灯を除いて真暗だった機内の灯りが一斉に灯され、着陸に向けた機内放送があった。窓際の席から小窓のブラインドを上げて外を眺める。夜明け前の薄明かりに浮ぶ巨大な翼の先で、昇リ始めた朝日を受けた空が徐々に赤く染まりつつある。機上から゙しか見られないその美しい光景にしばらく見とれていた。

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