都市国家ポリスの民主政の限界
■現代の民主主義のルーツは古代ギリシャの都市国家・ポリスの民主政にあると言われる。そのギリシャで今日の民主主義が確立されたのはわずか数十年前である。ギリシャの歴史はその輝かしい古代史に反して、ローマ帝国やオスマントルコ帝国などの他民族による支配と抑圧に彩られている。 
■都市国家・ポリスとしての繁栄ゆえにギリシャ人としての共通の民族意識をもった統一国家の誕生が阻まれ、むしろポリス間の相次ぐ紛争を招くことになった。 限られた自由市民にのみ参政権を認められた古代ギリシャの民主政は、その後の扇動的政治家による衆愚政治となって衰退していく。  
古代ローマの政体の変遷とパクス・ロマーナ 
■古代ローマも同様に都市国家として誕生した。その後、王政から共和政に移り、その永きに渡る共和政の果てに帝政に辿りつく。帝政とはいえ内部に共和政の仕組みとシステムを色濃く内包した政体であった。その点こそが古代ローマをして人類初めての世界帝国たらしめ、パックス・ロマーナをもたらした。
■仕組みやシステムとしての民主政を政体の中に組み込んだ古代ローマ人のダイナミズムこそが、古代ギリシャの政体と民主政の限界を突破し、そのギリシャをも属州支配できた要因ではなかったか。
■現地ガイドのマリアばあちゃんから教えられた。「ギリシャ人は国家や民族意識が他の国よりも低い。逆にファミリーに対する愛着心が他国以上に強い」。ギリシャの血に染められた苦難に満ちた歴史を抜きには理解しがたい言葉だろう。

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