9月15日 湖と古城の街ラッパーズヴィルからリッケン峠へ  
■10時7分、ユトリベルク発のSバーンに乗車しチューリヒ中央駅に戻った。中央駅北側の広場が現地ツアー「グレートカントリー・ツアー」の集合地だった。ちなみにこのツアーは英語ツアーである。この日にはあいにく日本語ツアーは開催されていなかった。広場入口にチケット販売を兼ねたツアーの受付があり、後ろに2階建て観光バスが停車している(画像@)。バウチャ−を提示し、ツアーワッペンが渡される。
 乗車した2階建て観光バスは、10数名のツアー客を乗せ、定刻の11時に発車した。2階席最前列の特等席にはドイツ人らしいオジサングループが陣取り、私たちは2階席中ほどに席を取った。1階運転席横のガイド席からのアナウンスがスピーカーから伝わる。「本日のガイドはクリスティーナ(右画像)です」との自己紹介(もちろん英語で)。
 市内の主要な観光スポットの車窓観光をした後、バスはチューリヒ湖を右に見ながら西に進路を取る。12時10分、最初の観光地ラッパーズヴィルに到着した。
■チューリヒ湖畔に位置するラッパーズヴィルは、中世の街並みを残した美しいリゾート地だった。市の中心の高台に建つ古城に昇ると、展望台にもなっている公園があった。ここからは遊覧船を繋留したチューリヒ湖が見晴らせる(画像A)。古城(画像B)の門をくぐると回廊で囲まれた中庭があった。この古城は現在はホテルとして使われているようだ。制服姿の若い女性達の手で、敷き詰められたテーブルにクロスが掛けられ、結婚式の宴席の準備が行われていた。古城を維持するための様々の方策が講じられている様をはからずも目にすることになった。古城の隣には同じような造りの教会(画像C)があった。
 高台の坂道を下り、市の中心部に戻る。広場を囲むように土産物店やマクドナルドなどのファーストフードの店が軒を並べていた。このツアーは特に昼食タイムは設けていないとのこと。各自が自由に見学地で済ませるようだ。とりあえずの空腹を満たすためケーキ屋さんでチーズパイを求めた。
■1時間ほど滞在したラッパーズヴィルを後にし、バスはアルプス山脈の山あいを東に向う。車窓からは、この地域に特有の三角屋根の多層階の家々が次々と目に飛び込む。どの家でも窓辺には色鮮やかな花が飾られている(画像D)。市町村の条例でこうした窓辺の花の手入れが義務付けられているとのこと。
 30分ばかりして美しい谷間の小さな街にバスが停車した。ガイドさんから写真撮影のための小休憩が告げられる。牧歌的な緑の丘に囲まれた民芸調の家並みが続いている(画像E)。さわやかな風の香りが限りない安らぎを運んでくれる。
リヒテンシュタイン公国の首都ファドゥーツ
■20分ほどの小休憩の後、バスは更に東に向ってひた走る。次の目的地のファドゥーツに着いたのは2時45分頃だった。ファドゥーツは、スイスとオーストリアに挟まれた小国リヒテンシュタインの首都である。車窓からは山の中腹に建つファドゥーツ城(画像@)の全貌が見えた。
 街の中心部の駐車場でバスを降り、ガイドさんのいくつかのレクチャー(画像A)を受けた後、約45分の自由行動となる。小さな街のどこにいても街のシンボルでもあるファドゥーツ城が見える(画像BC)。なんとかファドゥーツ城に登りたいと思ったが、往復30分は必要とのことで断念した。
■メインストリートを挟んで500m内の地域にあらゆる機能がおさまったかのようなコンパクトな街だった(画像D)。中心部にある郵便局の観光局でパスポートに入国記念スタンプを押してもらう。20分ばかり市街地を散策した後、COOPで昼食用のサンドイッチと飲み物を調達した(画像E)。ファドゥーツを後にし、30kmほど南の最後の目的地マインフェルトに向う。
ハイジの故郷・マインフェルト
■車窓からは、アルプスの山懐にたたずむのどかな村の風景が現れては消える(画像@)。
 16時頃、今回のツアーのメインの目的地であるハイジの村(マインフェルト)に到着する。通常、村の中心施設であるハイジハウスまではマインフェルト駅から1時間ほどをかけて歩くハイキングコースのようだ。ところが現地ツアーのバスは狭い田舎道を縫って一気にハウス近くの駐車場まで連れて行ってくれる(画像A)。
 駐車場から、山の中腹の小道を数分歩いて博物館でもあるハイジハウス(画像B右画像はチケットのロゴマーク)に至る。ハウス前でツアーガイドから簡単な説明の後、1時間の自由行動が告げられる。ハウス横のハイジショップで5スイスフラン(約500円)のチケットを購入しハウスに入る。室内は食堂、寝室、物置、作業場、屋根裏部屋等の部屋に分かれている。それぞれの部屋がハイジの物語の当時の生活様式で再現されている(画像C)。各部屋にハイジやペーターやオンジの人形が置かれていた(左画像)。その悪趣味な人形がもたらしたものは、ふくらんだ空想の世界を一気に引き戻す効果だけだった。
 ショップハウスの隣の小さな牧場には、ひとなつこい山羊の一団がたむろしている。思わず童心に返り、子山羊とたわむれた(画像D)。周囲の放牧場には大きな乳牛がゆったりと徘徊したり座り込んだりしている。カランコロンというカウベルののどかな音色が、いやおうなくハイジのアニメの世界にいざなってくれる。ショップでアイスクリームを買って食べたりしながら寛いだひとときを過ごす。
湖と牧場の車窓の絶景
■17時、ハイジの村を後にしてバスはアウトバーンを一路西に向かう。しばらくすると車窓にはヴァーレン湖の美しい風景映し出された。湖畔にたたずむアルプス山麓の村の風景(画像@)や、霧にもやった幻想的な湖面の風景(画像A)を車中のデジカメが見事に切り取った。
■18時45分、チューリヒの朝の出発地と同じ駐車場に無事到着。ガイドのクリスティーナさんにネットのクチコミ情報にあったスペイン料理の店の場所を尋ねる。食事の前に、中央駅で明日の列車の座席指定券を確保した(画像B)。リマト川東側の繁華街を南にスペイン料理の店を求めて散策する(画像C)。19時30分、ようやく探し当てた時は、食事時のピークを迎えお店は満席だった。やむなく近くの中華料理の店で我慢する。それにしても焼き飯1700円、焼きソバ2400円といった値段の高さには驚かされる。ホテルまでの道のりを10数分かけて散策する。市街地をくまなく網羅している路面電車が行き交っていた(画像D)。20時30分、ホテルに戻る。

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