9月13日 初めての本格的ドイツ料理の味わい  
■現地ツアー「ロマンチック街道一日観光」を終え、バスはヒルトン・シティーホテル前に到着した。ホテルは大型バスが可能な市街地の外れにある。ホテル前の待機タクシーに乗車し、ミュンヘン中央駅近くの予約ホテルを告げる。ホテルに着いた。メーターは8.5ユーロを示している。運転手がメーターにタッチすると9.5ユーロに瞬時に表示が変わった。どうやらスーツケースの出し入れサービスの加算システムのようだ。これならチップは不要と思ったが、娘は10ユーロの支払いで処理していた。
 予約ホテルのベストウエスタン・アトリュームは中央駅の二筋南のいかにもダウンタウンといった雰囲気の立地だった。見本市開催中のミュンヘンで中央駅周辺の条件検索で自ら手配し何とか確保したホテルだった。一流とはいえないもののベストウエスタンのホテルチェーンのひとつでそれなりの水準は期待できそうだ。
■チェックイン(画像@)を済ませ、遅い夕食をとるためにホテルを出た時はもう20時の半ばを過ぎていた。「地球の歩き方」紹介のレストラン「ドニスル(画像A)」は、ホテルから1Km程東の新市庁舎と通りを挟んだ西隣にあった。歴史を感じさせる重厚な木で覆われた内装は、いかにもドイツといった雰囲気を漂わせていた。写真入りの日本語メニューで選択できるのも嬉しい。今回のツアーでは食事の飲み物は娘の分も含めてビール二人前が定番となっていた。豚の脛肉料理、牛のステーキ、ソーセージ料理(画像B)をオーダーした。ドイツに来て初めてボリュームたっぷりな本格的ドイツ料理を味わった気がした。観光ルートの歩行者天国をほろ酔い機嫌で散策しながらホテルに帰りついたのは22時前だった。
■翌朝5時半に目覚める。早朝のホテル周辺を散策する。ホテル前の通りの正面には立派な教会の尖塔が望める(画像C)。7時には家族ともどもホテルのアメリカン・ブレックファーストを詰め込んだ。いったんチェックアウトしスーツケースを預ける。 
9月14日 中心街の教会建築の圧巻
■14時過ぎの列車でチューリヒに発つまでの半日ばかりを、ミュンヘンの市内観光で過ごすのが今日の予定である。エージェントの列車手配は普通乗車券だけだった。ホテルを出てまず中央駅に向う。12時34分発の列車の座席指定券を1人3ユーロ(約450円)で購入する。
■「地球の歩き方」をもとに観光プランを立てていた。ミュンヘン市街の観光スポットは、新市庁舎前のマリエン広場を中心に半径500m以内に集中している。まず訪ねたのが観光エリアの最も先にあるヴィクトリアーリエンマルクトの野外市場(画像@)だった。広場にはいくつものテントが張られ、新鮮な野菜や果物、生花を中心にビアガーデン、焼きソーセージ、ジュースが販売されている。片隅では豚の丸焼きの製造販売の屋台もあり、のどかな青空市場のたたずまいだ。
■市場からマリエン広場を抜けたすぐ先にフラウエン教会がある。二つの塔の上に玉ねぎ型の屋根が特徴的な教会である(画像Aは新市庁舎の塔の最上階から撮影したもの)。高い天井の広々としたゴシック様式の堂内の祭壇裏には見事なステンドグラスが嵌められていた。
 フラウエン教会のすぐ西側にはミヒャエル教会がある。正面の壁にはいくつもの彫刻の人物像が配され、堂内は高い丸天井をもったルネサンス様式の教会だ(画像B)。
 「地球の歩き方」の読者情報に「絢爛豪華なアザム教会」という興味深い記事があり、訪ねた。マリエン広場の南西500m程のところにあった。確かに正面の豪華さに始まり、一歩足を踏み入れた途端に飛び込んでくる祭壇を中心とした堂内の絢爛たる装飾は目を見張るものがある(画像C)。
バイエルン王家の宮殿跡「レジデンツ」
■マリエン広場の南西のコーナーにカウフホーフ百貨店を見つけた母と娘は早速、お土産の下調べに行くと言う。どうやら教会ばかりの観光に飽きてきたと言うのが本音のようだ。従ってここからの観光は父親だけの単独行動となる。新市庁舎の北側エリアの観光に向う。マリエン広場から北に伸びる大通りの先にオデオン広場がある。この広場の周りを、将軍堂(画像@)、テアティーナー教会(画像A)、レジデンツ(画像B)という観光スポットが取り囲んでいる。
■とりわけレジデンツはバイエルン王家の宮殿跡である。バイエルン州の州都であるミュンヘンの中心となった歴史的建造物と言える。現在は博物館や宝物館として公開されている。残念ながら時間がなく入場は断念した。レジデンツ通りの入口には盾を持ったライオン像が立っている。触ると幸せになれるという言い伝えのある盾の一部は、異様に輝いていた。
 レジデンツを新市庁舎方向に戻ると隣接してバイエルン州立歌劇場(画像C)があった。
新市庁舎塔のからくり時計
■マリエン広場前のスオッチ時計の店の前で家族と合流し、新市庁舎の塔(画像@)に登ることにした。入口を入った所のエレベーターで4階まで行き、チケット売場で一人2ユーロのチケットを求めて別のエレベーターで9階まで昇る。塔を取り巻く回廊から360度の展望が広がり、ミュンヘンの街並み(画像A)が一望できる。先ほど訪れたフラウエン教会のここからしか見えない全貌が眼下にあった。
■塔を降りてマリエン広場に戻ると、人だかりの中で胸から上が飛びぬけた信じがたいほどの長身の人物が見えた。野次馬根性は止められない。近寄るとモンゴル風の民族衣装に身を包んだ中年の男性だった。どこかで見たことがあるようなと思って、帰国後ネットで検索すると、やはりギネスブックに認定された「世界一背の高い男」だった。以下はその記事である。右のネット掲載画像では何故か私が見たときと同じ服を着ていた。
 『中国国際放送局によりますと、モンゴルに住む男性がこのほど「世界一背の高い男」としてギネスブックに認定されたそうです。1951年生まれのこの男性は、名前はバオ・シチュントウといい、中国の内モンゴル自治区に住まう牧夫。身長は、六回にわたる厳密な計測の結果、2m36cmが記録としてとられました。』
■オジサンコンビによる路上ライブ(画像C)などもあった。ここマリエン広場はドイツ有数の観光都市ミュンヘンの華やかなパフォーマンスの舞台でもある。この広場が最も盛り上がる時がやってきた。毎日11時と12時の2回、新市庁舎の塔の中ほどに設置されたからくり時計の演奏がある。11時前、観光客達が続々とつめかけてきた(画像D)。11時、演奏が始まり上下2段に分かれた舞台で32体の等身大の人形達が10分間のパフォーマンスを演じる。クライマックスは騎士による馬上槍試合である。勝負が決まった途端に観客達から大きなどよめきがもれる。
■広場から中央駅方面に広場の延長線のような広い通りが延びている。歩行者天国のノイハウザー通りである。入口は凱旋門のような堂々たる構えのカールス門(画像F)が建っている。
ドイツ鉄道でチューリヒへ
■カールス門をくぐると噴水池を取り巻くカールス広場(画像@)にでる。昨日の夜歩いた道を再び辿り、中央駅前を左折し、ホテルに戻る。スーツケースを受け取り、中央駅に着いたのは、11時30分だった。発車時刻の案内表示板(画像A)を確認する。たっぷりある時間を昼食を兼ねて駅構内のファーストフードで過ごすことにした。昼食を済ませ、構内のコンビニ風の店で車内での飲食用に缶ビール、ジュース、スナッ12時20分頃、ホームで待っている私の前に、赤い列車が滑り込んできた(画像B)。絶好のシャッターチャンスで画像を捉えた。チケットの指定座席の号車が分らない。駅員に尋ねてようやく指定席に辿りつく。棚の下の車窓の両脇のカードホルダーには予約席か否かの表示カードがあった。ゆったりした4人がけのシートには窓際に折りたたみ式の大型テーブルがあり、なかなか快適な車内だった(画像C)。しばらくすると車掌がパンフレットを配布して回る。ミュンヘン・チューリヒ間の停車駅と停車時刻をはじめとした車内サービス等の情報が記載されている。旅行者には重宝な情報だ。もっともドイツ語が読めることが前提ではある。
 いよいよ今回のツアーの楽しみのひとつだったドイチェバーン(ドイツ鉄道)の列車の旅がスタートした。スイスの国境手前の駅を過ぎた頃、警察官を連れた係官が入国チェックに回ってきた。パスポートの提示を求められるだけの簡単なチェックだった(画像D)。缶ビール片手に車窓につぎつぎ展開される情緒豊かな異国の風景を楽しんだ。穏やかで寛ぎの時間がゆったり流れる列車の旅の醍醐味を満喫した。

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