9月7日(水) 上空から見るロッキーの山並み
■朝6時起床。7時15分にはホテル前で待機しているタクシーでカルガリー空港に向う。約25分で空港到着。タクシー料金はチップ込30カナダドルだった。エアカナダの搭乗手続きカウンター前には、例によって英仏語オンリーの搭乗登録マシンが待ち受ける。2度目の今回は、娘の語学力で何とかクリア。空港内のフードコートで朝食を済ませ搭乗を待つ。
■8時15分、バンクーバー行きのAC205便に搭乗。窓側の席を確保できたことが上空からのロッキーを満喫する幸運をもたらした。
 離陸してすぐにカルガリーの街並のかなたに広がるロッキー山脈の遠望が目に入る。バンクーバーに向けて山脈の上空を横断するAC205便の窓越しに刻々とロッキーの山並みが迫ってくる。朝日を浴びたロッキーは光と影を際立たせ、その特有の鋭い岩肌を浮かび上がらせている。真新しい冠雪の白さがまぶしい。デジカメのシャッターを何度も押し続けずにはおれない光景が目前にある。
■ロッキーを超えてしばらくすると、海と川に囲まれたカナダ第3の大都市バンクーバーの風光明媚な景色が見えてくる。9時55分、バンクーバー国際空港に到着。離陸後1時間10分のフライトだが、1時間の時差があり、現地時間は8時55分だ。
スタンレー公園の感動スポット
■空港からタクシーでバンクーバーのダウンタウンのど真中にあるホテルに向い、約20分で到着。早すぎる到着でチェックインができず、スーツケースを預けて早速市内観光に出かけることにした。
 9時30分、ホテルを出発。予約したホテル「コンフォート・イン・ダウンタウン」は、ダウンタウンの目抜き通りであるグランビル通りとネルソン通りの交差点にある。グランビル通りを北東に1kmほど歩き、ベイ百貨店のサービスカウンターで、市内の公共交通機関のデイパス(1日フリー乗車券)を購入した。一人8ドルでスカイトレイン、シーバス、市バスが1日乗り放題になる。海外での市内観光にはフリー乗車券が欠かせない。乗り降りの清算や乗り継ぎ時の会話の煩わしさから開放されるメリットは大きい。
■ベイ百貨店前の市バス停留所から最初に向ったのはスタンレー公園である。バスから下車した私たちの前に芝生と木立に包まれた広大な公園が広がっていた。すぐ傍の芝生でアヒルの群が悠然と徘徊している。
 公園内を進むと湖があらわれた。対岸のヨットの繋留地の奥に、白壁に覆われたゴチック調の美しい建物が、水上に浮かぶようにして佇んでいる。背後を緑の森と真っ青な空に囲まれ、等身大の姿を水面に写した光景は、そのさりげない登場の仕方と相俟って息を呑むほど美しかった。
■ガイドブックにあるアンティーク街に行って見たいという娘の希望で、再び市バスに乗車し、ウェスト・バンクーバーに向った。郊外に広がるウェスト・バンクーバーの街並みは、ダウンタウンにはない静けさと落ち着きを漂わせていた。お目当てのアンティークショップは見つからず、メインストリート沿いのカフェでカナダサイズの大きなソフトクリームを味わってこの街を後にした。
 次の目的地であるカピラノつり橋へは、市バスでは乗換えを挟んでかなり回り道のようだ。タクシーに乗車する。ドライバーは中年の黒人のおじさんだった。助手席の娘との会話が弾んでいる。娘の語学力もまんざらではないかなと内心の呟き。
郊外観光のスポット「カピラノつり橋」
■カピラノつり橋の入場料は一人27ドルと驚くほど高い。「私ひとりやったら絶対入らへんワ」とは娘の弁。入口を入ると展示コーナーや民芸品店、飲食店等のログハウスの建物が建ち並んでいる。真中にあるトーテムポールで囲まれたコーナーが観光客用の撮影スポットのようだ。そのすぐ横をメインのつり橋が架かっている。カピラノ渓谷を跨ぐ高さ70m長さ137mのカピラノつり橋だ。先行者たちの歩みがつり橋を絶え間なく揺らしている。観光客たちが左右の手すりに掴まり嬌声をあげながら行き交っている。
 対岸は針葉樹林の巨木が生い茂る森林公園だ。園内の遊歩道を順路に従って森林浴をしながら散策する。ふと見上げると空中の橋を歩く観光客の姿が見える。巨木と巨木の間を木の橋で繋いだ空中回廊(TreetopsAdventure)がある。
■ダウンタウンへはシーバス経由で戻ることにする。13時10分、つり橋前から市バスでロンズデール・キー・ターミナルに向う。ターミナルに隣接してロンズデール・キー・パブリック・マーケットがあった。生鮮食料品をはじめブティックやギフトショップがマーケットを構成する。更に洋食、和食、中華、エスニックのファーストフード店が軒を並べている。ここで昼食をとることにする。スパイシービーフ(焼飯に焼肉を載せた和食)、ベジタリアン・ディッシュ(野菜具沢山のスープヌードル・ベトナム料理)をオーダーした。いずれも5−6ドルとリーズナブルプライスでまずまずのお味。
 14時、マーケット隣のシーバス(連絡船?)乗場から乗船。対岸のダウンタウンのビル群が刻々と迫ってくる。
バンクーバー・・・大陸横断鉄道終着駅 
■約10分の乗船後、シーバスは対岸の船着場に着いた。船着場はVIA鉄道のバンクーバー駅と同じビル内にある。バンクーバー駅はVIA鉄道の大陸横断鉄道の終着駅である。船着場から鉄道駅を抜けて、蒸気時計を目指して線路沿いに東方向に向った。線路を遮断する金網越しにVIA鉄道の列車が見えた。カナダ大陸横断鉄道の開通がバンクーバー発展の原動力の一つだったことは疑いない。そのシンボルを印象深く見つめた。
■「蒸気時計」は駅から歩いて2、3分の繁華街の歩道上にあった。絶えず蒸気を噴出しながら15分置きに汽笛がなる仕掛けの時計だった。更に数分東へ進むと交差点の歩道上に「ギャシー・ジャックの銅像」があった。
■二つのモニュメントを確認し、再び駅方向に戻った。途中に大きな土産物店があり、買い忘れのお土産物を調達。荷物も増えたこともあり、一旦ホテルに戻ることにする。しばらく歩くと娘の取引銀行でもあるカナダトラスト銀行のビルが見えた。手持ちの通貨が少なくなっていたので早速娘は両替を済ませた。
 銀行の近くに「フェアモント・ホテル・バンクーバー」があった。1階にテナント出店しているルイビトン・ショップを妻は目ざとく見つける。母娘の入店を阻止できるすべはなく、彼女達のショッピングタイムの間、私は店内のいす席を暖めるしかなかった。
■16時30分、ホテルに帰り着き正式にチェック・イン。今回のツアーでは4つのホテルで宿泊したが、このバンクバーのコンフォート・イン・ダウンタウンが一人1泊約5700円ともっともエコノミーだった。ダウンタウンのど真中で立地は申し分ないものの、施設はいかにも安っぽく部屋も狭かった。ツアーの最後の宿としては相応しくなかったかなとチョッピリ後悔の念がよぎる。
豊かな気分に満たされた黄昏のひととき
■17時45分、夕食をかねて散策にでかける。ホテルを南に1kmほど歩き、アクアバスに乗船した。フォールズ・クリーク(入江)を対岸まで数分で運航する定員10人程の小型連絡船である。対岸のスタンプス・ランディングから入江に沿った遊歩道を歩く。しばらく歩くと遊歩道はチャールソン・パークに合流する。公園の緑と海の青さと対岸の高層ビルの白さが夕陽に照らされ鮮やかなコントラストを画いている。豊かで穏やかな気分に満たされた黄昏のひとときだった。
■公園を南に抜けたところにあるはずのレストランがなかなか見つからない。ブロードウェイ・アベニューとウィロー・ストリートの交差店傍にようやく見つけた。マレーシア料理の店「バナナ・リーフ」である。幸いピークには少し早かったのかすぐにテーブルに案内された。娘のインドネシアツアーでの体験からのお勧め料理「ナシゴレン(やきめし)」、「ミーゴレン(やきそば)」「ベジタブルカレー」をオーダーした。もちろんビール付きである。人気の店らしく見る間に入口の待合席に人が溢れてきた。テーブルに並べられた料理は独特の香辛料で味付けされた満足できるものだったが、思った以上にボリュームがあり、食べ切れなかった一部が皿に残された。4ヶ月余りといえカナダ在住者の娘は、勘定の際にためらうことなく持ち帰りを依頼している。カナダではごく当たり前の注文らしく従業員も快く応じている。
■19時30分、夕食を終え、グランビル通りまでの約1kmほどをそぞろ歩き。通りに出たところでトロリーバスに乗車しホテルに向う。
 22時、就寝。本日の万歩計カウントは30,095を記録。

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