9月4日(日)  カルガリー発バンフ行きシャトルバス
■ホテルのB&Bの朝食を済ませ、6時25分にホテル前に出るとすぐに予約していたタクシーがやってきた。トロント・ピアソン空港へは通常30分の道のりのようだが、早朝のためか20分で到着。
 搭乗手続きをしようとカウンターに行くと、係員からカウンター前の機械での登録を求められる。ディスプレイの表示は全てカナダの公用語である英語かフランス語である。これには娘も途中でギブアップ。サービス係を呼んでサポートしてもらい何とか完了。ITを駆使した航空会社の合理化の波は、会社業務をも顧客にまで分担させている。もっともカウンターでの手続きはバゲージを預けるだけになりかなり短縮される形で顧客に還元されている。
■8時発のエアカナダは12時15分にカルガリー空港に到着。2時間の時差があり現地時間は10時15分である。ここからはバンフまでバスの旅となる。バンフ行のバスはエアーポーター、ブリュースター、スカイシャトルの3社がある。隣接する各社のカウンターで時刻表を確かめる。最も早いバスは12時発のスカイシャトルだった。一人51ドルのチケットを購入する。なぜか宿泊のホテルまで聞かれる。後で分ったが、シャトルバスはホテル玄関まで運んでくれるのだ。重いスーツケースを抱えた旅行者にはありがたいサービスだ。出発までの時間を3階のフードコートで昼食を採りながら時間を潰す。中華コンボ、サブウェーのサンドイッチ、タコス、オニオンリングとあちこちの店でバラエティー豊かに品揃えする。さらに母娘は、2階に出店しているカナダ最大のドーナッツチェン「TimHortonsティムホートンズ」でドーナツまで調達している。
■出発時間に少し遅れて、大柄の20代後半の女性ドライバーが我々の待つカウンター前に登場した。定員13人のマイクロバスに案内される。同乗者は9名だった。逞しく元気いっぱいのドライバーは、重いスーツケースを苦もなく車のバックヤードに納めてくれる。カルガリー空港を出発したシャトルバスは左右に広がる大平原をひた走る。途中、キャンモアで老夫婦を下ろし、バンフに向う。この辺りになるとロッキーの山並みが次々と展開されていく。空港を出てから約1時間40分でバンフ到着。私たちのホテルはバンフの街の入口に位置していた。
■ホテルでチェックインを済ませ、部屋から、明日のカナディアン・ロッキー現地ツアーの深田さんに無事ホテルに着いた旨の連絡を入れる。
ついでにディナーのお勧めの店情報も入手。
サルファー山頂 「九月の冬」
■14時20分、サルファー山観光に出発。バンフのすぐ南にそびえる標高2285mの山だ。フロントで呼んでもらったタクシーを待つためホテル玄関前に出た途端、思いがけない肌寒さに身をちじませる。九月初めとはいえ、ここは海抜1400mのロッキー山脈の中の街だった。慌てて部屋に戻り、セーター、ジャンパーを着込んでくる。
 タクシーに乗り数分でサルファー山ゴンドラ駅に到着。一人22.5ドルの往復乗車券を購入し、プラットフォームを次々に回転するゴンドラに乗車。約8分で山頂駅につく。ゴンドラを降りた世界は既に冬の季節に入っている。
■山頂駅と向かいのサンソン・ピークの間を木の床板をめぐらした遊歩道がつないでいる。10数分かけて気象観測所の建つサンソン・ピークまで歩く。途中からみぞれが舞いだし、信じがたい「九月の冬」を体験する。山頂は、ロッキーの山並みはもちろん、バンフの街並みも一望に見渡せるも360度の大展望だ。明日、宿泊予定のフェアモント・バンフ・スプリングス・ホテルの雄姿の全貌が眼下に映る。みぞれが止んで日差しが戻ってきた。するといつの間にか目前に巨大な虹が浮かんでいた。山頂から眺める虹は、同じ目線の先で大きな翼を広げていた。初めて目にする感動体験だった。
 目の前を、物怖じしないリスが走り回っていた。傍らで見知らぬ野鳥がさえずっていた。私たちは、まぎれもなくカナダの大自然の入口に立っていた。
巨泉の店「OKストア」
■再びゴンドラに乗車し下山する。ゴンドラ駅前からシャトルバスでバンフの中心街まで戻った。バンフは目抜き通りを30分も歩けば通り抜けられる小さな町である。ダウンタウンの北西部にはVIA鉄道の民家のような佇まいの駅がある。
 目抜き通りのバンフ通りは土産物店や民芸品店、ブティック、ショッピングセンター、レストランが軒を並べている。中でも中心はほぼ真ん中に位置するショッピングセンターのカスケード・プラザだ。アパレル、ギフト、生活雑貨、ドラッグストア、フードコート、銀行、両替所等、ほぼフルラインの店が揃っている。手持ちの現金が少なくなり両替したところ手数料込み1カナダドル98.4円と比較的高いレートだった。
■バンフ通りの一角にカナダに3店舗あるという大橋巨泉の土産物店「OKストア」がある。日本人観光客で店内は賑わっている。日本語で買物ができる安心感は何ものにも代えがたいようだ。少し早すぎる気もしたが、我が家も結局お土産第1弾をここで調達した。ショッピングゾーンに入った途端元気を取り戻すのが母娘のいつもの習性である。引き続いてショッピング街を徘徊するという母娘と別れて、一足先にホテルに向った。
これぞアルバータ牛ステーキ
■バンフの街の北側入口に位置するホテルは思いのほか遠かった。20分ばかり歩いて「バンフ・ボエジャー・イン」に辿り着く。ベッドに横になると一気に眠気が襲う。18時頃、ふと目覚めると、各自のベッドで母娘も爆睡中。そっと抜け出しホテル周辺を散策する。バンフ到着直後に連絡を取った現地ガイドの深田さんから紹介されたディナー先は、偶然にもホテル隣のステーキ専門店「バンパーズ」だった。
■19時20分、仮眠をとって元気を取り戻した一行は、「バンパーズ・ザ・ステーキ・ハウス」に向う。山小屋風の概観のアルバータ牛のステーキ専門店の2フロアの店内は、思った以上に広かったが、顧客の人気は広さを上回っていた。満席のため30分後の予約となる。再び訪れた店内待合席で更に20分待たされようやくテーブルに案内される。
 お勧めのステーキのサイズ選択が問題になる。結局、欧米人並みの胃袋を持ち合わせない娘とその両親は、レディスカットとシニアカット2つを選択した。温野菜のサラダバーで新鮮野菜をタップリ補給する。ほどなくステーキが運ばれ、ウェイトレスが各自のテーブルにセットする。個人的には大きい方のレディスカットは私が注文したつもりだったが、ウェイトレスは文字通り娘の前にセットし、シニアカットは両親にセットした。
 熟成されたステーキは、ハムのように柔らかくジューシーで独特の味わいだった。ちなみにお値段はサラダバー、ポテト付きステーキ、コーヒー、アイスクリームのセットでレディスカット26ドル、シニアカット18ドルとコストパフォーマンスの高いものだった。尚、画像のステーキの約1/3は、私の胃袋の中にある。空腹と食欲のあまりデジカメのシャッターチャンスを大幅に逃してしまった結果である。
■21時30分にはホテルの部屋に戻り、22時半にはいつもより早目の眠りに着いた。本日の万歩計は17,800歩をカウントしていた。

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