9月3日(土)  マーケットで朝食を
■昨夜の遅い就寝にもかかわらず相変わらず6時にはキッチリ目覚めてしまう。カナダ観光の初日である。時差ボケさえも飲み込んでしまう早起き年齢を、この際良としよう。。勢あがる一行は7時にはホテルを出て朝食も兼ねてセントローレンス・マーケットの見学に向う。トロント在住4ヶ月の娘のお勧めコースだ。地図ではホテル前の通りをまっすぐ南に1.5kmほど下った所にある。途中、シアーズのカナダ本社と思しき建物を右に見ながら徒歩15分ほどでトロント最古の生鮮食品市場に到着。
 土曜日の早朝、マーケットは地元の市民達で既に大変な賑わいである。地下1階のファーストフード店の並ぶ一角で朝食をとることにした。クロワッサン系の軽めの朝食を希望する母娘と別行動して、エッグ&ベーコン・マフィン、ソーセージ&フライドポテト、コーヒーを自力で調達した。締めて6カナダドル(以下、ドルで表示)、約600円とボリュ−ムの割りにリーズナブル。主婦グループや老夫婦や子供づれのファミリー等がおもいおもいに朝食を楽しみながら団欒している。約1名のトロント住民と一緒に私たちもその仲間入りをした。
 マーケットを後にして地下鉄で二駅先のナイアガラ現地ツアーの出発地に向う。地下鉄乗車前に改札口でトロント市内のDAY・PASS(1日フリー乗車券)を購入する。市バス、ストリートカー、地下鉄の全ての路線が乗り放題で土日は大人二人分が8ドル(平日は大人一人8ドル)という格安チケットだ。チケット表面の月日カレンダーの該当の月と日をこすって表示させるスクラッチ方式である。乗車駅の地下鉄king駅の広くて明るく清潔な構内に驚かされる。
激安!ナイアガラツアー
■9時20分、ナイアガラ・カジノツアーのバスに乗車。娘が予約してくれた中国系旅行社が運営するこの現地ツアーは、実は最も格安のトロントからのナイアガラ往復バスツアーなのだそうだ。現地の日本語情報誌でも紹介されているという留学生仲間の共有情報とのこと。
 トロント、ナイアガラ間の往復バス料金は、通常55ドル程度だがこのツアーは25ドルである。それだけでも半額以下の料金だがこれが最終的に5ドルになるというのだから驚きである。以下はそのカラクリの顛末である。
 トロントのダウンタウンを9時30分に出発。同乗者のほとんどが中国や韓国の観光客のようだ。途中、中華街ともう一ヶ所に立ち寄り、11時30分頃ナイアガラに到着。到着地は、大型CASINO、商業施設、ホテルが入居するビルの玄関前である。車内で添乗員から渡された書類に必要事項を記入し、引換えチケットらしきものを渡されている。これが20ドル相当のクーポンのようだ。添乗員に案内されたカジノ内のカウンターでチケットを渡して入会登録をする。入会カードを受け取り、フロア奥の清算カウンターに並ぶ。カードを提示しチケットを渡す。係員に「チップかキャッシュか」を問われ、すかさずキャッシュと答えると20ドルの紙幣が渡され、無事一連のできレースが終了する。後は15時45分の帰りのバスの出発時間までのナイアガラ観光をご自由にどうぞという訳である。そして我が家にはもはや出番のない「個人ネーム入りカジノ会員カード」が残されている。
■いよいよナイアガラツアー本番である。限られた時間で見所やアトラクションを効率よく廻らなければならない。「霧の早乙女号」は、私と娘は既に体験済みなのでパス。「風の洞窟ツアー」「フライト・オブ・エンジェルス(気球)」はアメリカ滝側なので時間的に無理。「スパニッシュ・エアロ・カー」がアトラクションとしては可能な選択のようだ。只、カジノ前のフォールズ周辺からはかなり距離がある。ガイドブックではピープル・ムーバー(バス)が、20分おきにナイアガラ川沿いに運行されているとのこと。早速、一人7.5ドルで胸に貼るフリーパスチケットを購入しピープル・ムーバーで2kmほど上流のスパニッシュ・エアロ・カー(観光ゴンドラ)に向う。
■ゴンドラ乗場で一人10.7ドルチケットを購入したところ45分待ちの乗船を知らされる。土曜日の昼前のこの時刻、世界の名瀑に押し寄せる観光客は引きもきらない。やむをえず乗場横のスナックで軽食を調達し、屋外休憩所でのランチで時間を潰す。ようやくゴンドラに乗船。ナイアガラ川を横断する全長1kmのケーブルに吊るされたゴンドラで約10分をかけて往復するアトラクションだ。チケット販売、乗下船の誘導、ゴンドラ内でのガイド等を高校生のアルバイト風の男女の若者たちが運営している。乗船待ちの列に早目に並んだおかげで滝側の好位置を確保。水面から約76mの高さのゴンドラから、滝に向って渦巻くナイアガラ川の景観が展望できる。復路に入るとガイドから場所移動が指示され反対側を眺めることになる。なるほど。
■再びピープル・ムーバーで滝に戻る。ジャーニー・ビハインド・ザ・フォールズ(滝の裏側見物)でチケットを求めようとすると2時間待ちとのこと。帰りのバスの集合時間に到底間に合わない。断念してすぐ横のテーブル・ロック(展望テラス)で瀑布を間近に眺める。僅か数メートルの眼下にもうもうたる水煙をあげて落下する莫大な水量の迫力に、しばし言葉を失って息を呑むばかりだ。
■気がつけば時刻は集合時間まで僅か1時間の14時45分。できればスカイロン・タワーの高見から滝の全貌を眺めてみたいが、待ち時間によってはそれも覚束ない。7.5ドルのチケットを購入しエレベーターをさがす。幸い3台のエレベーターの内、滝側でない1台が空いていた。地上160mの高さから眺めるナイアガラ・フォールズの全貌は必見の絶景だ。瀑布に揉まれるように漂う「霧の早乙女号」、アメリカ側の上空に浮かぶ気球、滝をも凌ぐ高さまで舞い上がる水煙、オンタリオ湖の遠望・・・360度のパノラマが時を忘れさせる。
 15時50分にナイアガラを出発したバスは、17時40分、無事トロントの地下鉄カレッジ駅前に到着した。
エスニックタウン体験 中華街で夕食 
■夕方の一刻がトロント市内観光に残された僅かな時間だ。何をおいてもトロントのランドマークともいうべきCNタワーは体験しておきたい。地下鉄カレッジ駅から4駅のユニオン駅で下車。徒歩5分位でタワーに着く。隣にはアメリカ・メジャーリーグのトロント・ブルージェイズの本拠地であるスカイドームがある。娘も一度ここでメジャーリーグを見物し、かのイチローのプレイも見たという。
 ところがCNタワーはここでも見学者が殺到し、待ち時間1時間とのことで結局、見学は断念。土日の人気スポットは、事前によほど計画的にスケジュールを組まなければ見学は覚束ないことを痛感させられた。
■さらばということで、私の希望でエスニックタウン体験に向うことにした。トロリーバスでチャイナタウンで下車し、チャイナタウンからケンジントン・マーケットを散策する。ガイドブックでは「もともとユダヤ系の街だったところにポルトガル系や西インド諸島系の移民が入りエスニックな町になった」とある。特にそうした雰囲気は感じられない。歩き疲れだけが身に沁みてきて夕食をとることにした。
■娘が一度食べて美味しかったということで、チャイナタウンの中心にある中華料理店「金葉庭」のドアをくぐる。幸いピーク時間前だったこともあり、ここではすぐにテーブルに案内される。定番コースを注文し、朝からの軽食続きの中ようやく本格料理で一息つく。夕食後、近くの娘もよく利用するという中国系食品店を見たり、リカーショップでお土産用のアイスワインを調達した。
 ストリートカーでホテルに着いたのは21時10分。明日は8時発の飛行機だ。フロントでチェックアウトを済ませ、翌朝6時30分のタクシー予約を依頼する。ちなみに宿泊費は一人一泊約60カナダドル(約6千円)だった。

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