明日香亮のつぶやき日記 1999年6月
6月24日(木) 通勤電車バカヤロー物語
メッチャ忙しかった6月も日記ネタに恵まれないまま終わりに近づいている。このまま今月の『つぶやき日記』を終わらせるにはなんとも情けない。ナントカセネバ・・・の通勤車中。アッタアッタ。通勤途上で遭遇したバカバカしい話のアレコレ。題して『通勤電車バカヤロー物語』。
【第1話】二人のオヤジのLOVE・LOVEチャンス
某月某日、バスの遅れでいつものJRの座れる筈の鈍行電車に乗り遅れる。次の快速電車のシートは予想通り満席。仕方なく吊革に捉まり、ついつい座席の乗客たちの様子を窺う。心の呟き『この人たち、次の駅で降りるのかナ〜』。永年のサラリーマン生活の哀しいさがか?
眼下の座席には60代の商売人風のオヤジと50代のサラリーマン風のオヤジが二人、眠りこけている。相当深い眠りのようだ。ナント、相互に支え合った二人の頭はピッタシくっついている。顔の角度さえ変えればキスだってできそう。オヤジ同志の白昼のLOVE・LOVEシーンは不気味そのもの。本人たちは無邪気に半ば口を開け、かすかにいびきすらかいている。電車が駅に発着するたびに相当なユサブリがある。そのたびに私は心の中で祈っていた。二人が(せめて片方が)目覚めて、我が身を取り巻くオドロオドロシイ光景に愕然とすることを・・・。しかし彼らの絆は予想を超えて強固なものだった。ついに期待した光景は目に出来ないまま(おまけに結局彼らが先に下車して私が座るという幸運にもありつけないまま)空しく下車駅に到着。
「バカヤロー!通勤電車で眠りこける時は周囲の迷惑も考えろッ!(コリャ言いがかり?)」
【第2話】地下鉄車掌の窓から『ゴメン
某月某日、地下鉄の駅ホームに通じる階段途中で耳にする発車ベルの音(アノ間延びした発車ベルの音は、イラチの大阪の乗客たちの気分を少しでもなだめ、駆け込み乗車を阻止するための陰謀に違いない)。陰謀に気づいている私は、脱兎のごとく階段を駆け降り、その間、定期を手に持ち替え自動改札と称する関所を突破し、年甲斐もなく駆け込み乗車を試みる。(念のためコメントしておくが、決して急いでいた訳ではない、永年のサラリーマン生活の本能なのだ)
結果は寸前でアウトッ!罰の悪さは覆うべくもない。改札口は電車の最後尾に位置していた。ゆっくり通過する列車の最後尾の窓から半身を乗り出した車掌と遭遇。寸前のタッチアウトを果敢に演出した若い車掌と目が合った。ここは気合の勝負。罰の悪さを車掌のせいにしたオヤジは職務規律に忠実な車掌を不当にも睨みつける。経験不足の若いビジネスマンは思わず頭を下げる。
「バカヤロー!もっと自分の仕事に自信を持てッ!(これまた言いがかり)」
【第3話】早朝の地下鉄車内をスーパーモデル風が闊歩・・・!?
50を超えたオヤジの朝は早い。某月某日朝7時過ぎの御堂筋線の地下鉄車内。この時間帯ならゆっくり座れるというメリットも。目を閉じて束の間の安息を楽しもうとしたその時。若い女性を連想させるハイヒールのカン高い音が安息を突き破って近づいてくる。思わず見つめる視線の先に江角マキコもかくやと思わせる長身のスーパーモデル風が闊歩してくる。しかも超ミニ。朝からラッキーと待ち受ける。近づくにつれ幸運は落胆に、落胆はおぞましさに、とめまぐるしく変遷する。
颯爽と通過するお嬢さん。頬から顎にかけての髭の剃り跡が生々しい。スーパーモデル風の正体はオカマだったのだ。おまけに超ミニには流行のスリットが深々と・・・。オェッ。朝からエライものを見てしまった。カノジョの通過に合わせて居合わせた乗客たちが息を呑み、空気が固まる。そしてカノジョは自信たっぷりの靴音を残しながら次の車両に消えた。
「バカヤロー!束の間の安息を返せッ!」
6月3日(木) 寄り道「おばあちゃんの原宿(巣鴨とげぬき地蔵)」
2年ぶりの東京出張だった。合弁事業のパートナーであるJ社と当社の関東統括部の訪問だった。出張目的を終えて東京駅に向かった。関東統括部のある都営三田線「志村坂上」から巣鴨でJR山手線に乗り継ぎ途中。駅構内の案内板に「巣鴨とげぬき地蔵」の文字が目に入る。「そうかッ!ここがアノ『おばあちゃんの原宿』の巣鴨か!」 ・・・ という訳で寄り道。
地下鉄の最寄出口を上がると、「巣鴨地蔵通り商店街(おばあちゃんの原宿通り)」の看板が見える。通りの両サイドはお年寄りグッズ専門街。3軒に1軒位でオバアチャンファッション専門店。お年寄り好みのおはぎ、お饅頭、佃煮の類の店等々。元々こんな店揃えではなかった筈。客層の中心がオバアチャンにシフトするにつれ顧客ニーズが店の淘汰を促した?「肩揉み・1分100円」の露店ニッチビジネスが目を引く。オバアチャンの原宿通りは体力に配慮して?ものの5分も歩くとゴールとなる。
通りの真ん中辺りに境内に「とげぬき地蔵」を配した高岩寺がある。山門をくぐり左手にロープに沿ってオバアチャン軍団。列の先頭ではお地蔵さんを囲んで痛み治癒祈願のお参り。列に加わるほどの歳でもないか。ここは本堂での参拝をサラリと済ませ再び通りに。ナント山門の目の前に若者バージョンの「マツモトキヨシ」が待ち受けている。待てよ!オバアチャンから見れば「マツキヨ」でも「ドラッグストア」でもない只の「薬と雑貨の店」なのかもしれない。薬屋ならオバアチャンにきってもきれないお店。ヤッパリお年寄りグッズの店なのか。
JR巣鴨に向かって土産物捜しのブラブラ歩き。食品屋さんの店先には「思いっきりテレビで紹介の寒天コンブ」。TV紹介の健康食品に目のない奥様の顔が浮かぶ。「1袋チョウダイッ!」。お次は「元祖・芋羊羹」の店。昨日の夜の娘からのケイタイへのメッセージ。「お土産は『東京バナナ』買うてきてッ!なかったら、とりあえず芋羊羹だけは買うてきてッ」(ハイハイ)「芋羊羹、10コ入りをひとつ」。そして東京駅構内。あったあった。題して『見つけた、東京バナナ』。「8コ入りをひと箱ッ!」。
2年ぶりの東京出張はなぜか家族に優しくなる。
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