海外図書紹介 『水は飲まぬこと』
書籍名:Don't Drink the Water
著者名:Woody Allen
ISBN :0-573-60817-2
出版社:Samuel French, Inc.
価 格:カナダドルで $7.50
出版年:?(ウディの執筆は66年)
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<内容>
『カジノ・ロワイヤル』の撮影でヨーロッパに呼び出されたウディが自分の出番が来るのを待つ間に書き上げた処女戯曲。66年にウディが31才の時に書かれ、同年11月ブロードウェーのモロスコ劇場で上演された。(後にウディは『ラジオデイズ』で登場人物にその劇場の名前を語らせている。)物語の時代は冷戦真っ盛りのころ。ヨーロッパの某共産主義国でスパイに間違われた米国人旅行者の一家が、どじな大使館員らの力を借りて国外へ脱出しようとするコメディ。
全86ページ。Recommended.
<引用>
キルロイ「私は『星条旗よ永遠なれ』の2番を知っているのは国務省でぼくだけだよ」(7ページ)大使「大使館員諸君、・・・・先週、ディーン・ラスク国務長官がこの国を訪問した際に、(大使館が狭すぎて)彼を泊められなかったのは遺憾だ。さらには、長官が来たことに誰も気付かなかったのも、同じくらい遺憾だ」(7ページ)
<TVドラマ化>
『Don't Drink the Water』はウディ自身によってTVドラマ化され、94年12月に米ABCで放映された。残念ながら私は未見である。ウディは映画の製作と同様に脚本・監督・出演をこなしており、他にもマイケル・J・フォックスや『エディプス・コンプレックス』のジュリー・カヴナーらが出演した。撮影もウディ映画常連のカルロ・デ・パルマが行っており、ウディの「TVドラマとは意識せず、映画と同様に撮影した」との言葉からも高い完成度が期待される。ウディが米国人一家の父親、ジュリー・カヴナーが母親、マイケル・J・フォックスが間抜けな大使館員を演ずる。この戯曲は69年にも監督ハワード・モリス、出演ジャッキー・グリーソン、エステル・パーソンズで映画化されているが、ウディは脚本にたずさわったのみだった。完成した映画には不満だったようで、執筆後十数年を経て自らメガホンをとってのドラマ化となった。
日本での公開予定はなく、是非ビデオで紹介してほしい作品である。
<その他の戯曲>
これ以外のウディの戯曲は以下の通りである。
The Floating Light Bulb は Random House から、それ以外は Samuel French,Inc から出版されている。邦訳されているものは( )内に出版社と収録図書名を記入した。
- Death(CBS・ソニー出版『ぼくの副作用』又は河出文庫『羽根むしられて』に収録。邦題「死」)
- Death Knocks(CBS・ソニー出版又は河出文庫『これでおあいこ』に収録。邦題「死神のノック」)
- God(CBS・ソニー出版又は河出文庫『羽根むしられて』に収録。邦題「神」)
- Play It Again, Sam(CBS・ソニー出版『ボギー、俺も男だ』に収録)
- The Floating Light Bulb(邦訳なし。本ホームページ『漂う電球』を参照)
<入手先>
96年2月、トロントのTHEATRE BOOKSで7.5カナダドルで購入。
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96年12月1日作成