禅問答 Quiz

作成者  BON
更新日  2006/04/30

 一問一答での言葉のお遊び。意外と好評なのでどんどんいきましょう。

技術ってなんだろうと思ったときに
 技術屋さんの地位向上活動(うそ)。

【備考】


(4)技術ってなんだろうと思ったときに。

文系と理系はどこが違うのか

 文系で学ぶものは,人間の都合でコントロール可能ですが,理系で学ぶものは,得てして人知の範囲ではなんともなりません。この辺は,文系人間と理系人間の行動に差となって表れています。

それでは科学ってのはなんですか 2002/07/31

 「科学の発展が環境の悪化をもたらした」とか,「科学」を悪者にする表現が好んで使われていますが,これは責任転嫁であります。

 科学とはなにかを造り,あるいは認識するための道具に過ぎません。たとえば環境の悪化があったのであれば,科学はそれのスピードを速め,それが起こっていることを認識する手助けをしたに過ぎず,それを引き起こしたのは人間そのものであります。さらに言えば,環境の悪化を認識することも,科学の力を借りなければ認識できないはずなのであります。

「科学技術」という言葉の罪

 「科学」はあくまでも新しい知識を求めることが重要なので,役に立つか立たないかなんて考える必要はない。ところが,「技術」はどれだけ役に立ったかを評価しなければ意味がない。それを区別しないから,「科学」を評価するのに「役立つかどうか」と言い出す。それが日本の科学技術が進歩しない理由の一つです。(江崎玲於奈,日経ビジネス2000/6/26)

リサイクルはなぜうまくいかない?

 リサイクルに協力している自負はあります。エネルギーコスト上問題があることは分かってますが,空缶,ペットボトル,新聞雑誌,プラスティックトレイなど,溜め込んでまとめてリサイクルに出します。でも,一度たりとも「ありがとう」といってもらったことはありません。日本の再利用行政の問題は,ここに象徴的にあらわれているような気がしています。

シミュレーションとシュミレーション

 原語を考えるとシミュレーションが正解。ただ,日本人の語感に合うためか,いつのまにか,シュミレーションでも通るようになってしまった様子。「相殺」,ソウサイがソウサツでもよくなったなど,「嘘からでた誠」的現象は結構多い。

 ただ,「チオベンカルブ」と「ベンチオカルブ」はどちらも正解。「なおざり」と「おざなり」はそれぞれ別の意味の正しい単語なんだそうで...ややこし。

ルールを決めること 2001/05/30

 安全システムが向上し,リベンジを受け入れる社会になったにも関わらず,ルール自体が老朽化したことが,近年問題になっている,ルールが守られない=モラールが低くなっている原因ではないか。

信条 2001/05/30

 信条は曲げてはならない。ただし,変えることは時として必要である。憲法だって何だって,解釈論で云々するくらいなら,思い切って改正すりゃいいんですよ。

土木と機械と 2001/05/30

 水処理の世界では,土木の処理技術と機械による処理技術は本質的,原理的に同じようなものです。しかし,投資回収及びリスクテイクに関する時間的,道義的なスパンが根本的には違います。効率化を重視する世相から,最近の水処理技術の流れも,土木から機械へシフトしつつあります。

知らないこと 2001/11/05

 だから仮面ライダーは,デビルマンは,人知れず戦うのです。多分。やつらは,正義の味方じゃなかったら,ただの怪物です。

力ある者の努め 2005/02/17

 力のある者はその力を他人のために使いましょう。さもなくば,力無い者はみな貴方に依存してお荷物になるか,貴方の敵になります。 

 ホリエモン氏がフジテレビ買収で世間を騒がせておりますが...彼の言動には優しさがないよなぁ...

なまじっか正しいことはむしろ注意 2005/02/17

 占い師や詐欺師や扇動者は,そして偉大なるリーダーは,初めから100%ウソをばらまくわけではありません。95%の事実や有用な教訓の中に,5%の「自分」を埋め込みます。なまじっか95%が正しいために5%に気づかないのが普通です。

 だから,いい言葉,有用な教訓ほど,無自覚に取り込むのは危険。初めから変なことを言ってればむしろ安全なんですが。

 ましてや,その警句を発した人間そのものを,その言葉がすばらしいからと言う理由で無自覚に受け入れることは,決してやってはいけません。

天網恢恢疎にして漏らさず。人法怪怪密にして捉えず。 2002/03/11

 法律やルールはできた瞬間から抜け道を探ろうとする者との戦いになります。どんな制度でも長い時間のうちには,必ずといって良いほど抜け道ができてしまうのは,なにも日本だけの話ではありません。エンロン事件みたいにね。

  どうせ頭のいい奴やら制度で食ってる奴やらが抜け道を作ります。あんまり始めからなんでもかんでも規制するより,どんどん事例を踏まえた改訂や充実を進めるのが正解なんでしょう。エンロン事件みたいにね。

信頼するための努力 2002/03/17

 「消費者の信頼を裏切った」的なニュースがここのところ多いです。ただ,よく考えてみれば,われわれ自身,「信頼するための努力」を十分に行っていないようにも思うのです。

 欧米のような「他人文化圏」では,「信頼するための努力」を行うのがあたりまえで,たとえば契約書はどはびっくりするような量があり,様々なシチュエーションを想定したシミュレーションを行っています。表示やラベルなどは「契約」に相当するわけですから,契約が適正かどうか,政府のみならず,NGOや第三者機関のチェック,さらに消費者自身が勉強をする,といったことが当たり前に行われていて,それを可能にするための必要コストと考えるわけですね。

 「日本人は水と安全はただだと思っている」とは以前よく言われた言葉ですが,基本的にはこれと同じです。少なくとも,われわれエンジニアは,信頼を勝ち取る努力と信頼する努力について考えておかなければならないでしょうねぇ...めんどくさいですけど。

望遠鏡と顕微鏡 2002/03/20

 一見逆の役割を持ってるように見えますが,原理的には全く同じモノです。

成功体験と失敗談 2002/05/03

 逆だったらいいのに...

土建屋さんよプライドをもて 2002/05/26

 土木作業員は80%が土木業に再就職するそうで。ニュースステーションの某コメンテイター(私はこいつ大嫌い)は,「土建屋がIT産業を担う人材になんてなれっこない」例として引用してましたけど,そうじゃないですよね。土木作業員の技能は,現場に至るまで結構専門的であって,外部の人間では簡単に参入できず,だから結局経験者が優遇されるんです。IT産業界の連中に土木作業員ができるかといえば,同じようにできんのです(体力はないし,時間は逆転してるし,薄給に耐えられないし)。

生まれる前からあったもの 2003/04/20

いたづらは大惨禍の始まり 2003/05/02

 ハインリッヒの法則は,事故や危険の発生分布における法則ですが,品質管理上での偶発的に発生する事象だけを扱っているわけではないようです。

 いたずらと言う名の犯罪,万引きと言う名の窃盗,合法の枠内のドラッグなど,すべて重篤な社会問題を招く,300の部分に相当します。「うそつきは泥棒の始まり」は,まさに金言です。

選択可能であることの重要性 2003/06/03

 公的サービスの提供者がなぜこんなにいじめられるのかを議論していて出た結論。それは,「選択できないサービスは満足されない」ということでした。

 つまり,選択不可能なシステムでやっている限り,どんなにすばらしいシステムを提供しても,それは「不満も満足もない状態」を作りだすことしかできないのではないか。そして些細なことでも,うまくいかなかった経験と記憶だけが蓄積する...だから,どこの国でも公的セクターに対しては悪口を言う人ばかりなのか...なんともつらいですね。

シビルミニマム 2003/06/18

 土木サービスの分野ではシビルミニマムという言葉がありますが,どうもこれが気に入りません。行政的発想に立って「どの程度が落としどころなのか」を探るという意味でシビルミニマムという概念があるのですが,行政的論理,供給側の論理による発想に過ぎないのではないかという気がするのです。

 シビルミニマムという発想は,サービスを供給する側が如何にに必要な投資を小さくするか(通常は効果的という言葉を使うが,目的は圧縮である),という一点を目的として成立する概念に思えます。しかし,サービスを受ける住民は,サービスレベルは高ければ高いほどよく,そして100%であってもそれは満足ではなく,「特に不満のない」状態に落ち着くに過ぎないのであります。

 つまり,「住民説明等でシビルミニマム」を意識した説明をしていたのでは,多分「ダメ」なんでしょうね。

社会の形は技術が決める 2003/11/16

 技術が社会の形を決める部分は意外に大きい。いくつか例を挙げる。

景気は悪化しないと回復しない 2003/11/16

 景気が悪くなって,弱いところが排除されないと,景気は回復しない。(既に総枠の増加する右肩あがりの時代ではない)

革新 2004/06/29

 「顧客が使うかどうかわからない技術より,求められるサービスを開発することこそ革新」(マイケル・デル)研究論文で既往文献を調べ,調査業務では顧客の声を聞く。何が求められているかを掴むことは大変ですが大切だということでしょうね。なんたってデル会長の言葉ですから重みが違います。

制度の変更はかならず不満をもたらす 2004/10/10

 このほど郵パックの料金体系が値上げの方向でかわりました。いろいろとサービスが拡大したり,大口割引が出来たりしたそうなんですが,私が使うような軽くてかさばる物を送るケースでは,単なる値上げです。(たとえば,大阪まで,以前は710円だったのが1100円になりました)。

 独占的サービスの枠組みを変えるとき,平均を同じにすると得する人と損する人が出ます。でも,得する人は得てしてそれをあまり覚えていません。対して,損する人の不満足感は相当なものです。これは全体としては巨大な不満になりえます。

 これから類推されること...1=変更は必ず不満をもたらす。2=不満な意見が多いか少ないかで,その変更が正しいかどうかを判断するのは不適切である。3=不満な意見が多いか少ないかは,しかし,社会的な影響が大きいかどうかに直結している。

 ...いまいちオチがないですが,不満な意見が多いから不適切といえるとは限らないということですね。満足な人がなにも言わないだけといったケースをちゃんととらえないと正確は判断はできません。

後悔最小化原理 2005/01/14

 地震とか津波とか大きな災害が発生するたびに,人はなぜ予防策をとっておかなかったのかと後悔するわけですが...実は,人間は,大きな被害が発生しないと抜本対策というものはとれないのです。

 まったく類例がないことに対する後悔最小化の方法。それは,一つ目の惨禍を受け入れ,二つ目以降の惨禍については,一つ目の惨禍よりも小さい規模のものについて完全に防除することです。

 地震対策の基準は,はじめ関東大震災を基準に作られ,新潟地震で液状化が加わり,阪神大震災で動的解析が取り入れられました。このように,被害が発生してはじめて,おおきな革新が起き,これ以降の同じレベルの惨禍が発生しないような手が打てるわけです。

大自然は癒してくれない 2005/02/17 (高橋 秀実)

 これはなかなか鋭い。雪は降りしきって交通を遮断し,緑はどこにではえてくる,空は,虫は...自然は決して母のような慈愛に満ちた存在ではないと述べている。

薬と毒と 2005/03/14

 薬も毒も「体内の内分泌に作用し狂わせる」物質である点に変わりはなく,薬で死ぬ人もいれば,毒によって健康になる人もいる。薬としての役割と毒としての役割を同時に期待されている薬=毒もあり,その尤も顕著なのはアルコールや麻痺薬であろう。本質が全く同じでありながら,一方は善,一方は悪として捉えられる事象は数多い。

文明社会の限界か 2006/03/28

 世の中がこんなに難しくなってきてるのに消費者はついていけてない。ちょっと勉強すればすぐ怪しいことがわかるような胡散臭い商品や売り文句が巷にあふれているのに,それを見分ける嗅覚をもちきれていない。わからないことは恥ずべきことなのに,わからないやつほど威張っている。なんだこれは,とおもふ。

名言 2006/05/06

 「個性の入らない技術は価値の低い乏しいものである。」(本田宗一郎,スピードに生きる)

主客転倒 2006/10/08

 「現在,高齢者一人を生産年齢人口3.5人で支えています。2050年にはこれが1.5人になります」の図。

 少子高齢化の警句としてよく見る図です。50年後の将来の世代は大変だ,と。

 でも考えてみてください。自分の生活もキュウキュウなのに,自分の親ならともかくどうして他人の親の面倒を見るでしょうか。

 だから,上の図は間違い,正確には下の図のようになるのが正しいと思います。半数程度しか支えてもらえず,残り半数はどうなるかって?それは...怖くて書けませんが,ご想像のとおりかと。

 つまり,少子高齢化で大変なのは,それを支える現役世代ではなく,支えてもらえると思っている我々の世代なのです。常識的に考えて,半数は支えてもらえなくなっても不思議ではありません。少子高齢化。それは,我々の問題なのです。


HOME> TOP>