第51回全国水道研究発表会 51st JWWA Symposium
作成者  BON
更新日  2001/05/28

 標記研究発表会の参加インプレッションです。52回発表会分を掲載したので,51回分についても記録を穿り出して作成してみました。

第51回全国水道研究発表会
 水道協会主催の由緒正しい研究会。

【参考】


第51回 全国水道研究発表会

1)2日目 経営判断指標

(1-1)日米における水道事業経営の比較に関する一考察(NJS野村氏)

 財務指標に関する研究は,今後の民営化やPFIの導入を考えるうえで,リスク管理の根拠として非常に重要になってくると思います。

(1-2)金町浄水場非常用発電PFIモデル事業(東京都水道局)

 リスク負担と問題発生時用の契約書作成に2箇月以上を要した話が印象的でした。実務例として貴重。でもまだまだ公営PFIだな,という印象。契約内容,契約者同士が対等じゃないような気がしました。

(1-3)環境会計の導入に向けて(東京都水道局)

 環境対策の金額換算は,費用対効果の算定と併せて現在最もホットな話題の一つで,これへの対応例として注目できる発表でした。

(1-5)配水幹線破裂事故への対応とその財源措置(名古屋市水道局)

 幹線事故対応に関する保険設定の事例。平成10年度の幹線破裂事故(保障額一億一千万)への対応事例は貴重な経験です。

(1-13)岡山氏水道の顧客満足度(CS)調査(岡山市水道局)

 水道に対するニーズについて,数量的手法により分析した事例。満足度×重要度を得点化したところ,水道に対する要望はちょっと意外にも「水源林の保全」であったとのこと。顧客満足調査は全ての企業活動の基本なので,営業的にも非常に参考になった。特に秀逸な発表であった。

(1-14)訪問サービスの実績と評価(札幌市水道局)

 凍結地域の給水設備破裂対策として,訪問サービスを実施した例の総括報告で,有収率が84→91%に上昇したうえ,啓蒙効果がえられたとのこと。H12以降は情報提供事業を創設していくとのこと。発表内容,技術とも秀逸。

(2-11)プロジェクトの実施効果を評価するための給水事業便益の計測法に関する検討(鳥取大学)

 計算過程での仮定が余りに非現実的なきらいはあるが,モデルを構築していこうという試みは評価できる。厳しい質問も。

(2-12,13)施設更新費用の試算と経営への影響の検討(I)(II)(大阪府水道局他)

 施設整備費,事業資産価値の算定など,今後の水道事業を占ううえで非常に大きなインパクトをもつ発表。関西8事業体の総資産3.5兆,更新総費用6.2兆...見学者は溢れ出し,会場にはお歴々がずらずら...


2)3日目 センサー・計測

(8-13)水中油分計の運用事例報告(横川電機)

 揮発,水晶震動子式の溶存油分検出装置の運用事例。ライバル会社の突込みすごし。

(8-14)蛍光測定の水質監視制御システムへの応用(東芝)

 発表はすごいものができたように見えるが,懸濁質に弱い,分子挙動の影響を受けるなど,ライバル会社の突込みにたじたじ。でも着目はおもしろく今後に期待。

(8-15)味覚センサーを用いた原水及び浄水の水質監視の可能性(アンリツ)

 甘味以外の味については,脂肪酸膜電位差型の人工センサーの精度は既に人のそれを上回る(イオン系に強い)のだそうな。データを多数とって要因分析により篩い分け,水質異常を瞬間的・直感的に洗い出すもの。これはおもしろい。乞うご期待。おもわず質問してしまった。

(8-16)鉄酸化細菌による水質モニタリング(東芝)

 ここまでの他の発表に比べると多少見劣りしますが,毒性に対する反応に選択性があることが評価できます。

(8-17)化学センサーを用いた水道原水の油臭監視装置の開発(東芝)

 揮発,水晶震動子式の溶存油分検出装置の運用事例。これもライバル会社の突込みすごし。油以外への対応や,エマルジョンへの対応が問題とか。

(8-65)奈良市における水源水質事故対策(奈良市水道局)

 水源パトロール体制や水源水質監視装置などを効果的に組み合わせ,貯水池前でこれらの影響をカットするシステム。事例として秀逸。監視装置は揮発,水晶震動子式のようです。

(8-66)魚類の忌避行動を検知する大型自動水質監視装置の開発(横浜市水道局)

 魚類忌避行動を利用する装置の研究はいろいろ見られますが,時間遅れの導入や魚へのタグとのとりつけなど,よりサイバー(機械と生体の融合のこと)な方式に進化しているようですね。今後が楽しみでかつちょっと怖いです。


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