第12回環境システム計測制御(EICA)研究発表会 12th EICA Symposium
作成者  BON
更新日  2001/05/28

 標記研究発表会の参加インプレッションです。EICAは環境分野における計測・センサー関係の発表会です。

 モニタリングやITの活用は,今後の水道界を占ううえで比較的大きな可能性を秘めている分野で,効率とリスクを考えるうえでの避けてとおれないというのが総括的な印象でした。現状ではまだまだ革新的な成果が発表されるに至ってはおりませんが,流れ自体は今後とも注目していくに値するものではないかと思われます。

第12回環境システム計測制御研究発表会
 センサー技術等の研究発表会。

【参考】


第12回環境システム計測制御研究発表会(水道関連)

1)水道システムの制御

C21-1【浄水の高度処理とプロセス制御】(富士電気,高橋氏)

 ACT21プラントの制御について,溶存オゾンのPID制御,活性炭処理のシーケンス制御について報告。

C21-2【光触媒による臭素酸イオンの分解】(明電舎,五ノ井氏)

 TiO2(酸化チタン)と紫外線により,オゾン処理を行う上で厄介な臭素酸系物質の分解特性を調査。単独の処理特性のほか,pH条件の変更(pH=5がもっとも処理特性に優れる),NO2-やNO3-の存在下での挙動(NO2-存在下で分解が促進)を発表。光触媒存在下での種々の現象のメカニズムを研究し,オゾン発生やその他の酸化プロセスの実用性について探っていくとのこと。

総合討議での話題

 オゾン制御はPIDまで必要ではないのでは比例もしくは定量注入でも,との意見。これに対しては,水質変動へ適応したいことや,夏と冬で対象物質が異なる場合(夏は臭気,冬は界面活性剤)に対応するための研究であるとのこと。

 光触媒の活用では,接触効率が問題になる。酸化チタンを粉末にして懸濁させるのが効率が高いが,実用的ではない。現時点でベンチャー企業により実用化されている方法は,酸化チタンを「そうめん」状にしてこれを通す方法とか。水中での直接酸化を制御できれば,とのこと。


C-22-1【ローカル制御における携帯端末の適用について】(明電舎 川口氏)

 現場盤の機能を有線式のノートサイズのパッドに納めた携帯端末を開発したとの報告。接続ケーブルさえなければ非常に好評だったので,今後は無線化も検討するとのこと。現場盤をなくする方向での変更には抵抗も。

C-22-2【朝霞浄水場の情報系基幹ネットワークについて】(東京都 中沢氏)

C-22-3【監視制御システム更新による配水運用の効率化】(川崎氏,東芝)

 当日配水量の予測のため,既往実績のデータベース検索と,条件別(曜日,天候など)配水需要量予測システムのアップグレードを行ったとの報告。曜日別分析では,平日>祝日の祝日の使用パターンは金曜日に,休日>祝日の祝日の使用パターンは土曜日に,祝日>平日の祝日の使用パターンは月曜日にそれぞれ類似するとの指摘が興味深い。

C-22-4【水道管網計算向けTHM生成モデルと影響因子の検討】(日立,円佛氏)

 THM生成モデルの高精度化に関する報告。


C-23-1【神戸市水道の震災復興と今後の被害予測】(神戸市,松下氏)

 配水管網の被害予測の集大成。シミュレーションによる対策効果の分析までカバーしている。震災被害の予測では古地形の調査が非常に有効との発表が興味深かった。(古地形で海岸や沼沢,溜池であった場所に被害が集中)

C-23-2【独立電源とPHSを利用した応急給水施設監視装置】(東京都,川越氏)

 応急給水装置の維持データの送信は日に1回程度と頻度が高くないため,公衆,専用,携帯,PHS回線などの簡易な送信手法を比較検討し,PHSを採用した旨の報告。発注前とのことで設備費は発表ないが,通信費用だけでもPHSや携帯パケット(i-modeの類)の安さが目を引く。付加的に,風力など独立電源の採用も。

C-23-3【設備監視システムの開発】(東京都,岡村氏)

 設備異常をモニタリングデータの統計処理により検出しようとするとりくみ。相関関係異常診断(入力と出力の相関分析による異常状態のスクリーニング),傾向診断(出力の経時変化をモニタリングすることで異常を感知)で構成。

C-23-4【カルマンフィルタを用いた管網末端圧制御】(富士電機,窪田氏)

 管網の配水圧力の安定化のための予測制御に関する報告。


A-24-1【高度情報化社会に向けた下水道暗渠の開放(小口径管への光ファイバーの布設について)】(川崎市,布施氏)

 事例報告。

A-24-2【光ファイバーネットワークを活用した高度情報化システム】(明電舎,木下氏)

 HTTP(インターネットの情報公開規約)を利用した河川情報の監視体制の構築と,今後の課題について。セキュリティなどは今後の課題とのこと。

A-24-3【マルチメディア広域管理システム】(荏原,石黒氏)


HOME> TOP>