本稿は，IWAの機関紙であるWATER21の掲載記事のうち興味深いものを要約したもので，原文の著作権等は当然IWAに所属します。訳の間違い等についての責任は負いかねます。WATER21は購読なさることをお勧めするに値すると考えております。

　Publisher ：　 Water21 magazine of the international water association (IWA). IWA Editorial Address Alliance House, 12 Caxton St, London SW1H 0QS, UK. Web: www.IWAhq.org.uk

（１）定番記事　Regulars

１）ニュース　News

Asian environment in decline

　アジアの環境は悪化している−アジア開発銀行の報告では，アジア地域の困窮は悪化の一途をたどっており，その経済発展は，政府組織の誤った対応による環境へのツケの上に成り立っているとしている。

China moves on water law update

　中国は水（基本）法の更新に向けて動きだした−英国企業が中心となった支援のもと，中国の人民委員会が1988年の水法の「極端ではないが意義深い」変更の素案を策定した。（関連記事）

Nile basin progress

　ナイル湖の改善に向けて−スイスは，ナイル湖の改善に向けて当初分で１億４千万ドルに上る寄付に関する契約を行った。

Study details US investment needs

　研究によって米国における必要投資額の詳細が明らかになった−AWWAの調査の結果，今後30年間で，２千５百億ドル−１世帯あたり６千９百ドル−の投資が必要なことが分かった。これには，現在維持管理のために投入されている費用，新しい基準への適合費用，下水道関係費用は含まれていない。

Australia updates guidelines

　オーストラリア，飲料水ガイドラインを改訂−微生物，化学物質，放射性物質などをカバーしていているが，WHOとの緊密な連携をもって特殊な藍藻類が生ずる毒性についても考慮していくとされている模様。

US engineering brand expands

　米国のエンジニアリング会社がブランドを拡大中−米国に本拠をもつAECOM社が，ヨーロッパへの進出を視野に，英国にあたらしい水会社を設立した。

Arsenic under scrutiny

　精査されるヒ素基準−米国においてヒ素基準の制定が遅れているが，これが６−７月のヒ素対策費用検討委員会で再審査されることになった。SDWA（米国安全飲料水法）では，現在の50μg/Lの基準を，2006年までにWHOと同じ10μg/Lに低減させることを求めている。

２）小記事　In Brief

ブルガリアのソフィア市の上下水道コンセッション事業が今般開催されたPublic Private Finance Awardにて世界最高のPPP事業であるとの評価を得た。

カナダのバンクーバー市で，カナダで初となるDBO契約（Lower Mainland's Water System）の入札が行われ，４つの企業体が応札の見こみ。コンペに破れた各団体にもコンペ費として十万ドルが支払われる。

デンマークでは，水道水源の帯水層のために植林を進める計画である。

欧州委員会は２つの修正化学物質監理法案を採択した。32の項目について水質基準と排出基準が提案されている。

AWWAの新たな報告によると，米国の需要者が効果的に家庭用水を使用すれば，2020年までに一人あたり127ドル，３億５千万ドルの費用節減が可能であろうとのことである。

今夏の計画停電に事業体が対応するための情報がカリフォルニア水道協会のサイトで提供されている。

米国EPAは最終的な逆洗浄規則を提示した。ろ過池の逆洗水を有効利用する場合，このことが浄水に悪影響を与えないようにし，必要であれば微生物のコントロール法を変更することとしている。

国連欧州経済委員会（UNECE）の民活（PPP）専門分科会は，インフラ整備に関する実験的事業を政府とともに行うことで合意。

３）分析　Analysis

China's change

　中国における変化−中国は12億人のマーケットである。半数以上にあたる517の中核都市で水が足りず，100については壊滅的状況である。民営水道は既に都市部人口の6％に達したが，一方で汚水処理の市場はほとんど手付かずである。まだまだ初期段階で，ほとんどは公的セクターによって運営されているが，ＢＯＴ手法などによってO&M市場に参入をねらう動きも各社によって多数行われている。

４）水道事業体　Water Utility 21

Dealing with debt

　債務の扱い方−２年前，英国の民営水道事業者は料金を支払わない契約者への給水を停止すると通告した。しかし，ＩＴ化などによる料金支払いの方法の自由度がアップしたことなどもあって収入の減少に直面し，最近では，債権者を増加させないために異なったアプローチを取りつつある。

Private persuasion

　民営化への確信−民活は世界中のインフラ整備に大きな原動力となっている。

４）研究開発　Research&Development

Sun to combat cholera in South Africa

　コレラとの戦いに太陽を利用（南アフリカ）−太陽光線による殺菌が，高度な方法にとって替わり，簡単で安価な消毒方法として使える可能性があるとしている。

【備考】

（２）特集記事　Features

１）世界的話題　Global Focus

Taps and toilets for all - two decades already, and now a quarter century more

　「蛇口と便所をすべての人々に」計画−これまで20年の取組みと新しい四半世紀に向けて−2025年までの期間で，上下水道計画が達成される見こみはあるのか？水の供給については多分に可能性がある。汚水処理にかかわることについてはほとんど不可能であろう。
　WHOの2000年の報告書によると，2000年時点で約11億人（18％）が水の供給を受けられず，35億人（40％）が汚水処理を得ていない。2025年までに「蛇口と便所をすべての人々に」を達成しようとするならば，29億人の水供給，42億人の汚水処理を改善しなければならない。人口の増加にともなって状況は悪化している。上水の供給では，都市部の貧困層の増加が著しい（地方部の２倍）が，1990年代よりも改善している。汚水処理では，地方の割合高いため，WHOの目標の達成はほぼ不可能である。The Economistによると必要な投資額は９兆ドルにも上るのだ。

２）再生利用　Water Reuse

Prospects for international guidelines for water recycling

　水の再生利用に関する国際ガイドラインの見とおし−国際再生水ガイドラインを紹介する。（下表参照）

※表は訳者が記事に添付された表を組み合わせて作成。○は使用可，△は条件つき，×は不可。

How to sell reclaimed water-setting the right price in Maui

　再生水の売り方−マウイ島における価格設定−下水の再生は水資源の不安定な地域でしばしば推し進められている。ハワイ州マウイ島において，環境に配慮するのとあわせて，どのようにして経済的に引き合うようなマネージメントを行ったのかについて解説する。

３）管路　Pipelines

Plastic Potential

　樹脂管の威力−ポリエチレン（PE）管は40年以上前から使われてきたが，ここのところ急に伸びている。PE管は軟弱地盤や老朽鋳鉄管内に布設できるほか，完全一体構造でありながら曲道にも布設できる。1995年，日本の神戸で発生した地震では，他の管種よりも少ない被害であった。

【備考】

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