AmericanWaterWorksAssociation
Journal Contents
Publisher : AWWA, 6666 W. Quincy Ave., Denver, CO 80235; mailto:journal@awwa.org
米国水道協会=AWWA=の機関紙の目次を紹介します。米国人はルールを作る能力に秀でていますので,AWWAの動きは非常に参考になると思います。ただし,重ね重ね申しますが,筆者は英語は苦手です。おもっきし意訳で誤訳もありますがご容赦ください。
【備考】
2001年度後半を分離。様式変更−模索が続きます。
●AWWA Journal 2001/09
水系伝染病は配水システムの不完全性によって発生
- 配水システムにおける水を媒介とする感染症のリスクを低下させるための鍵は配水システムが握っている。水圧の管理,古くて漏水する管の管理,消毒管理,クロスコネクションの解消,配水池の解析,管内腐食のコントロールなどの対応策を取るべきである。法制度と基金の分配が急務である。
硫酸塩による急性下痢の評価
- 健康な成人ボランティアによる硫酸ナトリウム摂取と下痢の関係は明らかにはならなかった。しかし,幼児や旅行者のように,影響を受けやすい人への評価を考慮して,硫酸塩の濃度の基準を制定するための取組みが続いている。
家庭の貯水槽内での微生物の再増殖
- 水の供給のままならない地域では各家庭が水を貯留しなければならないが,数日の貯留で急速に水質が悪化する場合がある。貯水槽の材質による違いはなく,温度が大きく影響する。著者は,供給方法の改善,消毒,タンクの清掃を提言している。
薬品の使い方を改良することで水処理にかかわるムダを削減
- 全米17州の185施設での調査の結果,使用する薬品やその使用方法の見なおしによって,コストなど様々な改善効果が得られた。
水質試験機関の間で広がるアトラジン(農薬)の免疫学的検定の推奨
- 安全水道水法ではアトラジンの測定を求めているが,クロマトを使用する方法では高価であり,試験機関が遠いなどして,結果が得られるまで数日を要する場合もある。これに対して,疫学的検定ではこれほどの費用を要せず,45分程度で結果がわかる。
【備考】
●AWWA Journal 2001/10
大規模水道事業体へのTQM(包括的品質管理)の適用
- 世界の上下水道事業は同じような手続や問題,段取などを踏む点で特徴的である。TQMの手法を導入することによって,事業が成功するように導くことができる。
米国の上下水道事業体の効率性調査
- 効率性調査(PA)は1930年代にさかのぼる手法で,なにも新しいものではないが,ここ数年,上下水道事業体がよりよい計画や改良,経営のために導入する例が増えている。このような取組みが進むことによって,さらによい分析ができるデータが整備され,意志決定に役立つようになるであろう。
オゾン処理と配水システムの生物学的安定性
- 1979年のTHM対策法,1989年の表流水処理法の公布以来,水道事業者は消毒と消毒副生成物の最小化のバランスをとることを目標としなければならなくなっている。遊離塩素を発生しない,たとえばオゾンのような消毒剤を使用することでこれを達成できるかもしれないが,オゾンは強力な消毒剤で大きな有機物分子を小さくするため,生物易同化性有機物や生物易分解性有機物などを生成する場合があり,これによって微生物のえさが増え,配水管内に膜状に微生物が再増殖する。この研究では,生物ろ過や残留性のある消毒剤の使用などの処理後の対応の導入が必要であるとしている。
酸化処理の特性分析:オゾン処理及び促進酸化(O3/H2O2)処理
- オゾン処理を導入した場合,消毒副生成物の生成を制限しながら十分な消毒効果や汚染物の除去を行うことがしばしば難しくなる。促進酸化法(AOP)は,オゾン処理を促進したり強化したりすることができるが,微細汚染に対応するために最も適したAOP処理とすべくオゾン濃度を上昇させると,副生成物の生成が増える。さらに,消毒が必要ならば,高い濃度のオゾンが必要になる。この研究では,オゾン処理による消毒や微量汚染と副生成物の関係について述べる。
配水池内における消毒塩素の減耗反応速度
- マサチューセッツ用水供給事業体は表流水処理規則に則って次亜塩素酸ソーダを配水池の原水に投入するようになったが,原生生物の不活化に必要な濃度と消毒副生成物の生成の濃度が問題になった。この研究データを収集するうち,塩素の要求量は原水のpH,温度,紫外線吸光度(波長254nm)と相関があることが明らかになった。
【備考】
●AWWA Journal 2001/11
ITによる問題解決
- ITの活用をうまく活用すれば,顧客との交渉,問題の監視や解決のほか,新しい規制への対応にすら対応することができる。
地理情報システムの活用によるインフラ資産の維持
- 地理情報システムに基づいた意志決定システムによって,事業体の様々な価値向上を図ることができる。
携帯端末によって事業体のインフラや維持管理の向上を図ることができる
- インターネット技術を応用した携帯型端末機器による効果について論ずる。
遺伝的アルゴリズムを応用した配水システムの補修について
- 米国では多くの水道が100年を経過している。有効に機能している事業もあれば様々に問題を抱える事業もあるが,維持管理の問題が大きくクローズアップされつつあるのは当然である。試行錯誤による方法では高価になりがちであり,漏水音を利用してもっとも効果的な更新部位を選ぶ方法などが行われる。遺伝的アルゴリズムを利用した方法(fmGA)は,自然界で見られる現象に基づき,事前に設定した方針に最も適合する安価な更新手法や代替施設整備方法を自動的に判断してくれる。
使いやすい炭酸塩の化学変化図
- 水道水のpHやアルカリ度を調整するために必要となる酸やアルカリを計算することができる炭酸塩の平衡図を紹介する。
水道水の影響による銅管の老朽化
- (米国では)水道水に対する銅管の問題が明らかになっており,事業体はこれへの対応を迫られている。この研究では,実験室と実証レベルでの銅及びその陰・陽イオンに関する熱力学モデルを使用している。これにより,銅管内部で老朽化に伴い発生するスケールが老朽化を急激に促進することが分かった。水道事業者が銅の問題に対応するためにどのような水質とすればよいのかについて参考になろう。
鉛及び銅管の腐食におけるアルミノけい酸層の影響
- アルミノけい酸は,ロスの悪化などの悪影響にもかかわらず,鉛ライニング管を用いた配水システムにおいて錆を抑制すると考えられ放置されていたが,現実には腐食を悪化させるらしいことがわかった。
【備考】
●AWWA Journal 2001/12
クリプトスポリジウムオーシストの除去のための珪藻土ろ過実験
- 実験室レベルであった研究を実証実験レベルで実施。この結果,クリプトの制御手法に珪藻土ろ過(DE)という選択肢が増えることになった。
通常処理方式でのクリプトスポリジウムオーシストの制御
- クリプト対策は水道事業者にとって大きな挑戦であるが,それを通常処理で対応しなければならない。効果的なクリプト除去のための運転方法やクリプトの監視のための指標などは,しかし,まだ十分ではない。本研究はこれに資するものである。
カルシウム等無機物の粒状活性炭表面への沈着について
- 粒状活性炭は有害な有機物や臭気のある有機物の吸着に使用される。再生活性炭は新炭の1/3のコストで済むが,カルシウムの沈着が活性炭の再生に障害をもたらす。この影響を最小化するためにどうするかについての研究である。
水道水の生物処理に影響する因子
- 水道水の生物処理に関して,ろ材,水温,逆洗水の塩素の存在,など様々な研究がこれまで行われてきた。しかし,これらの複合条件下での研究は十分ではない。実験室レベルでこれらの条件を研究した。
配水システムでの塩素や溶解性有機ハロゲン化合物(DOX)濃度の変化
- 水道水質の規制は浄水場の流出点が重視されるが,水質はプラントと需要者の蛇口の間で悪化するかもしれない。この研究では,2つの水道事業で,塩素とDOX濃度を追跡調査している。
【備考】
●AWWA Journal 2002/01
インフラ管理ソフト−包括的で広い分野をカバーする施設資産管理の提供
- 浄水場資産管理に役立つ道具は要りませんか?AWWA-RF(米国水道協会研究基金)がWTPIAM(Project460)という電子化マニュアルを完成しました。
インフラ整備への資金確保の推進
- 米国の多くの配水施設は,施設更新に必要な額対して歴史的に低い料金を設定していたため,いまや危機的な状況にあるということは疑いようのない事実である。この分野に対する国家ベースでの資金需要は,今後30年間で2兆5千億ドルに上る。この問題に効果的に対処するためには,公的セクターの関与と良好な相互情報提供,そして長期的視野に立った計画が必要である。本件では,実例に基づき,このような戦略をどのように展開したのかを検証する。
リン酸塩防錆剤の鉛管からの溶出抑制効果
- 米国の多くの水道事業者が,米国EPAの銅鉛規則を遵守するための手段として,リン酸塩を主成分とした防錆剤を使用している。しかし,得てして,これによって生じうる不利益については十分に認識していないように見うけられる−はっきり言えば,リン酸塩は,粒子状,溶解性の両方の形態で,飲料水中へ鉛の溶解を促進する場合があるのだ。本論の結論からいって,鉛系防錆剤は,鉄管の防錆には有効でも,鉛の溶出制御剤として推奨すべきではない。
給水栓取りだし金具の損失水頭
- 水道管の修繕が必要になったとき,2つの方法がある。一つはT事管を使用すること。もう一つは給水栓取り出し金具と弁を設けることである。両者について比較分析した。
水道本管の消毒のために必要な塩素消費量
- 配水システムは飲料水への混入を防ぐ最後の壁である。しかし,配水システムの老朽化においては,消毒システムが壁に空いた孔をふさぐ役割を担っている。従来の分析では,塩素要求量の最小化に重点が置かれていたが,本研究では,塩素消費が管のサイズや種類に依存することを示し,その説明式を作成した。
ICR(情報収集規則)情報の分析によるHAA(ハロ酢酸)とTHM(トリハロメタン)の比較
- EPAの規制は,臭素と塩素を含むハロ酢酸9種のうち5種しか規制していない。そこで,化学モデルに基づき,ICRデータにあるトリハロメタンやハロ酢酸6種からハロ酢酸9種を推計する事業を行った。ハロ酢酸類はトリハロメタン以上の健康リスクをもたらす可能性があり,水道事業者や規制当局がトリハロメタンと併せて注目することが望まれる。
【備考】
●AWWA Journal 2002/02
クリプトとMS2バイオアッセイの比較−紫外線反応槽の認証のための相関性
- 紫外線処理装置の性能を評価するために代替指標微生物を選定し使用するのは,非常に挑戦的な研究ではないだろうか。水道供給事業者は,代替指標微生物と対象微生物の紫外線装置による影響と,代替指標微生物が本来備えている特性の両方を把握しなければならない。この研究は,MS2大腸菌ファージを水生原生生物のクリプトスポリジウムの生物学的評価の大体指標生物として利用することへの水道界の理解を深めることを目的としている。
活性炭ろ過槽における非生物的及び生物学的作用による過塩素酸塩除去機構
- この研究では,過塩素酸塩濃度を低減するための活性炭ろ過処理について,通常の接触時間の条件下で,吸着濃縮された過塩素酸塩の除去工程を用いないケースについて評価している。この研究により,過塩素酸塩の除去に対して,活性炭ろ過がコストパフォーマンスに優れた効果的な処理であることが分かったが,そのためには原水の性状に適合した運転が必要である。
藻類の硫化鉄による凝集の最適化
- 本論では,滴定法による凝集剤の最適注入について論ずる。オンラインによる通常の流量測定を通じた遠隔制御による凝集剤注入量制御,によって,原水中の藻類の濃度と,その水質の変化のために最も最適な注入率を把握することが可能になるであろう。
臭素酸イオンの化学的低減法
- 臭素酸イオン(BrO3-)は,オゾン処理の際に発生する消毒副生成物である。この研究では,硫化物イオンと鉄イオンの減少を,幅広いpH域における臭素酸イオン除去能の因子として評価する。研究の結果,硫化物イオンは有効ではなかったが,pHが7以上の場合にFe2+が有効であることが分かった。臭素酸イオン対策の多くが生成の抑制を主眼としているなかで,鉄を利用した臭素酸イオンの低減法は,他の方法と比べて決して複雑でも高価でもない。
前フッ素処理の懸濁質や有機物のへの影響
- フッ素処理が歯科衛生上有効であるため,米国人口の62%がフッ素処理された水を供給されている。しかし,なかには,原水へのフッ素添加は,懸濁質や有機物の除去に有害な影響を及ぼすとしていうる事業体も存在する。
- 標準的な凝集沈澱処理フローの室内実験及び実証実験の結果,原水へのフッ素添加は,明らかに有機物の除去量を低下させ,沈澱池の性能を低下し,ろ過池からの漏出を増大し,ろか継続時間を低下させ,処理水のアルミニウム濃度を10倍に増やし,フロックに吸着されることによって40%のフッ素が損失になっていることがわかった。フッ素添加の方法については十分な検討が必要である。
25μg以下の水相でのシアン,過塩素酸塩,PFOSの,ATR−FTIR法による検出
- 上水中のシアン(CN),過塩素酸塩(ClO4-)や下水中の過フッ化オクチルスルホン酸塩(PFOS)など,陰イオンの検出と計量が公衆衛生や環境のために重要になりつつある。これまではこれらを測定するにはイオンクロマト質量分析法しかなかったが,Straussらが発見したフルニエ赤外線生成法?(FTIR)は,前処理なく現場でこれらを測定できる。
HOME> |
 |
TOP> |
|