水質検査体制 Examination Staff
作成者  BON
更新日  2005/09/04

 ここでは水道GLPについて整理します。ISO17025との違いが分かりにくいこともありまして,一度整理しておく必要があろうかと思いまして。ちなみに,ここに掲載する情報の多くは,日本水道新聞050825の1面記事を参考にしております。

水道GLP
 整理。

【参考】
 自学自習のためのページ。


水道GLPとは

1)GLPとは

 GLP(Good Laboratory Practice)は,医薬品などの安全性試験等の試験業務が高い精度を維持するための管理基準のことです。

 医薬品や化学物質等の安全性評価試験の信頼性を確保するため,試験施設が備えるべき設備,機器,組織および人員,試験操作の手順書等について定められた基準として,日本では,厚生労働省,農林水産省,環境省等がそれぞれの分野で基準(GLP基準)を定めています。

2)ISOにおけるGLP ISO17025

 ISO17025(JISQ17025)=国際的な試験所認定制度=は。環境計測を対象としたGLP基準の一種で,校正機関や試験所が特定の校正や試験を実施する能力があることを権威ある機関が認定するもので,1999年12月に制定されています。

 ISO9000が製品やサービスを提供するシステムを認証する制度であるのに対し, ISO17025は分析試験結果の品質を保証するもので,試験対象物質とその分析方法を1セットにして認証が与えられることになっているとのことです。つまり,水道水質の計測を対象とする場合,濁度,色度など,各項目ごとにその分析方法の認証を受けないといけません。ということで,大変な手間とコストがかかってしまいます。

 水道事業体でISO17025の認証を受けている,あるいな認証を目指している事業体は,私が報道などで把握している範囲では,大阪府水道部,東京都水道局,横浜市水道局くらいのものでありまして(情報提供希望),つまりはそれくらいの規模と技術力がないと太刀打ちできない認証ということかと思われます。

 水質検査の精度向上にはそれなりの外部評価,品質保証制度が必要と思われますが,このようにISOのシステムは非常にハードルが高い。ということで,水道GLPが策定される背景となりました。

3)水道GLPの概要

 水道の水質試験組織を対象に,平成17年春に確立したばかりです。ISO17025の概念をベースとしながら,これとは別で,水道協会が音頭をとり,その検査の精度や体制が確立されていることを認証する制度で,水道水質検査に関する初めての規格であるとのことです。

 広域水質管理の担当事業体レベルにおいては当然そのような体制の整備が求められるようになっていきますが,水道事業体を対象とした立ち入り検査などでもその姿勢が問われるようになってきているとも聞きますし,精度管理に関する今日の要求レベルを満たすための非常に有力なツールと捉えるべきでしょう。

 水道協会は050815,水道GLPの審査,認定,登録などの業務を実施する体制が整ったとして業務開始式を開催,実業務を開始しました。私の在籍する職場でも複数事業体さんからこの件についてアドバイスを要請されたこともあり,専任を一人置いてサポートする体制を整えております。

 水道GLPとISO17025,ISO19000'sの比較表を,日本水道新聞050825の記事から以下に引用,部分的に加筆修正しました。

水道GLP ISO/IEC17025 ISO9000's
概要  水道水の水質検査の精度管理が実施されていることを認定するシステム。  個別の検査方法が適正な精度管理のもとで実施されていることを認証するシステム。  製品を生産するシステムが適切な管理の元で運営されていることを認証するシステム。
取得証明 認定証 認定証 登録証
範囲 水質基準の全項目を一括で認証。一部項目のみの取得も可能。 水質検査項目単位で,その計測方法の認証を受ける。 製品を対象とする。水道の場合は供給水質の品質の維持がなされる体制が認証される。
審査内容 管理的要求事項
技術的要求事項
技能能力(外部精度管理)
管理的要求事項
技術的要求事項
技能能力(技能試験に参加)
管理的要求事項
技術的要求事項
審査員 システム審査員
技術審査員
システム審査員
技術審査員
システム審査員

 なお,通称として「水道版GLP」という言い方もありましたが,正確には「水道GLP」だそうです。事情通によりますと,この点には結構こだわりがあるそうですので,是非お間違えなきよう。

4)水道GLPの詳細

 詳細は水道協会の詳細資料に基づいて各自勉強のこと!

「水道水質検査優良試験所規範(水道GLP)」について【日本水道協会】
 水道GLPの詳細は日本水道協会HPに掲載されてます。

【備考】
 050904 新聞で特集記事が組まれたので,それまでに収集した情報を使って再編集しました。


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