弁類 Valve
作成者  BON
更新日  2003/08/05

 各種弁類の使用上の注意などについて。面白いと思った機材なんかを紹介していきたいとも思ってます。様々なものが実用化され,また開発されていて,これを公平に取り上げることができるようになるには時間がかかるでしょう。行き当たりばったりで手当たり次第行きますので,「わが社のが扱われてない」とかいった抗議,大歓迎です。ぜひ投稿してください。

水道用弁類
 水道で使用する各種弁類について。

【参考】 創設 2000年6月20日
最も古参のページの一つ。そして,最後まで旧様式で残っていたページです。


水道用弁類

(1)制水弁

 制水弁とは,水を流すか止めるかを決めるための弁です。全開時は水流を邪魔せず,全閉時は完全に水流を止める能力が求められます。半開での使用は前提としては行いませんが,実際にはそういう使い方をされるケースもあります。

1)仕切弁

 水道における制水弁としてもっとも普通に使用されるのは仕切弁です。これは,水を仕切扉が管に対して垂直に下りてきて,管をふさぐ仕組みになっている弁で,全開時の損失がほとんどなく,逆に全閉時の止水性が高く,開閉がしやすいのが最大の特徴です。仕切弁には通常型とソフトシールの2種類がありますが,弁体の底の溝をなくしたソフトシール弁の方が止水性に優れるので,現在ではほとんどの事業体でソフトシール弁を使用するようになっています。

 仕切弁は通常は縦に置いて使用しますので,そういう前提で設計されています。プラントなどで横向きや,仰向けに設置する場合はちゃんと仕様書に謳いましょう。

 φ300を超えると仕切弁のストロークが大きくなるため,埋設深度が深くなってしまいます。この場合,横置きにすることもあるようですが,通常はバタフライ弁を使用するようです。また,φ600を超えると,水圧のある側とない側の力の差が大きく,ネジによる梃子があってもそのままでは動かなくなります。このような場合に,副弁というバイパスを設け,まず副弁をあけて双方の水圧を合わせてから,本体の弁を操作することもあります。ただ,私はこんな大きな弁の設計をしたことがありません。よく知っている人に聞いてくださいな。m(_ _)m

 小口径では,水圧による開閉難の問題がほとんどなくなるため,開閉のしやすいボール弁などが多用されます。

【クボタバルブホームページ】
 株式会社クボタのバルブ事業部開設のホームページ。各種製品仕様のダウンロードが可能。

2)緊急遮断弁

 配水池などの機能のひとつに,非常時のための水の貯留があります。しかし,幹線管の一部が災害で破損したらどうなるでしょうか。そのまま放っておいては,配水池の中の水が一気に流出してしまい,非常時用の水を失ってしまうばかりか,最悪の場合,流れ出る水による二次災害を引き起こしかねません。

 そこで,ある程度主要な配水池では,緊急遮断弁という装置を配水池内に設置し,非常時において水が流れ出してしまうのを防いでいます。

 緊急遮断弁にはメーカーによっていくつか種類があります。まず,駆動力を得る方法でガス式や重錘式,作動条件について異常流量検知や地震動検知,などです。どれを使用するのも自由ですが,装置は単純であればあるほどいいというのが非常時用施設の鉄則ですので,選定の参考にしてください。

 緊急遮断弁で大変なのは誤動作対策です。あまり敏感にすると,ちょっとした地震や需要増大で作動してしまいますし,鈍感では緊急時の役にたちません。また,普段は稼働しない設備であるので,メンテには意を用いる必要があります。

【備考】
 まずは基礎知識から。


(2)制御弁

 ここでいう制御弁とは,管内の水流の調整を行うための弁類です。まだまだ種類があるのですが,とりあえず手当たり次第。

 なお,浄水場などの機場で,仕切弁などを制御弁,調整弁として使用しているケースがありますが,弁開度について運転操作と関連がある場合があるので,弁を開け閉めするときは,必ず何回転したか,覚えておいて,作業終了後にもとの開度に戻しておくこと!(先日しくじりましたので急遽メモ)

1)水位調整弁

 水位調整弁とは,池内に直接設置したり,パイロットを設置したりして水位を検知し,一定の水位以上なら閉,以下なら開という使い方をします。便所のボールタップが最も簡易な構造の弁で,実際,ごく小規模の水道の場合では便所用と同じ規格のボールタップを使用することもあります。

 パイロット型の場合,弁体と検出部を分離できる利点があります。しかし,遠隔的に開閉状態を確認することができない,パイロットが故障しやすい,パイロット連結管が詰まりやすい,など,信頼性の面であまり信用されていないケースもあります。

 また,機械式は動力が不要という大きなメリットがありありますが,外部から動作を確認しにくいことについては認めざるを得ません。開閉の確実性に疑問があるものとして電動補助式を使用するよう指示された経験があります。

スライダー弁【栗本鐵工所】
 高水位で自動停止するフロート式水位調整弁。ボールタップやボールフロート方式に比較して構造がシンプルで,故障しにくそうな点がなかなかよさそう。

2)水圧調整弁−減圧弁

 水圧調整弁は,管内に制御可能な損失を与えることで,水流時の水圧を減じたり,これによる流量の調整を行ったりするための弁です。スイング弁やオリフィス弁,特殊バタフライ弁などがよく使用されます。

 水圧や減圧幅,口径などの諸条件によってキャビテーションを起こしたりするため,設計には比較的高度な水理的知識が必要ですが,安易に使用されることが多いのもまた事実です。この手の調整弁は管路の途中に設置するわけですが,デリケートな機械ですから,特に新設時において洗管時の土砂をかんだりして壊れるなどする事故が後を絶ちません。かならずストレーナや専用のバイパスドレーンを設置するようにしましょう。

 地中に設置するのでない場合は騒音にも注意しましょう。水の流れるエネルギーをロスさせる構造ですから,水流によるゴーゴーといった音は避けられません。特に,オリフィス弁の場合は全開状態でもロスを生じる構造なので,常に音がします。筆者の周辺では,これが原因で苦情が来たことがあります。

技術コーナー【クボタバルブ事業部】
 制御弁の導入事例を紹介。

 これは提案になりますが,配水池などの流出弁は,できれば流量調整を想定した弁体とした方がいいのではないでしょうか。スペースやコストで有利な制水弁が使用されるケースが多いですが,流量計に影響のない範囲でバタフライ弁を使用するのも一考ではないかと思います。

【参考】
クリモト,マエザワ,水道機工さんなどが制御弁のメーカーとしては有名ですが...サイトに製品情報がない...(;_;) 製品情報を掲載しているサイト,もっとあるとおもったんですが...各社が取り組まれる日をお待ちしています。


(3)弁室

 弁室というのは,弁類を地中に埋設する場合に,弁の操作部分を格納する室のことです。制水弁では弁の信頼性が高いため弁帽部分だけを覆いますが,複雑な操作を要求される制御弁では,弁全体を小さな筐体の中に収めます。また,流量計や電動弁,場合によっては操作盤を納める場合もありますが,道路内・敷地内で地下に設置するため,雨水や湿気の問題も考えられます。極力電気関係は入れない方がいいでしょう。

 仕切弁用の弁室では,昔はヒューム管をぶった切って建て込み,鉄フタを載せたりしてましたが,鉄筐,レジコン弁室などの製品がよく使用されます。

 大型の弁室用としては,レジンコンクリート製のプレハブ弁室・大型メーターボックスなんかも製品化されていました。(クボタ合成管事業部が代理店だったはず)工事費はコンクリート施工とほとんど変わらなかったはず(要確認)ですが,施工工期が短く,道路内施工時に通行規制を短期化できるメリットは大きいです。

【参考】
日之出水道機器とかが有名です。サイト作ってください。


HOME> TOP>