作成者 | BON |
更新日 | 2009/03/29 |
配水施設の中核施設,配水池について取り上げます。
配水池の種類 ごく一般的な配水池の種類について。 |
【参考】
思えば,最も始めに作ったページのひとつですが,いつのまにか中身はまったく変わってしまいました。
配水池はタンクとしての水密性を有していればよいので,さまざまな材質で製作が可能です。現在実用化されている主要なものだけでも,以下に示すようにさまざまなタイプがあります。
1)RC配水池
鉄筋コンクリート製の配水池です。比較的安価で信頼性が高く,ある程度の制約はあるもののさまざまな形状の池が製作できるため,小〜中規模広く普及しています。また,比較的肉厚で,地中に設置できたり,水温が変化しにくいなどの利点もあります。特に,上面を他の用途に利用する場合などは基本的にはRCのフラットスラブ構造を選定せざるを得ないでしょう。大規模になるとPC造の方がコスト的に有利になる傾向にあります。
古く歴史のある配水池はたいがいRC造りですから,一般施工業者ならば大概建設可能なうえ,半地下構造が多いので,なかなか写真らしい写真を掲載しているサイトを見つけられません...事例は多分一番多いんですけどね。
2)PC配水池
PC浄水池と鋼製浄水池
栃木県今市市瀬尾浄水場の浄水池。左は鋼製配水池,右はPC造配水池。二つ並んでいるのは結構めずらしいです。
プレストレストコンクリートと呼ばれる,圧縮力を与えた特殊な構造をもつコンクリート製のタンクです。設計や形状に制約があるものの,RCと同程度に信頼性が高い(というより,資材を節約して同程度の信頼性を確保できる)ため,特に大規模な配水池でよく使用されます。
3)鋼製配水池,SUS製配水池
鋼製の配水池は複雑な形状のものでも製作できるのが最大の利点で,高架タンクなど水圧の確保が必要な場合に多く使用されます。
高架水槽の例
写真は高架水道を鋼製で設置された事例。鋼製のメリットを最大限引き出しているといえるのではないかと思います。このように,他の形式では作りにくいような形状のものである場合に鋼製が有利です。
弱点は錆で,水道水は塩素が含まれることもあって鉄をさびさせます。このため,特に鋼製の場合は防錆のために数年に1度は塗りなおしが必要なことが大きなネックと言われていました。ただし,最近はSUS製のものが増え,この問題は相対的に小さくなりました。しかし,比較的コスト高なこと,SUS地肌では目にやさしくないことなどの問題を解決しなければなりません。
ただ,今後,LCAを前提とした更新事業を考えると,廃材が再利用でき,解体工法に自由度がある(例=リフティング・ジャッキ工法=東京都水道局小右衛門給水所(020523))など,これまであまり注目されなかったメリットが前面に出てくる可能性はあります。
4)パネルタンク
工期が短いこと,形状の自由度が高いこと,建設用の重機の制限があまりないことなどから,建築物付属の受水槽や重機が入らず大規模な施工の難しい山中の小規模な水道などで使用されます。水道規模で使用するのであれば,他方式よりも少しコスト高になる傾向があります。パネルには,FRPやSUS,SSなどのものがあります。
【備考】
代表的なメーカーのサイトのインデックスを参照できるようにしてたんですが、全部リンクアウトしちゃった...がっかり。