管路基本設計 Planning of Pipelines
作成者  BON
更新日  2004/07/11

 配管の基本設計について。実施設計のページと相互に比較して確認してください。導水管,送水管,配水管...管路の設計は,基本的な事項がちゃんとしていないと,水が流れない怖さがあります。決して簡単な仕事ではないのですよ。

管路基本設計
 場内配管とは,浄水場は配水池など敷地内に行う配管です。
管路実施設計
 管路の実施設計に関するノウハウ類。TIPSと言った方が正しいかも。

【参考】


管路基本設計

1)樹枝状配管と管網

 導水管,送水管の場合,基本的には単管路,もしくは樹枝状管路(左図)になります。配水管は管網(右図)とすることが理想的とされていますが,山間地などの場合はなかなかループルートを設けることが難しく,また不経済になることも多いので,やむを得ず樹枝状管路とすることになります。

 管路の設計思想は,樹枝状の場合と管網の場合でかなり異なります。樹枝状配管の場合は,配水池,あるいは末端からあたえた条件が順繰りに波及していく想定で検討するのですが,管網の場合は各点の条件が相互に影響しあう状態をシミュレーション的な計算によって表現します。

 本HPでは,管網の検討については配水区の設計として整理していますので,ここでは主として樹枝状の配管について検討することとします。

配水区域と管網
 管網の設計条件と方法に関するコツです。書いていることの真意がわかるようになれば,貴方も一人前です,なんて。

2)樹枝状配管の設置位置

(1)道路布設

 地域への管の配置は,まず道路と供給先のチェックから始まります。通常,供給しなければならない家には,そこへ向かうための道路がありますので,ここに入れるのが基本です。

 道路が私道である場合やあまりに迂回がひどい場合,あるいは取り付け道路が階段や石積みなどで施工が困難な場合などは斜面などにショートカットして布設するケースもまれにありますが,維持管理や施工,そして資産としての扱いの問題などを考慮すれば,このような方法はよほど特殊な必要性があった場合に限るべきです。

(2)高低差の問題

 管内の水圧は静水圧で0.15MPa(15maq)〜0.75MPa(75maq)であるべきことが設計指針などでは謳われていますが,実際のところはどうなのでしょうか。

 管自体は,通常設計条件の2〜3倍の圧力に耐えられるかどうかで設計,試験を行っていますので管本体については,若干のオーバーが合っても持ちます。しかし,継ぎ手部分やサドル分水栓など,現場の施工レベルでばらつきが生ずる機材は,こうは行きません。ですから,これを超えるような水圧がかかる場合は,例えば管の構造や種別を変更する,エリアを細分化する,管の設計仕様を替える,など,それなりの配慮が必要です。

 特に山間地においては,道路やルートの制約から,特に高い水圧とならざるを得ない場合が往々にして発生します。このような部位に対して,どのように管を配置するか,あるいはリスクの高い管路を扱うか,が,設計屋のノウハウであるということですね。以下にして地形を読むか,どのようにポンプを配置するか,ミスをしにくい検討のためにはどうすればよいか...様々なノウハウがあります。

 ちなみに,0.5MPaの水圧の蛇口は,特に知らない人が適当に蛇口を開けたのでは水が洗面器にたまらないほどの勢いです。上に向けて柱を立てれば50mも上がるというのは,そういうことです。もし,ピンホールかなにかでも穿孔されてしまえば,たちまち道路は水の勢いによって押し流されてしまうでしょう。高水圧管の設計施工については,ですから,通常の管以上に,手慣れた設計屋を使うことが重要になるわけです。

3)補助設備

 これは管網でも同じなのですが,各種弁類の設置位置についても十分に考慮しなければなりません。これらは別ページに解説を設けました。

配管付帯設備
 仕切弁など,管の付帯設備について掲載。

4)水下気圧対策

 樹枝状の配管の場合,いわゆる水撃圧の影響について特に入念に検討することが必要になる場合があります。

 管網の場合は,複数の管が複雑に絡み合っている関係上,相互に干渉しあって水撃の問題は単管路の場合ほどには大きなリスクになりません。よって,それほど水撃の問題に拘泥することはないようです。もっとも,計算がめちゃめちゃ大変,ってのも一つなんですけど...

 これに対して,単管路の場合は水撃圧の影響についてちゃんと確認しておかなければなりません。詳しくは,水撃圧のページに掲載しておきます。

水撃圧
 水撃圧関連はすべてこちらのページに掲載。結構重要でありながら,駆け出しのころはなかなか扱えなくて困ったものでした。どうしてもメーカーにポンプ特性の資料をもらわないといけないのがつらいところですが...

【参考】


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