配水区の設定 Delivery Area
作成者  BON
更新日  2002/02/20

 配水池や配水区域の設定についてとりまとめました。ブロック化については別ページに作成しましたので併せてどうぞ。

配水区の設定
 配水区の配置方法について。
配水ブロック化
 配水区のブロック化について。

【参考】
2002/10/20 久々に新しいページを追加。


配水区の設定

(1)施設整備計画

 需要者と水源を効率的かつ融通のきく方法で結びつけること。送配水施設の役割は一言でいうとこうなります。配水施設整備の基本計画の策定手順は以下のとおりになります。

1)現有施設条件の把握

 現在の配水施設の配置,規模,構造,能力,及び特記すべき問題点(老朽化や維持管理の難点など)について,台帳形式で総括します。この時点でクライアントとの十分な協議を持ち,ひろくヒアリングを行います。

2)需要条件の把握

 需要者の位置や開発計画などを確認し,将来需要の見通しなどについて整理します。これによって,需要サイドから見た配水区域の領域の設定条件が総括できます。事業計画時点でこれを想定した方法を取っておくと便利です。

 人口の増減の傾向を地域別に把握することはもちろんのこと,管網計算における節点別の水量設定を町丁別に配分すると将来の変化を反映しやすいです。需要の増加,減少は,全地域に一律にかかるわけではなく,地域による偏在が非常に大きいですので。

3)水理条件の把握

 需要者の位置,都市計画上の用途区域,地形などを考慮して各地域への必要供給水量や水圧を概算します。現在の配水施設による配水圧は,配水圧の最低確保水準の目安を1.5kgf/cm2(0.147MPa)としています。これは,木造2〜3階建程度の家屋を想定したものです。

 受水槽の衛生管理の問題などから,配水圧の設計条件を見直して3階建て以上の建物に対しても直圧給水が可能となるようにすべきであるとの意見があります。しかし一方で,全域に対して高圧給水を行うことは,漏水の増大を招く,現有施設の設計条件の変更につながる,現有配水池の全面的な更新が必要となる,など,予定外の投資を必要とする可能性があります。ただ,全給水区域を高圧化することは難しくとも,3階建以上の建築物が多くなる地域については,長期的には3階建分あるいはそれ以上の動水圧を確保することは可能です。このような高層住宅が配置される地域は,都市計画で決められた建ぺい率や容積率を参考に想定できますし,中期的な経過措置としては十分現実的と考えています。

 このためには,まず,配水ブロックの標高分布から,最低限有効水圧を検証します。次に,直圧給水を行うために現在よりも高い水圧が必要となる可能性の高い地域を都市計画図から拾います。同時に,都市計画図をもとに容積率と建ぺい率からおおよその建物の高さを類推します。この二つの情報を併せて必要最低限の水圧を算定します。

 なお,ブロック化については別ページとしました。

4)配水施設の配置

 現有施設条件,需要条件,水理条件を併せて勘案し,能力の増強が必要な各配水施設を洗い出すなどして具体的な施設の改良方針を整理します。

【備考】
2001/03/13 骨組み。ちなみに,用途区分を利用して直圧給水圧を検討する方法は私のオリジナルのつもりです。


(2)配水区の規模

 配水区の規模に特段の制限はありません。ただ,配水池の役割によって,多少配水池の整備方法も変わります。

1)比較的大規模な配水区を持ち配水の要をなすもの

 水の保管,融通,水圧の保存が主たる役割となりますので,十分な容量と耐震化の行き届いた配水幹線,水源との強固な連携を有する必要があります。

2)一部地域の配水圧の確保を目的とするもの

 必要地域における短期的な水需要,特に消火用水に対応するための水圧確保が主であるケースが多いといえます。逆に減圧を目的にしている場合もある。直圧式のポンプや減圧弁を複数連続させることは,相互干渉の視点から望ましくありませんので注意しましょう。

【備考】


(3)配水池の配置

 配水区が広くなると,一つの配水池のみで配水区全体をカバーするのが難しくなるケースがあります。このようなケースでは,複数の水源や配水池から同時に押し合いで配水する場合と,水源や配水池ごとに配水区を区切る場合があります。それぞれの長短を提示します。

1)複数の水源や配水池から同時に押し合いで配水する場合

 複数の配水場から配水していることによる水圧変化の吸収や、断水区域の極小化や時間短縮などのメリットが期待されます。また,自然流下方式をうまく組み合わせれば,ポンプの運転管理が容易になります。

 ただし,対応が悪いとメリットはデメリットに転じます。また,全配水区に同じ水圧をかけることから,エネルギーコストでみたコストパフォーマンスは低くなります。

2)水源や配水池ごとに配水区を区切る場合

 配水区ごとに細かな水圧設定ができ,水圧のロスは小さくなります。また,ブロック化との相性がよいため,ブロックシステムのメリットが活かせます。

 反面,相互融通を想定した区域の整備はメリットを殺すことになるためにやりにくくなります。維持管理も,区域界の扱いや死水が生じやすくなり,少し複雑になります。

【備考】


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