資料収集 Data Collection
作成者  BON
更新日  2008/12/07

 ここでは資料収集について取り上げます。計画を開始するまえには資料の収集が必要ですが,その重要性の割には軽視されている嫌いがあります。計画関連業務は,データの収集と吟味がもっとも重要かつ経験を要し,これが終わった段階で半分以上終わったようなものともいえます。

計画時に収集する資料
 さまざまな計画を立案するにあたって収集しなければならない資料のリストです。
統計データを読む時の注意点
 統計データの吟味について。経験が少ないうちはこれを軽視しがちです。

【参考】
2001/05/13 鍵付きページより移行。
2001/05/17 資料の詳細を追加。


計画時に収集する資料

 統計情報を入手するために便利なサイトを紹介します。いろいろ名データはありますが,区切りが広くて水道事業程度の狭い範囲に適用するのは多少無理があることも。

 ま、正直、今ならいちいちリンク集から行くより、GOOGLEとかで調べた方が早いですけどね。

統計情報【厚生労働省】
 日本の人口の統計調査結果のほか,人口動態や疾病など。必見。
統計・データ【日本銀行】
 物価や経済関係のデータがあります。一応「企業」に分類しましたけど。
【(財)経済調査会】
 物価や経済関係のデータのリンクサイト。
建設総合統計【国土交通省 基礎統計情報】
 建設のデフレータとしてはこれが使いやすいか。
統計リンク集【愛媛大学統計学ゼミ】
 各種の統計に関するリンク集。統計情報を掲載しているサイトの一覧は使い勝手抜群。
【電子政府の総合窓口】
 行政機関地方公共団体のほか,省庁のページを検索するサービスも。いわば行政検索サイト。

【参考】


統計データを読むときの注意点

(1)人口データ

 人口の推移は特殊要因の影響を受けにくく,比較的時系列分析になじみます。 

 時系列分析は,各行政区ごとの統計を数値処理することにより計算するものです。この方法には明確なモデルは存在せず,数値的な当てはめと経験的な状況判断により最適な式系を選定する方法であるので,計算に使用する実績のデータの適否によって推計結果が影響を受けます。このため,特に複数の事業体について同時に推計を行う場合などは,推計に使用するデータについて,その妥当性や同時性の吟味が必要です。

  通常,水道事業の検討に使用するデータは,水道事業の決算時期である3月末時点を締めにします。よって,通常,事業計画も同じ年度末時点の統計データを使用します。

 行政区域内人口などの人口に関するデータは,この日の住民基本台帳の人口を使用するのが普通ですが,3月末から4月初頭にかけての時期は,一年でもっとも人口の移動が激しい時期であり,一日単位の数字のずれが意外に大きく影響することがあります。このため,ひとつの事業体に対しては,各年度の同じ日付のデータを使用するよう心がけることが必要です。

 また,国勢調査を使用する場合に固有の問題もあります。国勢調査は,5ヵ年に1回の割合で,西暦の5で割り切れる年の10月1日付けで全国一斉におこなわれ,我が国の統計のうちでもっとも基礎的な情報を提供する調査として,社会の趨勢を把握するために広く活用されています。国レベルの計画値は,大概この国勢調査による統計をベースに使用しています。

 しかし,ところで,住民基本台帳は,通常,出生や死亡,転出入などによる増減の操作を行うため,記帳もれや誤記などがどうしても生じてしまいます。そこで,この国政調査の際に住民基本台帳を修正するのが普通です。この結果,統計的には5年を一単位とした誤差を生じている可能性がありますので,この可能性を調べましょう。結構影響大きいです。

備考】


(2)需要水量データ

 需要水量や人口などの実績データについては,必ずその集計方法および集計者に取材することが重要です。特に,データが途中で大きく変化している場合などは,その事由を確認しなければなりません。データの時系列的な整合性が失われるケースについては,以下のような例があります。

1)実績年度の途中で集計方法が変わるケース

 用途別需要水量の区分は事業体により異なります。調査により詳細に区分している場合,用途別料金を課していた時代の区分を流用している場合,口径で判断している場合,需要者の申告による場合,担当者の判断による場合など,区分を何らかの事由により変更しているケースがあります。

2)実績年度の途中で大規模事業が立ち上がったケース

 工業団地の誘致や大規模商業施設の開設などにより,それまでの実績とは時系列的なつながりが途切れる場合です。団地開発,工業用水,大口需要者などでよくあります。

3)渇水などにより需要と供給のバランスが崩れたケース

 需要水量に対して供給ができなかった場合です。特に,渇水による給水制限が一度発生すると,数年程度需要の伸びが止まるのが普通です。需要構造自体が変化する場合すらあります。最終年度の場合であれば特異値として推計根拠データから除く場合もありますが,後の影響を考えればあまりお勧めできません。

【備考】


(3)水質データ

 統計上の水質データに問題がなくても,必ず浄水処理の担当者とクレーム窓口担当者確認することが重要です。統計に表れれる数字で,申請書に掲載する全項目試験結果は,一年のうちたった一日分でしかないのですから。ぶっちゃけた話,統計に乗っているデータを信用してはいけないということです。

【備考】
どうしてもこの一言を入れたくて,わざわざこの項目作りました。


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