三脚はゆとりのあるものを使おう
地球に接近する次の機会は1986年、これは見られると思ったのは、確か小学2年生の
ときであった。ハレー彗星、周期76年の一大彗星、グリニッチ天文台長ハレーが軌道計
算した当時は、日増しに輝きを増し、大きく見える彗星に末世終末を予言する者もあっ
たと、アルスの児童文庫で読んだ。 50mm標準レンズ付一眼レフを、スリック プロフェッショナルIIにセットして、
窓枠越しに雑木林の梢を画面下に入れて、上3分の1見当にヘールボップが入るよう、
構図を決める。絞りはF2、シャッターをバルブにして、10秒で一枚、20秒で一枚、
30秒で一枚1枚と撮影を進める。 レリーズを緩めて、巻き上げる。この動作の繰り返し。三脚ごと、カメラが動いて
しまう心配はまったくない。安心してカメラの操作ができる。懐中電灯で腕時計の秒針
を確認する。プロフェッショナルIIは、丈も充分あるから、ほぼアイレベルに、
ファインダーを楽にもってこられる。三脚にゆとりがある。ぎりぎり一杯の高さとか、
精一杯の軽さとか、動いてしまわないかどうか三脚に無用な神経を払わなくてよい。こ
れがゆとりだ。巻き上げ操作をするたびごとに、一度セットした位置が狂いはしないか
気になるような三脚は、ゆとりのない三脚だとつくづく思う。ファインダーを通して見
る彗星、画面の四隅など、昼景と違ってきわめて見にくい。カメラの操作だけでも明る
いところでするのと勝手が違うのに、更に三脚まで余計な配慮がいるとすれば、それは
三脚にゆとりがないと考えるべきであろう。 三脚もゆとりを考えて揃えなくちゃと痛感する彗星の撮影である。
しかし、期待のハレーは、肉眼では見えなかった。イケヤ・セキ彗星も、専門知識と
望遠鏡がいった。昨年の百武彗星は肉眼でも見えたと聞いたが、見そこなってしまった。
そこにヘールボップの接近、自宅の窓から、本当に肉眼で見ることができる。初めて見る
ほうきぼし、感激である。
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