クラヴィコード製作日記 − 98.10




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98.10.3

この日までに黒鍵の加工を全部終わった。できあがった黒鍵は,全て3段階のサンドペーパーをかけて仕上げた。

98.10.4

ナチュラルキーの高さの不揃いの修正を行う。まず他よりも高すぎるキー数本を,キーの下面を削り,ほぼ平均的な高さになるように修正した。次に,他よりも低すぎるキーについて,下面に紙を貼って,上げ底して調節した(写真a)。4段階くらいの厚さの違う紙を用いた。のべ10-15本程度の修正でほぼ全ての高さが揃った。続いて,黒鍵を取り付けた。これは基本的には貼るだけであるが,ナチュラルキーとの間の手前と左右の間隔が一定になるようにする必要がある。手前の隙間には,厚さ1ミリの板を差し込んで,それで1ミリの一定の隙間を作るように説明書に指示されている(写真b)。左右の隙間は,目分量で行った。写真cは全てを貼り終えたところ。これで鍵盤ができたと思ったが,鍵盤の向こうの側板(Nameboard)を入れてみたところ,一部の黒鍵がぶつかってしまうことがここで判明してしまった。黒鍵の奥の端を少し削らなければならなくなった。始めからわかっていれば寸法を合わせてから貼り付ければ楽だったが,貼り付けてからだったので,キーの他の部分に傷を付けないようかなり気を使いながらヤスリか小刀で削っていった。削ればNameboardに当たらなくはなるのだが,削ってまた所定の場所にはめてみると,それまで当たっていなかった黒鍵も当たってしまうことが判明する。結局ほとんどの黒鍵を削る必要が出てきそうである。

a

b

c

98.10.7

夜な夜な黒鍵を削って,全部削り終わった。これで,本体部分の木工はほぼ修了したと思われる。

98.10.10

晴れの特異日で,ペンキ塗り日和だった。鍵盤のニス塗りを行う。説明書では薄めに2〜3回塗れと書いてある。この日は,取りあえず1回目を塗った。一個一個の表面積が結構大きく,意外にニスの量もたくさん必要としたし,時間もかかってしまった。

98.10.11

この日も天気は良く,2回目のニス塗りをしようかとも考えたが,本体の上蓋と譜面台の設計をして,材料を買いに行くことにした。上蓋は単なる埃避け程度に考え,至ってシンプル・軽量に,6ミリ程度の合板にステインとニス塗りで作ることとした。使用時には蓋は完全に取り外すこととして,本体に蝶番等で直接取り付けることはしないことにした。また鍵盤の前面もカバーされるように側板を付け,これは上蓋に蝶番で取り付けることにした。譜面台も同じ板から全ての材料を用意して,できるだけ収納時に薄く折り畳めるように設計した。東急ハンズに出かけて5.5ミリのシナ合板1枚から取るように切断を依頼した。帰宅した頃には日も沈んでしまったので鍵盤のニス塗りは後に回し,譜面台の組立を始めた。この日は主要部品の糊付けをほぼ修了し(写真a),あとはペーパーをかけてステインとニスを塗り,蝶番を取り付ければほぼ完成する予定。

a

98.10.18

この日までに鍵盤のニス塗りと研磨(スチールウール)を終わった(写真a,b)。先週購入した蓋の材料と譜面台の部品にサンドペーパーをかけた上で,「マホガニーブラウン」のステインを塗った。結構本体の色によく近似している(写真c)。

a

b

c

98.10.24

ステインを塗った蓋と譜面台の材料を,スチールウールで研磨した。

98.10.25

蓋と譜面台の仕上げは後回しにして,本体の製作の続きに入った。いよいよ弦を張り,tangent(弦をたたく部分)を立てて,音が出るようにしていく。弦は,低音部(真鍮に銅巻き線)を除いて真鍮の単線で,各音2本ずつの複弦である。まずtuning pinの表面を荒らす作業を行う。tuning pinには穴をあけずに弦を巻いて摩擦によって張力を得る。また打ち込んだ穴の中で滑ってゆるまないことが必要である。そのために,まず表面にヤスリを転がして(写真a)表面をざらざらの状態にするよう指示されている。いくつかのtuning pinにこの作業を行った後,高音部の弦から張っていく。最高音部の8音(4コース,8本)は0.25mmの単線で,この部分を全て張り終えてからこの部分のtangentを立て,それが終わったら次の太さの弦に移る,という手順で進める。始めに弦をhitch pinに引っかけるよじり部分を作る練習を2〜3回行った。弦に張力がかかったときにゆるんでいかないよう,よじる2本が均等に絡まるように作らなければならない。この方法になれたところで,実際に弦を張り始めた。引っかけを作り,tuning pinに巻き付けて,wrest plankの穴に埋め込んでいく。説明書では何処にも「打ち込む」ようには書いてないので,左右に回しながら力をかけて,徐々に穴に沈めていったところ,それなりの力で(かなり体重はかけたが)埋まっていった(写真b)。次第になれた7本目あたりで,張力をかけていくのが速すぎたらしく,断弦してしまった。4コース全て張って,次に最高音から順にtangentを立てていく。高音部はtangentを立てる位置がキーの先端部に近く,またキーの材料の幅が狭くなっているので,気を付けないとキーが割れてしまうと説明書にある。そこで真鍮板製のtangentを適当に削ったり,キーに適当な下穴を空けたり,いろいろと気を使いながら作業した。一応キーを割らずに完成し(写真c),ようやく最初の音が出るようになった。この日は最初の音が出たところまでで終わった。

a

b

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