ガチャ


南が1歩足を踏み入れると、床にたまっていたホコリが舞った。


「うわっ・・・ゴホっゴホっ汚ね。」


それを吸い込んで咳き込む。


「だねぇ。半年ぶりだし。」


と、南のあとを行く千石。


南は窓を開け、


「じゃあ、まず、買出しと、掃除か・・・・。」


と、つぶやいた。


それを聞いた千石は


「俺行ってきマース。」


「あっ!待てよ!」


そう言ったときには時すでに遅し。


千石は足早に、掃除から逃げたのであった。


「くそ。また、俺が掃除かよ。」










雑貨とセックスとやつ





カラン カラン


「いらっしゃいませ。」


ドアを開けると、鐘の音と主人の心地よい声が聞こえてきた。


「ひさしぶり、不二くん。」


にこっと営業スマイルで言った。


ここは、千石の馴染みの雑貨屋だった。


それこそ、お鍋から拳銃と商品はさまざま。


シックに飾られた店内には、クラシック音楽が流れている。


「わぁ、本当に久しぶりだね。」


「うん、半年ぶり。」


「どう?シゴトは。」


「んー、ぼちぼちかな。不二くんは?」


と苦笑い。


「僕もだよ。」


「ふーん、でもウラの方は儲かってるんじゃない?」


にやっと笑って尋ねる。


「・・・なんのことかな?」


と、ふんわりスマイルで聞き返す。


「うんん、深い意味はないよ。」


「ところで今日はなんの御用ですか?」


千石は「んー。」と言って店内を見回している。


「何せ半年ぶりだからね、日用品とかがなくって。あ、あと、弾かな。」


「日用品はそっちの棚だよ。僕は弾を出してくるね。」


「うん、ありがと。」


千石はあっち、と指差されたほうへ行った。


そこには、シャレたデザインのグラスや食器、鍋などが並べてある。


どれもとてもシンプルだけど、センスがいい。


「さすが、不二くん。俺こーいうの好きなんだ。」


そう言ってグラスを手に取る。


「あぁ、それね。昨日仕入れたばっかりなんだよ。」


と奥の部屋から顔だけ出して言った。


「ねー、千石くん。君の銃・・・ブラストはS53型でいいんだよね。」


と、さっきと同じように顔を出して聞いた。


「うん。」


千石は振り返らず、手に2個のグラスを持ったまま聞いた。


「いくつ?」


「10ダースー。」


「随分たくさんだね。」


「うん、最近ブッソーだからねぇー。」


「そうかな?」


「うん、例えば・・・馴染みの雑貨屋さんがイキナリ撃ってきたりするかもしれないでしょ?」


「それは、物騒だね。」


「ほんと、参っちゃうよ。」


バンッ バンッ


不二はカウンターの下に隠してあった銃twoWで千石を撃った。


千石はヒラリと飛んでかわして着地した。


トタンッ


「ひどいなぁ。不意打ち?」


「だって、言ってからやったら交わすでしょ?千石くん。」


「まぁ、避けなきゃ死んじゃうからねぇ。」


バンッ バンッ バンッ


「おっと・・。」


「いて・・・。」


千石は頬に手をやった。


つぅー、と温かく、鉄くさいものが流れた。


「顔はやめて欲しかったなぁ。キズモノになっちゃったよ。」


「それは残念だね。」


そう言って、また、銃を構えた。


「ねぇ、不二くん。ねぇ、売ってよ。」


「弾?」


「うんん、いのち。」


と、自分の心臓を指していった。


「うーん、高いよ。それは。」


「うん、知ってる。」


「仕様がないな。」


そう言うと不二はtwoWを置いた。


「わぁ、助かった。」


ゴゾ・・・ぱち


と、棒読みで言うと、「ごくろうさま」とちゅっとブラストに口付けて、


ガンホルダーをしまった。


そして、にっと笑って言った。


「気持ち良くしてね?」


「まかせてよ。千石くん」








「んっ・・・いたいっ・・・ちょっと・・!」


「気持ちよくない?」


「不二くんって・・・ん・・Sだよね・・・あぁ・・ん・・・」


「そうかも。」


「手塚っ・・・に・・あっ・・もこんなことしてんの・・・っあぁ」


「まさか、僕は受けだし。」


「説得力ね・・ぇ・・あっ・・ぅん・・」


「ふふ。」









シュボ


「あーあ、まぁた、南に怒られちゃうよ。バレたらだけど。」


事後、たばこに火を付けながら言った。


「なんで?」


「君と寝たから。」


「ふーん、結構大事にされてるんだね。」


「そうだよ、君と違ってね。」


「ひどいなぁ、それ。」


「そんなんじゃ、手塚に愛想尽かされちゃうよ。」


「まさか、それはないよ。」


とにっこり笑って答えた。


しかしその手は


ぐぃっ


「いったぁ〜〜〜っ」


撃たれた痕を圧され生理的に涙が出た。


そして、その目でキッと不二を睨む。

「鬼畜。」


「ん?何かな?」


とまた、ふんわりスマイル。


「なんでもありません。」


サッと目を背けて言った。


「俺そろそろ帰るね。」


ごそごそと脱ぎ散らかした服を集めながら言った。


「もう?」


「うん、俺も長生きしたいし。」


服に袖を通す。


「そう、じゃあそんな君に朗報だよ。」


「そう、言われて今まで良かったためしないんだけど。」


と、恨めしそうに言った。


「ははは、それは君の運が悪かったんだよ。」


「俺はラッキィな男なんです。」


「そう。で、さっきの話だけど、」


服を着替え終わった千石はさっきまで自分の寝ていたベットに座った。


「うん。」


「fra・・・やつの動きが活発化してきたよ。」


さっきと変わって、真面目な顔でそう言った。


「え・・・・ま・・さか。」


千石は困惑した表情を浮かべた。


「あぁ、察しの通りだよ。気をつけたほうがいいね。やつは執念深いから。」


「そんな・・・。」


千石の表情がだんだんと怯えたものになって行く。


ぎゅっ


「ふ・・・じ・・?」


不二は怯える千石を抱きしめた。


「実はね、今日のもやつから頼まれたんだ。君を生け捕ってこいってね。」


「え・・・・。」


「やつはそうとう調べている。君の行動から周りの人間まで。」


「っ・・・」


「落ち着いて、君は昔の君じゃない。」


「うん。」


「今の君ならできるかもしれない。」


「うん、ありがと。」


そういいながら不二の胸からおきた。


「貸し作っちゃった。」


と苦笑いする千石。


「マケとくよ?」


ぽんぽんとベットをたたきながら言う。


「いいや、貸しといて。」


「うん。」


「じゃね。」


「あ、店のもの適当に持って行ってくれて構わないからね。」


「うん、ありがとう。」


振り返らずにそう言って部屋を後にした。









「あ、桃先輩、あれっスか?」


オレンジ色の頭を指差し、隣の男に言った。


「おぉ、そうだな。間違えねーな。間違えねーよ。」


と、写真を見ながら言った。


「やりますか?」


にやっと笑って問う。


「いんや、もーちっと待とうぜ。夜になったら・・・な。」


「ちーす。」











7←BACK

NEXT→9




アトガキ

いやぁ、不二黒!!

なんか、にこにこしながら嫌味合戦。

結果はキヨの負け・・・。

すげぇな不二さん。

ユウリとしては不二×千石ができたんで満足VV

そして、最後の怪しい会話の正体は・・・!(いや、バレバレだろ!)


2002.9.2       ユウリ