お礼と口付け






「世話になったな手塚。」


玄関の前で南が手塚に手を差し出す。


手塚はそれを掴む。


「あぁ。気にするな。お前が迷惑をかけてくるのは今に始まったことじゃないからな。」


と、いやみを言った。


「お前のいやみにはもうなれたよ。」


「そうか。」


「あぁ。」


「あぁ、そうだ。千石の傷はまだ完全ではない。お前が気をつけてやれよ。あいつは時々、むちゃをするからな。」


と、少し離れたところで野良猫と遊んでいる千石を見て言った。


「はいはい、しょーちしてますよ。」


「ならいい。」


真面目な顔で答えた。


「なぁ、手塚。もしかして、お前・・・千石のこと?」


「そんなわけないだろう。第一そんなことしたら、どやされるのは俺だからな。」


「あぁ。例の。」


「あぁ。」


と苦笑いをした。


「さて・・・そろそろ。」


そう言って地面に降ろしてあったバッグを持ち上げた。


「千石、行くぞ。」


と千石に一言声をかけて歩き出す。


千石は野良に「ばいばい」と言うと南の後を着いて行く。


ピタっ


いきなり千石が足を止めた。


「ん?どうかしたか?」


「忘れ物。」


そう言ってクルっと振り返った。


そして、玄関の前で見送っている手塚の元へ走っていった。


「てーづか。」


「どうした?」


ちゅv


「・・・・!」


千石は、少し背伸びをして、手塚に口付けた。


触れるだけの口付け。


手塚は予想しなかった行動に固まっている。


「お礼。俺金ないからね。」


そう言って、さっさと南の後を追った。







「お前、いい根性してるな。」


と呆れた様子の南。


「そ?」


首をかしげる千石。


「やっぱ、すげぇよ。お前は。」


「まぁね♪ねぇ、てか、どこ行くの??」


「ルゥアだよ。」


東をさして言った。


「おぉ!久しぶりだよね!」


「あぁ。」


「楽しみだなぁーvv」


「頼むから、おとなしくしろよ?」


「おいっす!」


とガッツポーズをしてみせた。


そんな千石をみて、南が大きなため息をついたことは言うまでもないだろう。











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アトガキ

はふー!やっとできました!

なんか、うまくかけなくて何度もやり直しましたよ(汗)

まぁ、特に意味はないんだけど、手塚とキヨを

絡めたかったぁだけV

それでは、失礼しますっ


2002..9.1          ユウリ