しゃぶしゃぶと高山寺


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 ここ数回の世界遺産シリーズ切手は「古都京都の文化財」なので、切手の現物を訪ねる『うめ』の旅は、近くて助かっています。とはいえ、京都は思ったよりも広く、1日に回れる社寺は1〜4ヵ所が限度です。特に比叡山は1日がかりでした。高山寺もいつかは撮影に行くつもりでしたが、数年前に行ったことがあるし、比叡山・宇治・嵐山と京都行きが続いので、18日は兵庫か三重のどこかへ行こうと考えていました。

 ところで、私は、毎月1〜2回、同業の友人らと夕食を共にしています。11月15日の夜は「しゃぶしゃぶ」。「プリオンなんか怖くないぞ」などと、食事しながらの雑談。京都に関する話題の中で、京都出身の友人が「この季節に高雄へ行くのなら、朝早く行って昼前には帰るつもりでないと」などと言ったことから、「朝一番に高雄で紅葉狩りだあ」という気になりました。彼の話を聞かなければ、18日は伊勢志摩にでも行っており、高雄の高山寺で図案の間違いを見つけることはなかったでしょう。また、12日に妹夫婦が吉野へ「濁った頭を綺麗にしたくて」紅葉を見に行ったことも、気持ちが高雄へ向かった一因です。

 11月17日(土曜日):夜、下調べに、京都のガイドブック『(まっぷる262):京都へでかけよう2001-02』を見ながら、どの寺をどの順番で回ろうかと思案していました。この本には、高山寺の参道の写真も載っています。切手画像は、この写真と見比べると、石畳などが逆になっていました。この時点で「裏焼き」も疑いましたが、「灯篭の向こうに側にも対称的に参道が続いており、そっちから写真を撮ったんだろう」と考えていました。

 11月18日(日曜日):早起きしたつもりなのに、京都駅7時45分発の栂尾行きJRバスは満杯。50分間立ったまま、バスに揺られて終点まで。そこは高山寺の参道(表参道ではない)のすぐ下。今回の遺産シリーズ第5集のうち、高山寺に関する切手の意匠は「石水院」と「表参道」です。高山寺の境内に入るのに300円(紅葉の時期のみ必要:10〜11月)、「石水院」の拝観料は600円でした。切手に採用された石水院の写真は庭の隅から撮影したものですが、一般の観光客は庭へ立ち入れないため、腕を伸ばしてなるべく近いアングルで狙いました。石水院で貰ったパンフレット(由緒書)の表紙は紅葉時期の表参道で、切手の意匠とほぼ同じです。裏表紙は境内略図で、表参道の石畳は1ヶ所しか無いことが分かりました。これで裏焼きの疑いが高くなりました。石水院を出て、いよいよ表参道へ。



 朝の9時頃なのに、表参道には観光バスで来た人々が大勢います。ここで石畳の向きが、プリントアウトと違うことを確認しました。樹木の形や石灯篭の位置も逆です。高山寺では、ここ以外に石畳を敷いた参道はありません。やはり、切手の写真は裏焼きだったのです。「こりゃえらいこっちゃ」。人の流れが途切れるのを待ちながら、30分間ほど『うめ』用の写真を撮っていました。人が少し位いても、2〜3枚の写真を合成すれば、人がいない写真を作れます。残念ながら、少し時期が早いため、落ちた紅葉で朱赤に染まった参道ではありません。



 「えらいこっちゃ」、どうしようかと思いつつ、西明寺の近くで昼食をとりました。神護寺への坂道は、大阪駅の階段のように人で溢れかえっていたので、神護寺に入るのは諦め、バスで仁和寺まで戻りました。切手になった「仁和寺御殿」は、山門の上から見下ろして撮影した写真であり、一般客は山門に入れないため、同じアングルでの撮影は不可能でした。御室桜を前景に「五重塔」を撮った切手も、撮影位置が特定でなかったものの、ほぼ同じ構図の写真を撮影しました。枯れ葉の桜では淋しいので、桜の季節にまた来よう。歩いて天龍寺へ。方丈の縁側は、石庭を眺める人が鈴なりでした。さらに歩いて金閣寺へ。ここも、原画写真の撮影場所は、一般の観光客が入れない庭園でした。その間も、どうしたものか考えていました。

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