『うめ』の旅


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 私(田中敏彦)は、日本切手図鑑CD-ROM『うめ』の製作者の1人です。7年ほど前、小林浩章さんが発表した日本切手データベースをもとに、吹田裕克さんの協力を得て、画像や資料を追加しながら『うめ』を育ててきました。また、多数の方から、切手の画像や切手にまつわる裏話を提供して頂いてます。

 『うめ』の資料を集める目的もあり、暇をみては、郵便切手の意匠になった現物を訪れる旅行に出ています。先月は「長崎くんち」、今月は「唐津くんち」などです。バンコクの王宮寺院や、旅順の表忠塔なども見に行きました。いつかは、現物の写真やビデオも収録した、DVD版『うめ』を作りたいと思っています。

 旅行には、切手カタログとパソコン(現在はカシオペアFIVA206)を携行し、なるべく切手意匠と同じ位置・同じアングルの場所を探して、デジカメ(現在は10倍ズームのオリンパスC-700)で写真を撮ります。カタログに掲載されていない新切手については、郵政事業庁ホームページをパソコンに切手画像をダウンロードし、一部はプリントアウトも持参します。



 現場へ行かないと確認できないことや、現地の人に教えられることも沢山あります。また、いろんな人々との出会いもあります。例えば11月21日に伊勢に行き、伊勢志摩国立公園10円切手の撮影場所が、当時の切手雑誌などに書かれていた日和山の展望台ではなく、郵政省の保養所であることが分かりました。「ゆうりぞうと鳥羽」の支配人にお願いして2階から鳥羽湾の風景を撮影させて頂きました。支配人は鳥羽湾を描く切手が発行されていたことをご存知なかったようで、「本庁に問い合わせ、切手をフロントに飾りたい」とおっしゃってました。



 10月7・8日は「長崎くんち」へ行ってきました。龍踊(じゃおどり)などのビデオや写真を撮影。ついでに、長崎平和祈念像(C1735g)や大浦天主堂(C210等)などもパチリパチリ。『うめ2003』用に「くるくる祈念像」を考えています。長崎の清水寺の住職さんからは、昭和切手(#221等)や船シリーズに登場した「御朱印船」の絵馬についてのお話を伺いました。原画作者である木村勝氏から来た手紙もコピーして頂きました。切手原画の取材状況が分かる内容です。



 11月3・4日は「唐津くんち(R174)」へ。3日は雨のためくんち行事が昼で中断、時間が余ったので「唐津民芸」(野口看板店)を訪ねました。あいにく、欲しい品物(2000年用年賀切手に採用された郷土玩具:N83・N85)は売り切れで、後日の郵送をお願いしました。



 野口さんは、かつて映画館の看板を描いていた方です。「せっかく来てくれたのに、品切れで申し訳ない。似顔絵でも描いてあげよう。」とおっしゃり、雑談しながら私の似顔絵を2時間かけて画用紙に描いてくれました。普通の似顔絵とは異なり、まさに映画の看板の風情があり、映画俳優になった気分です(?)。



 4日のくんち行事は10時からなので、朝早く鏡山へ登りました。国土緑化運動切手(C1186)の図案になった「虹の松原」を眺めるためです。10倍ズームレンズの威力により、切手の中央付近の白い点が、病院の建物であることが分かりました。これは医学切手図鑑『ナイチンゲール』のネタになります。

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