六本木ヒルズにオープンした森美術館に行ってみた。
ビルが建っているだけなのかと思っていたのだが、ほとんど新しい街が出来ているような感じだ。54階建ての森タワーを中心として周囲にいくつかの建物が建っている。街のように感じるのは居住区域がいくつかの建物に分かれて建っているからだろう。
ハイテクの駐車場に驚嘆させられながら車を置き、ビル内を探検する。駐車場で受け取った六本木ヒルズの地図を見るが複雑でよくわからない。建物が分散していることもあって、結構複雑だ。まさしく探検するという感じ。そのためか、案内のための係員が多い。建築費もかかっているだろうけど、維持費も相当な金額になっていそうだ。日本の失業率の改善に六本木ヒルズは一役買っていることは間違いない。
森美術館は森タワーの52、53階にある。ようやく、ここに登るエレベータを見つけ、一気に登る。
六本木という場所柄か、美術館も普通ではない。
ここでは「ハピネス」と題した展示をやっていたが、これは「アルカディア」「ニルヴァーナ」「デザイア」「ハーモニー」の4つのテーマに分け、それぞれのテーマに沿った作品が日本、アジア、西洋、現代アートなど区別されること無く展示されている。水墨画のとなりには、油絵があり、仏像があると思えば、ただの真っ白な絵にしか見えない現代アートもある。春画まであったのにはびっくりだ。
それに、映画を上映できるブースが途中いくつもあって、そこで芸術家の撮った映画が上映されていた。全部見ていたら、それこそ1日かかっても見終わらないかもしれない。
この美術展の状態を芸術のカオスなどと呼んでみても良いのだが、イスラム圏の人の作品がなかったのが物足りない。これを除外しては世界のハピネスには繋がらない。
中でも一番見たかった伊藤若冲の鳥獣花木図屏風は一番最後のテーマ「ハーモニー」にあった。六曲一隻の屏風に白い象、虎、ロバ、鹿、ゴリラ、らくだなど様々な動物が描かれている。その描き方に特徴があってタイル画を直接屏風に描いたような感じだ。写真で見ていたときはただ縦横に細かい線を引き、できた升目の中を塗り潰したモザイクの表現なのかと思っていた。やはり実物を見なければわからないもので、ただのモザイクではなく明らかにタイル画を意識している。それに描かれているのが亜熱帯の動物ばかりという点も面白い。
展示の最後は禅画の円相でしめくくられていた。
美術館を出て下に降りてみるとすっかり日が暮れていた。見上げると、森タワーはまったくSFチックで最上階はかすんで見えない。思わずケータイのカメラで撮ったのが上の写真。
(2003/12/1)
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