2001/11/4

2度目の出発

 
   1週間のインターバルを経て、再び京都に向かう。今回はすべて奈良の寺を廻るのだが、前回使った京都の宿の居心地がよかったこともあって、同じ宿をとった。宿には夜6時半に到着。

2001/11/5

不退寺

   京都・東山の宿から車で山科・宇治を経由し、京奈和自動車道を通って、佐保・佐紀路にある不退寺に到着。
 境内はところ狭しと花が咲き乱れている。本堂には顔の両脇にリボンのようなものがついた聖観音。全身白無垢で愛らしい。この寺は別名業平寺とも言われ、在原業平が父の菩提を弔うために建立した寺とされる。この聖観音も業平の理想の女性を作ったのではと言われている。

縁側で眠る猫2匹。

法華寺

   本堂の十一面観音は、光明皇后を模して作ったとも言われる。秘仏で普段はレプリカが安置されるが、この日は特別公開のため、本物が置かれていた。光背のかわりに、背後から放射状に蓮の葉が出ている珍しい像だ。像の前にはきれいに磨かれた金色に輝く密教法具が整然と置かれている。
 像を拝観しているとひとりの老いた尼僧が十一面観音の前に座り、手にもった鐘を鳴らしながら、十一面観音に向かって静かにお経を唱え始めた。廻りにいる人を一切気にせず、尼僧は十一面観音と向き合うことに幸せを感じているように、ただひたすらにお経を唱えていた。この寺の誰からもこの十一面観音は慕われているのだろうと思った。法華寺に限らずどの寺のどの仏像も、寺の人が慕い、拝み、そして長い年月を経ても大切に残されて来たのだろう。
 本堂の脇には横笛尼僧像が置かれている。横笛とは平家物語に登場する女性だ。平清盛の家臣斉藤時頼が建礼門院の雑仕女・横笛に恋をするが、身分の違いによって叶わず出家し、滝口入道となる。横笛はそれを知って、法華寺の尼僧となった。
 本堂を出ると雨が降り始めていた。本堂の隣にある慈光殿に入る。阿弥陀三尊の大きな仏画が展示される。阿弥陀如来の着る朱の布があざやかで、丸々とした体をしていて、いい表情をしている。
 境内には光明皇后が千人の人の垢を落としたというからふろがある。雨が強くなってきたので、その建物を写真に収めて早々に退散する。

海竜王寺

   法華寺のすぐそばにある海竜王寺へ移動する。土塀の崩れかけた感じや草が生え放題の境内は奈良の寂れた空気をひとしおに感じさせ、切なくなる。参拝客のいない中、本堂の十一面観音を拝観する。光明皇后が自ら刻んだ観音像を鎌倉時代に慶派仏師が模して刻んだ像だという。慶派の像らしく端正な顔立ちだ。
 帰りに以前、寄った山科の西友で夕食と朝食の食材を購入。

海竜王寺の土塀。

前へ | 9/16 | 次へ
始めに戻る