2001/10/21

西大寺

 
   京都・東山の宿から奈良の西大寺へ車で行く。だいぶ回り道になるが楽そうだったので、名阪自動車道ー近畿自動車道ー阪神高速ー第二阪奈自動車道と高速道路をふんだんに使う贅沢ルートを選んだ。1時間半ほどで西大寺に到着。
 四王堂、聚宝館、愛染堂、本堂の4つに入れる入場券を買う。
 聚宝館では淳和天皇の妃、真井御前の姿を弘法大師空海が彫ったという伝説のある愛らしい如意輪観音が印象に残った。手を頬に当てて考え事をしているかのようだ。
 西大寺には何度か来ているが愛染堂には初めて入った。愛染明王模刻像や仏画などがあり、堂内は愛染明王だらけだった。愛染明王像の背後にかけられた掛け軸の愛染田夫本尊という図像が興味深い。宝珠の上に乗った蛇の形をしている。出雲の農夫の家に仁海僧正が泊まったときに、その家主の四代前の父祖が弘法大師から授かったのだという。説明書きには如意宝珠を仲立ちとして蛇型の宇賀弁財天と習合したものだと書かれる。宇賀神とは白蛇のことで、この宇賀神と弁財天が習合したものが宇賀弁財天であるらしい。このあたりの事情を調べて見ると面白そうだ。

西大寺東門。

  秋篠寺

 
   伎芸天のいる寺。そして、本では取り上げられなかったが、秘仏太元帥明王(たいげんみょうおう)も安置される。太元帥明王像は、年に一度の特別開扉以外は拝観できない。私もまだ一度も拝んだことがない。太元帥明王は明王の中でも最強の呪力を持ち、相手を調伏するとされる。平将門の乱や元寇の時に太元帥明王の修法である太元帥法が修められた。この寺の境内には太元帥明王が出現したという井戸がある。日本に太元帥明王の秘法を伝えた空海の弟子の常曉という人が、一心不乱に修法を行っているとこの井戸に太元帥明王の姿が写し出され、その姿の恐ろしさのあまり気絶したという伝説が残されている。
 苔に覆われた木々に囲まれ、鳥のさえずりが絶えず聞こえる境内や伎芸天のやさしいほほ笑みとこの恐怖の太元帥明王のミスマッチな組み合わせの残る秋篠寺である。
 秋篠寺を出て、神功皇后陵、平城宮を廻り「足をのばして」用の写真を撮る。
 これで第一次取材の予定をすべて終了。第二阪奈自動車道を経由し、東名高速から家路についた。

秋篠寺の井戸。

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