平成13年10月15日

三十三間堂

   朝、宿を出て、三十三間堂へ向かう。朝の9時前で訪れる観光客も少ない。基本的に朝寝坊な自分にとって、こんなに人の少ない三十三間堂は初めてだ。ちょうど朝の勤行が中央の千手観音の前で厳かに行われていた。メモを取り、資料として寺で売っていた冊子を買い、お堂の周囲の写真を撮影した。予算が少ないので、カメラマンが同行するわけではなく、これも自前で行う。
 三十三間堂の周囲を歩いていると、隣に後白河法皇が眠る法住寺があった。法住寺はかつて後白河法皇が作った法住寺殿の跡にある。法住寺殿はかつて広大な領域を誇り、三十三間堂もその中のひとつの建物として建てられたものだ。ここは本で取り上げない場所だが、入ってみた。法住寺の脇の細い道を入っていくと後白河法皇稜があった。別の天皇の皇子たちも合葬されているようだ。ここは法住寺とは別の区画として区切られているが、明治の神仏分離令以前は法住寺の境内にあったのかもしれない。

後白河法皇陵

六波羅蜜寺

   取材前に事前に寺の担当者に連絡を入れることになっていたので、同行したKさんが受付でそのことを申し出ると、オレンジ色の法衣のようなものを着た若い女性が出てきた。本に載せる寺の年中行事の欄のネタはこれを使ったほしいと資料を渡された。
 3年前に訪れたときは雨の日だった。空也上人像に会いに来たのだった。3年後の今日は快晴。空也上人像と2体の地蔵菩薩や平清盛像などをしっかりと拝観する。
 これから作る本は単なる仏像紹介だけではなく、お寺を訪れた時に休憩や食事で入れる店やオススメの名所なども一緒に紹介することになっている。こうした場所は事前に編集者がリストアップしているのだが、六波羅蜜寺の近所には店があまりなくリストは空欄のままだった。ちょうど昼時だったので、とりあえず近くにあった店に入った。「かあちゃん定食」という印象的な店の名前だ。ここで日替わり定食を食べた。
 個人的には掲載する店はここでいいではないかと思うのだが、同行する高級志向のKさんはここでは満足せず、他も探してみようということになった。

愛のあるおふくろの味 かあちゃん定食

六道珍皇寺

   かあちゃん定食から程近い位置にある六道珍皇寺。ここの井戸を通して冥界を行き来したという小野篁の像がある。建物の格子を通して見ると、地獄の主である閻魔大王の像と並んでいるのがわかる。この日、境内は誰もいないが、お盆の時期には人であふれるという。門の写真を撮り(P23の写真)、その門前にある「幽霊飴」の店も撮影した(P25の写真)。

永観堂

   当初の予定ではここまでで終わる予定だったが、まだ時間があるし、この先何があるかわからないため、前倒しで取材を進めることにし、永観堂に行った。ここは、秋には紅葉で有名な場所だが、訪れた日はわずかな木々が色づいているだけで、まだまだといった感じだった。
この寺の目当ては見返り阿弥陀である。見返り阿弥陀は、山の中腹にあるお堂に安置される。そこまでいくつものお堂を通り抜け、階段をのぼりたどり着く。人がいないお堂で静かに拝観する。正面からと真横からとじっくりと相対した。

叶匠寿庵

   哲学の道沿いにある和菓子屋。有名な店らしい。Kさんの強い入れ込みもあって、ここで休憩。ジャズが流れる茶室のような店内で和菓子をいただく。
 宿に戻り窓の外を見ると、きれいな夕焼けが広がっている。一日に四寺回るとさすがに疲れる。

宿の部屋から見た夕暮れ

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