ウィルスと風邪

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO.20 (炎症)

ミスター売薬です。
かなり老化つながりの話しを引っ張っていますが、そろそろ老化の話しは、終わ
りにしようかと思います。しかし病気は、多かれ少なかれ活性酸素による老化と
いうか、破壊が速めに進んでしまうことによって起こりますので、老化と関係あ
る場合が多いです。

(湿布)
皆さんは温湿布と冷湿布の話しをテレビなどで、聞いたことがあるでしょうか。
売薬の仕事をしているとたまに聞かれます。
 そんな時の私の答えは、『温湿布も冷湿布もかわりませんよ。』と答えてい
ます。
よく怪我をした時は冷で、腰痛や、肩凝りは、温と言われているようです。
 しかし考えてみると湿布では、そんなに冷やす効果はありませんので、怪我を
した時は、すぐに湿布は張らないで、氷りや、濡れタオルなどで、しばらく冷や
しておいた方がいいと思います。火傷でもそうですが、炎症が起こっている時に
は、本当に温度を下げるのが一番です。
 温湿布と冷湿布の成分には、そんなに差はありません。強いて言えば温湿布に
は、トウガラシのような刺激する成分が入っていて、メントールなどのスーとす
る成分が、温湿布の場合スーを通り越して、ヒリヒリ痛熱いと言う感じになり、
同じ感覚の強弱で、冷感に感じたり強力な冷感は、ヒリヒリの温感に感じるだけ
です。

(炎症)
 いよいよこれから風邪の時期になりますが、のどの炎症によって悩まされる事
が増えることがあるでしょう。
 炎症は、ウィルスや、細菌による場合は、大変有効な反応の事も有りあります。
たびたび年寄りになると炎症をおこす力がなくて、症状がほとんどあらわれず肺
炎を起こしていることに気付かず、手遅になることがあります。
 炎症のある現場では、細胞が、たくさん死滅しています。
 細胞が死ぬとそれを掃除しなくてはいけませんし、ばい菌がいるかも知れない
ということで、白血球が集まってきます。
白血球の武器は、活性酸素です。その白血球が、細菌と戦う時、周りにも活性酸
素をまき散らしてしまいます。そのことによって、正常な細胞にまで被害が及ん
でしまうことがあります。
 細菌がどんどん増えよとしている時には、周りに飛び散った活性酸素が、敵
を弱めることにもなり、戦況を有利にすすめる助けになります。
 しかし、火傷はどうでしょうか。細胞の死滅は、細菌によるわけではありませ
ん。
菌もいない所に白血球がドンドン集まってきて、炎症を起こすと正常だった細胞
まで被害を受けて悪化するだけで、何の得にもなりません。炎症は炎症を呼び、
白血球による被害は、またまた白血球を呼び寄せる刺激物質を発します。火傷に
よる炎症は、悪循環をくり返してドンドン悪くなってしまいます。
ひどい火傷だと思った時でも、1時間位、ずーと冷やすことで、大した、水ぶく
れにもならずに済んだと言うことは、よく聞くことです。
とにかく火傷や、怪我をした時には、しばらく冷やすことが大切です。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO. 21 (好中球)

ミスター売薬です。
これから風邪の時期になりました。風邪のウィルスをやっつけてくれる風邪薬で
はないですよね。売薬をしていながら、風邪をやっつける薬を扱うことができな
いのはとても残念です。せめて高齢者を細菌による二次感染から救う抗生物質く
らいでも扱いたい気がします。高齢者や糖尿病など免疫の弱まる病気のある人は、
風邪をひいたら、早めに病院にかかって、抗生物質を使った方が無難だと思いま
す。
 ウィルスを殺す薬はありませんが、(一部インフルエンザの抗ウィルス剤はあ
る)黴菌を殺す薬はあります。ウィルスはよっぽどのことがない限りそれが原因
で死ぬなんて事はありません。しかし菌による感染症は、ちょっと危険です。と
くに免疫力の弱っている人は要注意です。肺炎は多くの高齢者の死亡の原因にな
っています。

 風邪の原因は、ウィルスです。ウィルスと戦ってくれる唯一の者は、白血球で
す。
 血液中の血球類は赤血球、白血球、血小板、ということですが、この中の白血
球というのは、大変複雑です。白血球を大きくわけると、顆粒球、単球、リンパ
球に別れます。顆粒球は、好中球、好塩基球、好酸球です。単球は、単球ですが、
有名なマクロファージという形態をとって細菌や、ウィルスを食べます。リンパ
球は、B細胞、T細胞がいますが、B細胞は、抗体という飛び道具を使ってウィルス
などの活動を封じ込めます。
 
          好中球
     顆粒球( 好塩基球
    |     好酸球
    |
白血球ー|単球(マクロファージ)
    |
    |      B細胞
     リンパ球(      ヘルパーT細胞
           T細胞( サプレッサーT細胞
                キラーT細胞

好塩基球、好酸球はあまりミスター売薬もよく分かっていませんが、寄生虫など
特別な時に活躍するようで、将棋でいえば、香車と、桂馬という感じでしょうか。
歩は好中球で、白血球全体の50%をしめています。(別け分かりませんね。)
 とにかく好中球は、一番多いわけですが、寿命は数日しかありません。好中球
とマクロファージは食細胞で、ウィルスや、細菌をアメーバーのように食べて殺
してしまいます。好中球は、普段活動を停止していて、嫌気性代謝を行ってエネ
ルギーを温存しています。しかし損傷を受けた細胞が発する警報の化学物質を感
知した時には、数分でまっ先に戦場に到着することができます。
 好中球は細菌を飲み込むと普段含んでいる酸素の50倍の量の酸素を吸い込ん
で、呼吸爆発というという活動をします。すなわちまずスーパーオキシドが作ら
れ、一部が分解して過酸化水素になり双方反応して、活性酸素の最終ボスのハイ
ドロキシラジカルを作ります。また塩化物イオンも生成し過酸化水素と反応させ
てタンパク質を壊す次亜塩素酸という活性酸素もつくり出します。
 好中球はこのような必殺の有毒シャワーをつくりだして、捕獲した侵入者に浴
びせかけます。そして消化酵素もだして、溶かしてしまいます。好中球は、平均
25人の敵を倒します。好中球は援軍が来るまでの数時間の間、単独で敵と戦い
続けます。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO. 22 (マクロファージ)

ミスター売薬です。
前回は、好中球の話しでしたが、好中球の後に戦場にやってくるのは、マクロフ
ァージ(単球)です。本当は、単球といいたいのですが、マクロファージの方が
有名ですので、これからマクロファージということにします。
 マクロファージの動きはゆっくりしていて、現場に到着するまでに数時間かか
ります。マクロファージは、読んで字のごとく大食細胞ということで、好中球よ
りも大型で、たくさんの細菌を食べることができます。
 好中球とは違って、寿命は長く数カ月もしくは、数年に渡って生き続けること
ができます。通常マクロファージは、体の掃除屋として働き、 死んだ細胞や、
酸化した分子、ガン細胞、などを掃除しています。
 また戦場では、好中球の残骸もかたずけます。外敵が侵入した時には、それを
飲み込み好中球のように呼吸爆発しますが、その威力は好中球の4分の1です。
しかしマクロファージは、もっと高度な仕事をこなします。
 マクロファージは、細菌や、ウィルスを飲み込むと中途半端に切り刻みます。
そして、やっつけた相手が、切り刻んだ断片をリンパ球に届けます。
 ちょうど車の部品を仕分けして、それぞれのパーツに別けて、犯人の手がかり
を壊さないようにしながら、鑑識に届けるようなものでしょうか。受け取るのは
T細胞で受け取ったパーツをもとに、効果的な攻撃の作戦をたてます。
 またインフルエンザウィルスのような、危険と判断するウィルスに対しては、
即座に体温中枢を刺激するインターロイキン1という化学物質を出して、体温を
上げるように要請します。もしくは、ウィルスや細菌の勢いが強いと、マクロフ
ァージの体温を上げる要請が多くなり、脳の視床下部では、体温の設定を高い所
にセットします。
 すると寒気がして、寒い時と同じように血管を収縮して温度を逃がさないよう
にして、体温を上げます。それでも足りない時は、ぶるぶる震えてセットされた
体温になるまで、寒気がおさまりません。
 暖かくすると早く体温中枢の指定する体温まで上げることができ、エネルギー
の消耗も少なくすることができます。
 体温が上がるとほとんどの細菌のうごきが鈍くなり、戦況を有利にすることが
できます。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO.23 (ウィルス)

ミスター売薬です。
マクロファージの後は、リンパ球です。リンパ球は、大変組織がしっかりした軍
隊のようで、司令官がいて、その命令で動きます。リンパ球の中には、T細胞、
B細胞、NK細胞(抜けてました)でできています。司令官は、T細胞です。それが
花粉なのか、ウィルスなのか、細菌なのか、もしくは、ガン細胞なのかによって
戦う方法を決定して、効果的な組織プレイをして敵をやっつけます。
 ウィルスに対しては、リンパ球しか太刀打ちできません。
 ウィルスは、細菌よりもずーと小さく体積からすると細菌の1000分の1位
です。普通の光学顕微鏡では、見ることができず電子顕微鏡でようやくその姿を
とらえることができます。(ちなみに原子は、電子顕微鏡でも見えませんのでマ
ンガですが。)
 よく「ウィルスは、生き物か?、物質か?」という話しがあります。というの
もウィルスは、生物のように呼吸はしていません。新陳代謝をしていないのです。
動物の細胞に侵入する為のタンパクの殻の中にDNAもしくは、RNAの核酸を入れて
いるだけのシンプルな構造になっています。ウィルスは普段は、花粉のように漂
っているだけです。
 風邪のウィルスであれば、のどの周辺の細胞まで、偶然とどけば活動できます
が、のどにとどかなければそのままゴミのように消えていくだけの運命にありま
す。生きていないので、殺すことができないということがまた厄介な所です。
 細菌であれば生きていますので、必ず新陳代謝をしています。その為には、細
菌特有の堅い細胞壁を作っていますが、この細胞壁がないと、生きることはでき
ません。抗生物質のほとんどは、この堅い細胞壁を作るのを阻害する薬で、人間
の細胞は、このような細胞壁は持ちませんので、細菌だけを選択的に殺すことが
できるのです。
 ウィルスを殺すものは幾らでもあるかも知れませんが、人間の細胞に害の無い
ような形で、ウィルスだけを殺すようなものは、なかなかありません。抗ウィル
ス剤は、通常の細胞まで被害をおよぼすようなものが多く副作用が強い為、今後
も風邪くらいで、抗ウィルス剤を使うことはないと思います。
 肝炎ウィルスを殺す為に使うインターフェロンは、髪が抜けたりする抗癌剤な
みの副作用です。風邪を治す為にガンになる恐れのあるような副作用の強い薬は、
誰も使おうとは思いませんよね。
 インフルエンザのA型とB型に効く抗ウィルス剤がありますが、免疫力の弱る年
寄りになるまでは、私ならあまり使いたいとは思いません。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO. 24 (ウィルス2)

ミスター売薬です。
ウィルスの続きです。ウィルスというのは、前回お話した通り単純な構造なって
います。細菌であれば自分で生きていますので、細胞分裂して1匹が2匹になり、
2匹が4匹になるというふうに分裂して、増えていきます。
 ところがウィルスは、自分では何もできません。自分が増殖する為のプログラ
ムが書かれたDNAと、そのDNAを入れる袋でできています。寄生しなければ何も始
まりません。そこで自分が入ることができる細胞の所までたどり着いたらはじめ
て本性を現すことができます。
 ウィルスの種類によって色々な入り方があるようですが、ウィルスによっては、
ある栄養素が吸収されるようにまぎれて入るものもあります。
 映画のエイリアン見たことあると思いますが、人間に卵を産みつけて人間のお
腹を破ってエイリアンが生まれてきていましたが、ウィルスも丁度そんな感じで
す。必ず寄生しなければ活動できません。ウィルスの生物としての活動は、細胞
に侵入している時のみ、生きているような活動ができます。
 ウィルスが持っているDNA(もしくはRNA)は細胞のDNAと同じ文字でできています。人間の細胞はDNAの指事で動いています。ウィルスのDNAが細胞の中に入ると人間の細胞を動かす命令を出します。そしてタンパク質でできた自分のDNAを入
れる殻を作らせ、DNAを複製して、その殻に入れます。ウィルスは細菌よりずう
っと効率良く増えることができます。一回で、数十から100匹(くらいでしょ
うか)に殖えて細胞に満載されると細胞膜を破って外に散らばります。100倍
だとすると1匹のウィルスが、2回のローテーションをするだけで、1万倍に殖
えてしまいます。
 
 ウィルスは自分の侵入できる細胞が、決まっています。ネコの風邪を引き起こ
すウィルスは、人間には、うつりません。肝炎を引き起こすウィルスは、肝臓の
細胞までたどり着いて、ようやく発病できます。風邪のウィルスは、もっぱら上
気道で、のどと気管支の周辺です。インフルエンザウィルスはちょっと危険なウ
ィルスで、3歳以下の子供では、脳に侵入して脳症をおこすことがあります。お
そらく血液脳関門が未熟な為ではないかと思いますが、はっきりしたことは、わ
かりません。
 なんせ解熱剤を使うとよくないようですが、使わなくても脳症をおこすことは
あります。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO.25 (サイトカイン)

ミスター売薬です。
体のウィルスに対する防衛を簡単にお話したいと思います。リンパ球は免疫の要
です。
そして組織プレイで敵をやっつけるといいましたが、組織プレイには、白血球同
志連絡を取らないといけません。その連絡に使う言葉の事をサイトカインといい
ます。有名なところでは、インターフェロンとか、インターロイキンなどがあり
ますが、それぞれ番号がついています。
 前にお話したマクロファージが、インフルエンザウィルスの断片を見つけると
インターロイキン1を出して、発熱中枢を刺激することをお話しましたが、この
サイトカインは、同時にヘルパーT細胞を活性化する働きもあり、インターロイキ
ン2の分泌を促します。そのことによってNK細胞やB細胞の働きを促すようになり
ます。サイトカインの話しをするとちょっと厄介になりますので、これくらいに
しておきます。

 ウィルスが細胞に侵入すると100匹にふえて細胞を突き破って飛び出したと
すると、すぐに1万倍になり、100万倍になります。しかし体の防衛網はそう
安々とやられてはいません。
 まず第一にウィルスに侵入された細胞はやはりサイトカイン(インターフェロ
ン)を出して近所の細胞にしらせます。細胞の身になってインターフェロンの言
葉を言うと、『やられたーー!気をつけてー!』てとこでしょうか。? 
 この言葉を受けた近所の細胞は、ウィルスに多い二本鎖RNAの翻訳をストップす
るタンパクを作り、ウィルスの感染に備えます。そのような準備された細胞に侵
入してもウィルスは思ったような活動は、できません。
http://www.rinshoken.or.jp/org/TCB/Fig1-jp.htm

 またチャンスがあればウィルスに感染された細胞は、ウィルスの断片を細胞表
面に提示して巡回中のNK細胞などに見つかりやすくします。NK細胞がもし細胞に
感染された細胞を見つけると、細胞に穴を開けて殺してしまいます。

 これも雑学ですが、血液中のカルシウムは細胞の中との比率の差は、1万対1
で細胞の中には、ほとんど入っていません。血液中のカルシウム濃度は老若男女
をとわず一定で、ちょっとでも狂ってしまうと心臓の筋肉が痙攣をおこしてしま
い命が危険になります。これは筋肉の収縮に使われる信号としてカルシウムが使
われているからです。カルシウムは大変目立つ信号で、少しでも細胞に入ってく
ると細胞は、大変敏感な反応をします。実は、カルシウムは、細胞にとっては、
毒物なのです。そして厳密に1万対1の比率で細胞と血液が仕切られています。
 ところがNK細胞によって細胞に穴をあけられてしまうと、細胞の中にカルシウ
ムが押し寄せて入ってくるとあっという間に細胞は、死んでしまいます。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO.26 (NK細胞)

ミスター売薬です。
免疫つながりでお話していますが、少々分からない部分が多いので、ミスター売
薬も勉強しながらお話しています。
 たびたび出てくるNK細胞ですが、ナチュラルキラー細胞の略で自然という名前
がついていますので、健康的な名前のついた白血球ですが、このナチュラルは根
っからの殺し屋という強調した意味のようです。
 本性は殺し屋細胞てところでしょうか。NK細胞は、ウィルスに感染された細胞
や、ガン細胞を見つけて殺す白血球です。細胞にパーフォリンと言うレンガのよ
うな物質をはきかけて細胞に穴を開けて、トンネルの内側にレンガをくっつけて
修復できない風穴を開けます。そしてタンパクを破壊する毒まで入れて細胞を殺
してしまいます。
 ウィルスに感染した細胞がNK細胞に殺されると、細胞の掃除屋のマクロファー
ジがやってきて、細胞の破片や生まれる所だったウィルスも食べてかたずけてし
まいます。マクロファージの事を葬式細胞と言う人もいます。死んだ細胞の臭い
をかぎつけて、集まってきます。
 
 ウィルスのような爆発的に増える病原体に対しては、NK細胞やマクロファージ
だけでは、間に合いません。そこで、マクロファージは、細胞表面にウィルスの
断片を提示してヘルパーT細胞に伝えます。ヘルパーT 細胞はその断片をもとに
B細胞という抗体をつくる白血球に伝えます。B細胞は、ウィルスにへばりついて
ウィルスの働きを封じ込める抗体を、ウィルスにあわせてつくります。抗体はウ
ィルスに誘導されてくっつく手裏剣みたいなものでしょうか。この手裏剣に取り
付かれてしまうと、ウィルスは細胞に侵入できなくなってしまいます。おまけに
マクロファージの食べる味付けになってしまい目印になってしまいます。抗体が
できてしまうとウィルスはひとたまりもありません。

しかし抗体ができるまでは一週間程かかってしまいます。それまでの間活躍する
のは、キラーT細胞です。キラーT細胞もNK細胞と同じようなやり方で、細胞に風
穴を開けて殺します。キラーT細胞は、ウィルスに感染している細胞をその表面に
表示されたウィルスの断片を目印に片っ端から殺して歩きます。

 NK細胞もウィルス感染細胞を見つけて殺しますが、どうもその見つける方法が
違うようです。NK細胞はまったく違う方法で細胞表面に提示された抗原と関係な
くウィルスの感染を見抜いて殺します。これはガン細胞を殺す為かも知れません。
もともとガン細胞は通常の細胞が変化したものですので、ハッキリ変異をおこし
て違ったタンパクをつくるようになってしまったガン細胞であればキラーT細胞で
も見つけることができますが、細胞表面に異変があらわれない場合キラーT細胞で
は見つけることができない為と思います。
 
ちょっと難しい話しになってしまいました。細菌やウィルスのいる世界で生きて
いく為に大変精巧な防衛機構が備わっているんだなーと、感心してしまいます。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO. 27 (T細胞)

ミスター売薬です。
あんまり免疫について関心ない人もいるかも知れませんが、もう少しおつきあい
下さい。

(T細胞)
T細胞とたびたび出てきますが、このTは胸腺(thymus)を意味しています。胸腺は
心臓の上の部分にある小さな臓器ですが、ここでT細胞は、教育を受けます。
 ここで教えられる内容は、絶対自分を攻撃してはいけないと言うことです。ち
ょっとでも胸腺での教育で合わない反応をしてしまったT細胞は、アポトーシスと
いう自殺に追いやられます。ここで98%のT細胞は死ぬ運命にあります。
 リウマチなどの膠原病は、自己免疫疾患といって自分の白血球によって自分の
膠原質を破壊してしまう病気です。なぜか最近自己免疫疾患が増えてきたような
気がします。
 膠原病は、T細胞の自己と非自己の判断が狂ってしまった病気です。ですから胸
腺での「絶対自分を攻撃してはならない!」という教育は大変重要です。

 細胞は自分が自己であることをT細胞に知らせる為にMHCという皿に自分のタン
パクの断片のペプチドを乗せて提示しています。
 他の人の臓器を移植すると、そのペプチドが違いますので、攻撃の対象になっ
てしまいます。これが拒絶反応です。その時使う薬が免疫抑制剤です。
 ウィルスに感染された細胞は、前にもお話したようにこのMHCの皿にウィルスの
断片を乗せて提示します。そこに巡回中のキラーT細胞に発見されると殺される事
になります。

(記憶細胞)
『免疫』と言う言葉は、免役つまり兵役などを免れるという意味からつけられた
名前のようです。つまり免疫とは一度兵役を果たすと二度と義務を果たさなくて
もいいということです。
 はしかや、おたふく風邪は、一度子供の頃にかかるともう二度とかかりません。
このことを『終生免疫』といいます。
 抗体をつくるB細胞はウィルスを退治した後、いなくなってしまいますが、一部
は記憶細胞になって残されます。そして同じウィルスが侵入してきたらすぐにで
も必殺の抗体を量産して、あっという間に排除してしまいます。
 この終生免疫ができてしまうと、ほとんど症状が出ることもなく治ってしまい
ます。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO. 28 (鼻炎薬)

ミスター売薬です。
私が以前が扱っていた、小児用バファリンは、大分前に成分が変わっています。
以前は、大人用のバファリンと同じ成分で、大人用のバファリンも1錠を子供に
飲ませることができました。
 しかし現在は小児用バファリンは成分が変わってしまって、普通の風邪薬に入
っている解熱鎮痛剤の成分になっています。
 これは、インフルエンザ脳症のようなライ症候群になる恐れがあるからです。
大人用のバファリンの成分は、アスピリンです。アスピリンは、非ステロイド系
消炎解熱鎮痛剤です。
 鎮痛解熱だけならいいのですが、「消炎」がよくないとミスター売薬は考えて
います。
前に温湿布のところでお話したんですが、「炎症」は火傷や怪我の時には、返っ
て悪化させる原因になる事をお話しました。しかし炎症は、菌やウィルスに感染
された時には、活性酸素をばらまくことによって戦況を有利に運ぶことにもなる
大切なものなのです。
 強力なインフルエンザウィルスに感染された時、このような「炎症」を止めて
しまう消炎剤を使うと、重篤な状態に悪化することが有るのです。
 
 ミスター売薬の経験ですが、20年くらい前でしょうか、まだ営業を始めて間
もない時でした。ほとんど風邪をひいていませんでしたが、ちょっと鼻炎があっ
て「花粉症の時期でもないのにおかしいなー」と思ってとりあえず鼻炎の薬を飲
んでみました。
 すると次の日から熱が上がってしまいました。若い時でしたので、仕事は休み
ませんでしたが、大変辛い思いをしました。
 それからしばらくして、忘れた頃にまたまた鼻炎が出まして鼻水が出てきまし
たので、今度は大丈夫だろうと思って、鼻炎の薬を飲んでみました。
 そうしたらまたまた次の日には、発熱してしんどい思いをしました。
 ここで悟りました。風邪のひき初めには、間違っても鼻炎薬を飲んではいけな
いと言うことがミスター売薬の信念になりました。
 何年も風邪を引いていなかったのに、その年は2回も発熱のともなうひどい風
邪を引いてしまいました。
 鼻炎の薬は、鼻炎という炎症を鎮める薬です。風邪の時には、炎症を鎮めては
いけないんです。鼻炎の薬には、炎症を引き起こす伝達物質のヒスタミンを抑え
る抗ヒスタミン剤が入っていますし、消炎酵素剤も入っていて、炎症を強力に鎮
める働きが有ります。
 風邪の引き初めには、最悪の薬だと思います。
 申し訳ないのですが、「はやめのパブロン」と宣伝していますが、賛成できま
せん。パブロンの成分も消炎酵素剤と抗ヒスタミン剤の入っている炎症を鎮める
力の強い風邪薬だからです。
 しかし鼻炎の薬と違う所は、ビタミンB群も入っていますのでプラス面も有る
ことでしょうか。

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◆ミスター売薬の健康雑学 NO.29 (免疫力)

ミスター売薬です。
風邪は前回お話したように、引き初めが大変大事です。最初の対処を間違うとや
られてしまいます。「バカは、風邪を引かない」なんて言いますが、全然風邪を
引かないと言われるお客様の話しを聞くと、賢く気をつけているような気がしま
す。
 栄養、保温、睡眠、そしてストレスをためないことが大切です。そしてミスタ
ー売薬的に一番大切なことは、栄養です。特に以前にもお話した、「夕食にはデ
ィナー」、体をつくる一番大切な時に充分な食事をすることが大切です。

(ロタウィルス)
 乳幼児が、寒い時期に食中毒のような下痢をおこす事が有ります。この
ような胃腸炎は、たいていの場合「ロタウィルス」によります。
 激しい下痢と嘔吐をくり返して、昔は「小児仮性コレラ」とか「白痢」と呼ば
れ命を落とした乳幼児も少なく有りませんでした。
 現在でも栄養状態、衛生状態のよくない国では、重要な死因の一つになってい
ます。
 しかし現在の日本では、3歳までにこのウィルスの洗礼を受けていますが、死
亡する乳幼児はいません。豊かな日本に住むことができて幸せなことだと思いま
す。日本人は平均的に大変豊かないい食生活をおくっています。
 以前に流行した結核にしても、抗生物質が多くの命を救っているとは思いますが、もし抗生物質がなかったとしても現在の日本人のような食生活をしていたら、そんなに深刻な流行は無いかも知れません。
 
(ビタミンC)
 それとミスター売薬のお勧めは、ビタミンCです。免疫力を高めるものは色々有
りますが、風邪の時には大量に摂取してほしいので、経済的に手ごろなのはビタミ
ンCがいいと思います。ビタミンCは合成も天然も同じものですので、吸収率、作
用に差が有りませんので、是非ドンドン利用していただきたいものです。

(ビタミンCの免疫力を高める働きについて)
1、直接的な抗菌、抗ウィルス作用があります。
2、白血球の特に好中球やマクロファージが、活性酸素の有毒シャワーをつくる
時にたくさん消耗します。
3、白血球を刺激するインターフェロンの産生を高めます。
4、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンで、炎症によって壊れた組織を修復
します。
(コラーゲンは細胞と細胞の間の結合組織に多いたんぱくです。)

 直接的な抗ウィルス作用はすばらしいものが有ると思います。ただし少々の栄
養素としてのビタミンCの量では、抗ウィルス作用は期待できません。一度に摂取
する量の目安は、1000mg〜3000mgです。お勧めは、2時間置きに2000mgを3回!
 風邪の初期にこれだけ飲めば、大体ひかずに済んでしまいます。
ミスター売薬お勧めの風邪予防法です。