札幌のまーぷさんより情報をいただきました
『積雪で行けないからと言って雪解けまで待つわけにもいかず、ヘリコプターで行っても降りられません。結局はテクテクと雪をかき分けながら何時間も歩く羽目になります。冬は吹雪と遭難、夏はヒグマに怯えながらの仕事です。』
この写真に写っている人は、単に山登りをしているのではありません。仕事なのです。
それも厳しい寒さの中で仕事をするということは、雪の降らない、あるいは少ない地方に住む人々にとって想像もつかないことがあります。この写真は、重要な任務のために雪深い中を進む人なのです。
はたして、その任務とは???
![]() 雪国の鉄塔・その重装備は? |
![]() 風向風速計 |
![]() 荷重センサ |
![]() アンテナ |
![]() 無線伝送装置と 太陽電池パネル |
雪国には「雪」対策が必要なのです。それも、僕が想像する以上のものがありました。
以下、まーぷさんのご好意によりメールを引用させていただきます。
北海道電力で使用されている「着雪検知装置」、正式には「着雪検知及び気象データ収集装置」についてお送りします。つまり、雪が送電線に付着した重みで電線が切断しないよう、事前に検出しているのです。それも山の中。故障したら大変です。だから、この装置にはいわゆるマイコンを使っていないそうです。−30℃でも動いてもらわなければ困ります。
この装置の目的は、送電線に付着する氷の荷重を検出することにより送電線鉄塔の倒 壊を未然に防ぐものです。原理としては送電線と碍子の間に荷重センサを取り付け、平常時との重量差を測定します。この重量が着雪によって増えていくことを時間的に集中監視し、鉄塔の設計荷重に対して危険値になった場合に警報を出力します。
この装置が取り付けられているのは大抵は山の中です。巡視がなかなか出来な い幹線に多く付いています。
センサは送電線の荷重センサの他、風向風速、気温、電池電圧がついています。送電線なのに電池が必要なのは、高圧線から電気を取り出すのが困難だからです。まともに変圧しようとすると大掛かりな設備が必要になりますので、装置自体は太陽電池で動作し、万が一太陽電池が使えなくなっても(太陽電池の故障や悪天候など)1ヶ月は電池で動きます。
何箇所のも鉄塔のデータを光ファイバ、無線で中継し、集中的に監視しているのだそうです。そして、故障・保守の際には冒頭の写真のように雪深い中、鉄塔を目指すことになるのです。
ちょっと面白いのが、太陽電池の取り付け方。雪が積もらないように垂直になっていますね。う〜む、なるほど。寒冷地特有の構造なのです。
これだけの装備を施しても、最後に頼りになるのは、やはり、人の力。今年の冬もつらい雪中の行軍を必要とするのでしょう。
まーぷさん。ありがとうございました。